東野圭吾・著 「疾風ロンド」


実業之日本社文庫2013/11、文庫本でいきなり書き下ろし。



☆ 「白銀ジャック」の続編。


【参考】 私のブログ


○ 東野圭吾氏・原作のテレ朝ドラマSP『白銀ジャック』キャスト・あらすじ



○ 東野圭吾氏の2010年以降の著作と私のブログ: 巻末※



☆ 東野氏のパーソナリティ ----


○ 年間40日はスノーホードに行くというスキー熱が、本作の随所に色濃く表れている。
本作舞台「里沢温泉スキー場」のモデルとなったのは、「野沢温泉スキー場」(長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9817)。
登場する禿鷹山のモデルは毛無山、日向ゲレンデは日影ゲレンデなど。
2013年のシーズン、1月下旬に野沢温泉スキー場に取材旅行に来ていたとのこと。

 

○ 大手電子機器メーカーの日本電装(現・デンソー)生産技術エンジニアOBの片鱗を示すように、電子技術・機器もふんだんに登場している。







【主な登場人物】


栗林和幸:
主人公の泰鵬(たいほう)大学/ 医科学研究所 主任研究員、スキーもスノーボードも下手。
栗林秀人(しゅうと):
和幸の息子、中学2年生、スノーボードに夢中。


山崎育美、川端健太、高野裕紀(ゆうき):
地元の板山中学校2年生、里沢温泉スキー場に来ている。裕紀の両親はスキー場内で喫茶店「カッコウ」を経営。


「白銀ジャック」にも登場していた------
根津昇平(ドラマ化では岡田将生さんが演じた):
里座を温泉スキー場パトロール隊員、優秀な元・スノーボードクロス選手。
瀬利千晶(ドラマ化では山下リオさんが演じた):
アマチュアのスノーボードクロス選手、大会出場のため里沢温泉スキー場に来ており、昇平とは顔馴染み。


折口真奈美:
泰鵬大学医科学研究所/ 補助研究員。
折口栄治: 真奈美の弟、スキーは程々に上手、事業に失敗。
 

東郷雅臣: 強面の泰鵬大学生物学部長 兼 医科学研究所/ 所長。


葛原克也: 泰鵬大学医科学研究所の元・研究員、「K-55」の開発者、脅迫犯。







【あらすじ】


「東郷雅臣殿 研究所にある最重要な品物が、二つ欠けているはずだ。ある場所に保管することにした。ケースは薄いガラス製の円筒で、氷点下まで冷したエボナイト製の栓で蓋をしてある。気温が摂氏十度以上になると、エボナイトの膨張によりガラスケースは破損するはずだ。写真の場所がどこであるか、見当がつかないだろう。だが発見のための目印として、そばの木に発信器を取り付けておいた。添付写真に写っているのがそうだ。方向探知受信機を使うことにより、三百メートル以内に近寄れば発信器を発見できる。・・・ そこで取引だ。こちらの要求に従ってもらえれば、写真の場所を明かし、受信機も進呈しよう。その要求とはずばり金銭である。三億円を用意してもらいたい。・・・ 二日後に改めて連絡する。・・・ 発信器のバッテリーは一週間しか保たない。・・・」(p29-31)


突然、所長に届いたメール。
それは、強力な感染症ウィルスを雪山に埋めた。雪が解けて気温が上昇すれば、散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え!! という趣旨の脅迫状だった。
新型の感染症を研究する泰鵬大学医科学研究所で、一人のモラルなき研究者が極秘に開発した生物兵器「K-55」が、盗み出され何処かの雪山に埋められたのだ。


実は、この研究所に勤務していた研究員・葛原克也が、独自に生み出した生物兵器で、当人は危険物を創り出したということで、解雇されていた。(p34)


葛原がスキー場のコースから外れた場所に埋め、近くの木にテディ・ベアを吊るして撮影。
作業を終えたところを、葛原は、パトロール隊員・根津昇平に見られコース外に出たことを注意されたが、謝って遣り過ごす。
そして遂に、不当解雇を逆恨みした元の職場宛てに脅迫メール(テロ予告)を送信した。(p1-10)



*


感染症を研究する泰鵬大学医科学研究所に勤務する主任・栗林和幸は、新型病原菌「K-55」が実験室から盗まれたことを知る。


「K-55」はバイオセーフティレベル4に相当する、感染力が強く致死率の高い上にワクチンもできていない新種ウイルスの炭疽菌(たんそきん)、従って生物兵器に転用されると危険極まりない代物(シロモノ)。拡散すれば人々を大量死に陥れる威力を持つ。(p32-33)


「K-55」は、埋められている場所のヒントは、テディ・ベア!!
手掛かりは、添付画像7枚の中にリフトの鉄塔がありスキー場らしき場所に埋められているのではないか!? (p47-48)
入っている発信器のバッテリーは1週間しか持たない。


和幸は警察へ届けた方がいいと東郷に進言した。
しかし、秘密裏に作られてしまった細菌生物兵器なので警察に通報することもできない。
バレると世間からの非難必至なので、東郷は自分たちの手で見つけ出すしかないと主張。
その癖、部下の和幸に対し、スキー場を突き止め「K-55」を早急に回収しろと厳命したのだ。
(p35-38, 51-53)


ところが、犯人が何と! 事故死してしまったのだ。
犯人との交渉が突如として不可能になった。
東郷のところへ警察から連絡が入って、当の葛原克也が関越自動車道/ 本庄児玉インター付近で起きた事故に巻き込まれて、死亡したことを知らされる。(p39-40)


東郷と呼び出された和幸は、警察に呼び出され、葛原が所持していた荷物の測定器のことを訊かれ、当大学で一般的に使っている機器だと嘘を吐いて持ち帰ることに成功した。
それは、問題の方向探知受信機であった。(p40-46)


*

窮迫した和幸は、中2の息子・秀人が、スノーボードが好きで何度もスノボ旅行に行っていることを思い出す。
急ぎ帰宅し、秀人に問題画像を見せて何処のスキー場なのか? と尋ねた。
スノボの道具を何でも買ってもらえる秀人は、早速、スノボ関係の友人知人に画像を見せ、
それが里沢温泉スキー場だと突き止めた。(p55-75)
和幸は、平日だというのに秀人とともに里沢温泉スキー場に向かう。
そんな彼らを、密かに追跡する者がいた・・・。


東郷は躍起になって調べ上げた結果、研究所内に厳重保管されていた「K-55」を、解雇した生みの親・葛原が、折口真奈美という補助研究員に手引きさせ渡ったからだと突き止め、和幸に連絡する。
一方、共犯の2人は、東郷の部屋に盗聴器を仕掛けていた。(p76-81)


翌日、和幸と秀人は里沢温泉スキー場近くの宿に到着。
和幸は、秀人にアドバイスを貰いながらスキー具をレンタルする。
もう20年以上もスキーをしていなかった和幸は、道具類やリフト施設など、あらゆる物が進化しているのを目の当たりにして、新鮮な驚きを感じていた。(p85-102)


スキー場での和幸は、秀人と別れて単独で恐る恐る山頂へ行く。
リフトで同乗した男性スキー客から話し掛けられるが、重要な使命を持つ和幸は面倒臭く思いながら振り切る。
リフトを降り思い切ってコース外へと滑る。
だが、非圧雪には向かない初心者向けの板に、未熟な腕前。
当然のことながら横転してしまい、更に厄介なことに、右足を挫いたらしく激痛が走る。
雪に埋もれて動けなくなってしまったのだ。(p103-108)


埋もれていた和幸を発見し、パトロール隊員・根津に通報した人物、それはリフト上で和幸に話し掛けて来た男性客の折口栄治だった。
実は、この栄治は犯行を幇助(ほうじょ)した真奈美の弟であり、和幸が「K-55」を発見次第、奪い取るよう指示されていた。
栄治には借金があり、姉の儲(もう)け話に乗ろうと和幸を尾行して来た男だった。(p129-140)


*


その後の展開-------
頼みの綱のテディ・ベア自体を紛失する。
細菌兵器が拡散する危機が迫る。
予想外の出来事が次々と彼らを襲う。
圧倒的なスピード感で二転三転する事件の行方。
予想を覆す衝撃の結末。(p140-397)


ゲレンデを舞台に繰り広げられるスピード感、ダイナミズムが冴える。


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※【参考】 東野圭吾氏の2010年以降の著作と私のブログ:

カッコウの卵は誰のもの(2010年1月 光文社 / 2013年 光文社文庫)http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11657909015.html

プラチナデータ(2010年6月 幻冬舎 / 2012年 幻冬舎文庫)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11488903191.html

白銀ジャック(2010年10月 実業之日本社文庫 / 2011年 実業之日本社)http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11903558906.html

短編・あの頃の誰か(2011年1月 光文社文庫)
・・・収録作品:シャレードがいっぱい / 玲子とレイコ / 再生魔術の女 / さよなら『お父さん』 / 名探偵退場 / 眠りたい死にたくない / 二十年目の約束。
http://blogs.yahoo.co.jp/tsn_take/6066159.html
<追加2015/1/20> http://ameblo.jp/aauasks/entry-11979441448.html

加賀恭一郎シリーズ・麒麟の翼(2011年3月 講談社 / 2014年2月 講談社文庫)http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11441688721.html

ガリレオシリーズ・真夏の方程式(2011年6月 文藝春秋 / 2013年 文春文庫)http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11564211802.html

マスカレード・ホテル(2011年9月 集英社 / 2014年 集英社文庫)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11559534320.html

笑小説シリーズ・歪笑小説(2012年1月 集英社文庫)
次回

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2012年3月 角川書店 / 2014年 角川文庫)・・・中央公論文芸賞http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11348432242.html

ガリレオシリーズ・虚像の道化師 ガリレオ7(2012年8月 文藝春秋)http://blogs.yahoo.co.jp/tsn_take/7004795.html

ガリレオシリーズ・禁断の魔術 ガリレオ8(2012年10月 文藝春秋)

夢幻花(2013年4月 PHP研究所)・・・柴田錬三郎賞

加賀恭一郎シリーズ・祈りの幕が下りる時(2013年9月 講談社)・・・吉川英治文学賞

疾風ロンド(2013年11月 実業之日本社文庫)
今回 http://ameblo.jp/aauasks/theme2-10085035856.html

虚ろな十字架(2014年5月 光文社)

マスカレード・イブ(2014年8月 集英社文庫)