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BSフジ『古事記の世界』~CGアニメでひも解く日本誕生物語
☆ 里中氏と三浦氏の解説が素晴らしかった。
【司会】 ホラン千秋(フリーキャスター)
【解説】
里中満智子(漫画家)
三浦佑之(立正大学教授)
【関係記事】
私のブログ(2014/12/11)
「体感 ! 古事記~日本はじまりの物語」
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【あらすじ】
私たち日本人はどのようにして生まれ、どこへ向かおうとしているのか。その答えが1,290~1,300年前の8世紀初めに生まれた日本最古の歴史書「古事記」にある。
ドラマティックな「古事記」の物語のハイライトを3D-CGアニメーションで紹介。そこに秘められた様々な「謎」をスタジオトークで紐解いて行く。
また、紀行パート「古事記の旅」では、今も残る「古事記」神話の里を訪ね、土地にまつわる伝説・民話や祭りと共に、今も残る雄大な自然・風景を美しい映像でお届けする。
第1話【国生み】、第2話【黄泉の国】のみ2013年6月に放送済み。
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■ 第1話「国生み~日本はこうして誕生した~」 12月29日(月) 10:00~10:55
イザナミの出産によって誕生する日本の国土、そして2人の神によって作り出されるありとあらゆる神々の物語をアニメで紹介。
紀行編では、日本の始まりの島といわれる瀬戸内海の小島「オノゴロ島」 ・・・淡路島の沖合の渦潮、「沼島(ぬしま)」の神宮寺縁起「自凝(おのころ)神社」・鞘型褶曲(さやがたしゅうきょく、最古の地殻変動)、
イザナキとイザナミがその周りを回って国土を生んだ「天の御柱」と伝えられる奇岩「上立神岩」など、古事記ゆかりの地を紹介する。
里中「神話は民族の価値観や好みを表している。日本人の元となった男女は大らかでいて欲しい、古代は女が積極的に社会参加し、権利も認められていた。
しかし当時の中国から取り入れた近代的律令国家構想からすると、女からではなく男から声を掛けるのでなければならないという価値観が出始めた。」
三浦「男系優位の社会への移行過程に、古事記の話が置かれていた。」
里中「古代は男女協力して稲作し集団生活をする社会だった。」
ホラン「日本の神話・古事記では先に世界が在ってそれから神が生まれたが、キリスト教の旧約聖書では神が先に居て世界と人間を創造したとなっていて、真逆。」
里中「キリスト教では絶対的な神の意思がある。しかし日本人はカッチリと分けるのが好きではないのか、何となくボアとして気が付いたらそこに世界が在ったというのが好み。5W1Hなどの論理に拘らない。」
三浦「誕生でもない絶対神が創造するのでもない、『成る』と表現し、気が付いたら居たというのが好み。
自然の循環のよう。臨床心理学の故・河合隼雄氏が『中空構造の神話』と言う、真中に居る一番偉いはずの天之御中主神は全く登場せず何もしない精神構造。」
里中「絶対的な力はどの神も持っていない。皆が集まって意思決定がなされる。余り強いリーダーは好きじゃないのかもしれないし、苦い体験があったのかも。」
縄文時代の終わりに南方から渡来した海人(あま)族が沼島を中心とした淡路の海に進出した。塩作り⇒海水を撹拌(かくはん)して渦の中から島を作った。
三浦「海人系の神話が働いている。」
里中「許袁呂許袁呂(コヲロコヲロ)という擬声語はその名残か?」
三浦「オノマトペ(擬声語・擬態語)は、欧米にほとんど無い。」
里中「やまと言葉の音を大事にしている。」
嘔吐物や排泄物からも神が生まれる。
三浦「嘔吐物は銅器の溶鉱炉、排泄物は陶器の粘土というように、具体的な物をイメージしながら神話を作っている。」
里中「命の循環がある。オーガニック農法には大切。全てに命があると考え供養する。無駄な物は何一つ無い。死は無駄ではない。」
三浦「大切な神の死がもっと色んな物を生み出すという循環と交代。特に火の神は文化の象徴。」
里中「死を受け入れ世の中の全てを受け入れて大切にするのは、日本人の豊かな心の表れではないか。」
出雲国の比婆(ひば)山(イザナミ葬)の麓に熊野神社、大トチの木(国の天然記念物)・イチイの木・ブナの原生林に御陵石。イザナミの降臨。その西の吾妻山からイザナギが吾が妻よと叫んだ。
三浦「絶対神の以前に、自然に対するアミニズム(精霊信仰)の中に生きていた。」
里中「生活も科学も、そこに在る物を利用して変化させてできること。無から創作したと傲慢(ごうまん)になると過ちを犯す。
神話は信じる信じないということよりも、そのような感性は大切としみじみ思うこと。」
三浦「医学とか哲学とか学問によって物事を説明しようとするが、生きて行く上で大事なことは何かが神話には語られている。」
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■ 第2話「黄泉(よみ)の国~日本人の死生観に迫る~」 12月30日(火) 10:00~10:55
夫イザナキとともに国土を生み、様々な神々を生んで来たイザナミノミコトが亡くなり、その死を悼むイザナキが、死者が住む黄泉の国へイザナミを訪ねるところから始まる。
紀行では、出雲国の「猪目洞窟」(黄泉国、縄文期の人骨多数)、東には伊賦夜坂(いふやさか)=「黄泉平坂」(よもつひらさか、生死の境)、それを塞ぐ巨岩「千引の石」での永遠の別れ、
妻イザナミが祀られた日本最古(1300年前)の揖屋(いや)神社、一つ石神幸祭(年に一度逢引して頂こうと願う海上の石)を紹介する。
里中「死んだらこうなると受け入れ難い諦(あきら)め切れないもの。」
三浦「横穴式古墳は玄室(げんしつ、棺を置く部屋)に繋がる長い羨道(せんどう)がある。古代人はしばしば行き来し死者の様子を見ていた。死者を穢(けが)れとして見ていない。」
里中「殯(もがり)といって、息を吹き返すことも稀にあるので通夜が1~2年間と長い、腐乱が進むので区切りをつけようと覚悟する。」
三浦「覗くという行為は、真実が見えやすい意。」
男女の複雑な愛情。
里中「結界をつけた夫に、愛するあなた、一日に千人をとり殺してやる。
それに対して夫は、愛する妻よ、ならば一日に千五百人産まれさせる。夫婦愛の根底に、国土は豊み人口は増えて行ったとさ。」
ホラン「初めて人間が登場しますね。」
三浦「美しい青人草。人間は草である。芽吹いて花が咲いて実が成って枯れるという循環を重んじた。」
ホラン「旧約聖書では、人間は神が作った土人形に神が息を吹き込んで生まれたとなっている。」
三浦「神が作るのに対し、草としてニューと出て来る。乾燥地帯と湿潤な気候の日本の違い。」
里中「四季の移り変わりに人生を置き換えるのは自然な発想。」
三浦「ラブストーリーがギリシャ神話と似ているとすれば、南方・海人系と混じり合った北方系ルートが持ち込んだのかもしれない。」
何故、出雲なのか?
三浦「出雲から大量の銅・青銅・鉄器が発掘され、強大な勢力が存在した。」
里中「出雲は神話の老舗ではなかったか。」
天照
里中「太陽神は農耕民族ではよくいらっしゃるけれど、男神が多く、月や農耕は女神が多い。」
ホラン「北欧神話の太陽神ソールは女神という位しか。」
里中「日本は古くから女性天皇が多く居た。卑弥呼も邪馬台国の女王。平和に治まってそんなに違和感がなかった。」
須佐之男
ホラン「大の男がビイビイ泣いている姿は情けない。」
里中「母親の愛を知らない子は気持ちを不安定にさせる。乱暴者で顰蹙(ひんしゅく)を買う。」三浦「子孫の出雲の神・大国主神の方が、母に助けられる物語が多い。祖神(おやがみ)が女神しかいないように、祖と言った時に父親は殆ど存在しない。出雲には母系世界が広がっていた。」
須佐之男を追放し国造りを終えたイザナキの御霊が鎮(しず)まった場所、淡路国一之宮・伊弉諾(いざなぎ)神宮が陵墓(りょうぼ)。御柱回合の儀・夫婦大楠。
真東に在る(北緯34°27′上の)天照を祀る伊勢神宮(内宮)、その中間点に古事記編纂の都・藤原京。都の人々は、日が昇る伊勢と日が沈む淡路の方角を拝んだのではないか。
里中「実感として分かる話が多い。神話というのは人々が納得したものしか生き残って来なかったのではと思う。民族の感性が込められ、民族のアイデンティティが物語によって認識される。」
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■ 第3話「天の岩屋~姉弟神の対決~」 12月31日(水) 10:00~10:55
高天の原(たかまのはら)を治める姉・天照大御神(アマテラスオオミカミ)と、弟・須佐之男命(スサノヲノミコト)が対峙した「誓約(うけひ)」とは何か?
紀行パートでは、アメノウヅメが舞い踊る「天の岩屋」の舞台となった宮崎県・高千穂を訪れる。東の岩戸川の上流に天安河原(あめのやすかわら)、岩戸川が流れ込む五ケ瀬川が作り出した高千穂峡とその真名井(高天原に在る泉)の滝、百か所以上の水神様。
三浦「誓約とは神の意思を占うこと。」
里中「占う前に前提条件が決められていない怪しさ。」
三浦「須佐之男は勝った勝ったと言うが本当のところが分からないまま。しかし日本書紀には、男児が生まれたら勝ちという前提が書かれた。天照の玉から男神、須佐之男の剣から女神が生まれ、天照の勝ち。それから男の初代天皇に繋がった。」
里中「天照は独身だったが、神話を続けるため都合良く男神を作った。」
三浦「古事記は何故、前提を語らなかったのか、須佐之男を勝たせたい意図があったのではないかという問題。」
里中「はっきりさせない方が宜しいという、農耕民族(共同作業、皆の顔を立てる)の日本の特徴。狩猟民族だったら白黒付けている。」
姉・天照と弟・須佐之男の関係
里中「須佐は思春期の情緒不安定、天照は母性本能(あの子は本当はいい子的な)。男らしさ女らしさの二本立て日本。」
三浦「邪馬台国の卑弥呼は祭り事、弟は政り事と分担した。」
須佐が馬の皮を投げ入れる行為が象徴する、死と生
里中「馬は力(武器・男性)の象徴で、須佐は過剰な神。」
三浦「アジアでは馬は生産~再生産(生命力・復活)の象徴。古事記の原型となる神話には、天照の死~籠りがあって、馬の皮による死は再生を暗示する。」
お祭り騒ぎの意味
三浦「太陽の女神が籠り世界が真っ暗闇となるのは、夜とか日蝕とかがあるが分かり易いのは冬至。太陽を死から復活させたいとドンチャカ騒ぐ祭礼が多い。」
里中「狩猟民族ならば素晴らしい生贄(いけにえ)を奉げる。農耕流の平和さが見える。」
ホラン「天照はリーダーとして頼りなく感じた。」
里中「リーダーに清らかさを求める。また、急激な変化には犠牲が伴うという認識。」
三浦「天照は鏡を知らなかったと芝居を打つという、思金(おもひかね)神の演出。」
里中「そろそろ出ていかなくちゃと思っていたので、渡りに舟。めでたしめでたし。曖昧故に誰も傷付かない緩さ加減。」
神様の中で守られながら生活している----
天照を引き出そうと神々が話し合った天安河原宮、
東の天岩戸神社の東本宮・西本宮と、天照が二度と隠れないようにした尻久米縄(鳥居と〆縄の起源)、
高千穂神社と夜神楽(よかぐら、三十三演目)による伝承。
須佐の追放
里中「力だけに頼る原始的な勢力が、色んな遭遇に知恵をつけて賢くなって行く成長物語、即ち建国神話。大したことはしないが清らかな天照を最高神とした心の在り方。」
三浦「須佐は、最後に根の堅州国の王として子孫の大国主を成長させた。その試練として必要だったのではないか。」
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■ 第4話「八俣大蛇(やまたのおろち)~英雄の誕生~」 2015年1月1日(木) 10:00~10:55
高天の原を追放され地上に降り立ったスサノヲノミコトは、恐ろしいヲロチに生け贄にされようとする娘に出会う。ヲロチ退治を引き受けたスサノヲノミコトの策略とは?
稲羽のシロウサギを助ける大国主神(オオクニヌシノカミ)も登場。二柱の神を通して日本人の英雄像を考察する。

里中「使命感を持つと人は成長する。」
三浦「ペルセウス・アンドロメダ型(多頭の竜を倒し姫と結ばれる)神話は、ユーラシア大陸に広がっており、その極東に日本がある。八俣大蛇には川の氾濫イメージがある。」
里中「氾濫を鎮める生贄としての娘。」
船通山(鳥髪山)~滝~暴れ川の斐伊川(ひいかわ、肥之河)~宍道湖~日本海、
八口神社・上流の天ケ淵・海潮山王寺の神楽
三浦「大蛇=自然に対し、須佐=文化として変貌しヒーローとなる。」
農耕の起源
三浦「あらゆる生産を司る大地母神・櫛名田比売(素晴らしい稲田の女神)と、自然から手に入れた種が結ばれる、稲作の起源。排泄物から宝物を出す娘が居たという南方系インドネシアのハイヌウェレ神話を継承している。
そして、農耕は最初の自然破壊でもあるのだ。」
須佐の安住の地として出雲の須我神社(日本初之宮、和歌発祥)、東の八雲神社
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る 其の八重垣を」
里中「単純な語の繰り返しが耳に残りやすくて心地良い。」
大穴牟遅(オハナムヂ・オホナムヂ、大地の神) ⇒ 大国主神(国の主)
因幡国の白兎海岸・白兎神社・御手洗池(みたらしのいけ)・淤岐島(おきのしま)
里中「兎の行いを詰るでもなく助けてあげるという女性的な優しさがある。力を誇示しない助け合いの文化。」
三浦「治療は単に医者ではなく王の資格に通じる。
また、動物が登場する神話は、出雲神話だけ。」
一方、奥出雲にも玉日女(たまひめ)神社・鬼の舌震(わにのしたふ)もある
三浦「和邇(わに)=海の神の化身であり、山奥の民と海の民との繋がりを想わせる。マレーやインドネシアに海の動物と陸の動物が騙し合い知恵比べをする伝承があり、勝つのは陸、即ち人間。文化ヒーローとなる大穴牟遅を勝たせるため、ワニ< 兎 < 人 に変化させたのではないか。」
須佐之男と大穴牟遅---二つの王者像
里中「闘うよりも知恵・対話。」
三浦「世界を切り拓く王から世界を治める王へと、地上世界の完成に向かう物語となっていて、うまい。」
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■ 第5話「根の堅州国(ねのかたすのくに)~新たなる試練~」 1月2日(金) 10:00~10:55
兄である八十の神々に命を狙われる大穴牟遅(オホナムヂ)の神(後の大国主神)。
逃れた根の堅州国で須佐之男(スサノヲ)の娘と恋に落ちる。スサノヲがオホナムヂに課した、「王者」になるための数々の試練とは?
紀行では、神の力が宿る石「翡翠」の原郷、新潟県・糸魚川を訪ねる。
須佐之男は、何故、死と再生を繰り返すのか
三浦「英雄神が冒険して成長して行く。死んでも蘇えり、別の存在と成って新しい生命を以って回帰する。死と再生は神話には多い。」
里中「死んだのにまた生き返るのは、特別に恵まれた力を持つ。但し、自力で克服する訳ではなく一人前には成っていない段階。」
ホラン「頼りないキャラクタでは。」
里中「疑うことを知らない素直さは魅力的で母性本能を擽(くすぐ)る。」
三浦「大穴牟遅を助けてくれる母を御祖(みおや)と呼んで、繋がって来た母系的性格を有する。母(おも)の乳汁(ちしる)=白、父の血汁(ちしる)=赤。」
キサカヒヒメ(𧏛貝比売、赤貝の神格化)
加賀(かか)神社・潜戸(洞窟)・乳水(岩清水)
三浦「出雲国風土記の神産巣日(かむむすひ)神の原型は海の彼方に在った。」
木の国
三浦「須佐之男が朝鮮半島から木の苗を持ち込み、息子の大屋毗古(おほやびこ)神」が森林にした。木の国を通って父・須佐の居る根の堅州国に行けるという考え方。」
里中「初めて男性に助けられ、父方を頼って行く=社会性を持って来る。」
ホラン「母親では助けられない場面が出始めた時ですね。」
婿(むこ)に与えられた試練と恋愛
里中「花嫁の父にある本音、努力の後に得た宝物。」
三浦「試練に打ち勝たねば婿=王になる資格を得られない。」
ホラン「でも恋人に助けてもらうんですよ。」
三浦「恋人や妻は大人に成ってこそ手に入る。青年期に入った表われ。」
里中「ネズミ=多くの一般の民・弱者の声を素直に聞き入れている。」
三浦「あらゆる声、人間の向こうの動物の声=神の声を聞くことができる、その能力こそシャーマンの資格有り。」
根の堅州国とは何か
里中「地下だが黄泉国と違って生命が溢れている場所。子孫も作っている。」
三浦「大祓(おおはら)いの祝詞(のりと)を見ると、海の彼方のあらゆる穢(けが)れ・元凶を追っ払い、受難を乗り越えて、新たな生命力を得る場所。例えば沖縄では、ニライ・カナイと言う。成長のために潜って行く不可欠な場所だった。」
大国主神となって、翡翠(ひすい)の玉・沼河(ぬなかは)姫との大恋愛
高志の国(越の国) ・糸魚川の姫川上流に小滝川翡翠峡~翡翠海岸、長者ケ原(工房)遺跡
出雲国が高志国との繋がりを重要視する理由は、古代の戦いは鏡・剣・玉の量で決まったから。
里中「翡翠は硬くて美しい。硬さは確固たる生命、緑色は若い生命の象徴。中国や朝鮮では翡翠が採れないので青磁・白磁を考案した位。」
三浦「翡翠は無償で贈られている、その保有と授受・移転によって、人と人を繋いで行く役割を担ったのではないか。」
出雲と高志の繋がり
里中「八俣の遠呂知(大蛇)は高志からやって来ている。出雲にとって脅威の存在で、戦うよりは平和的な条約(政略結婚)を選んだ。」
三浦「出雲は高志を配下に治め、一方、高志は出雲を別の角度で考えたのか。日本海沿岸には幾つもの勢力が存在し、駆け引きがあったのだろう。」
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■ 第6話「国譲り~日本国成立~」 1月3日(土) 10:00~10:55
試練を乗り越え、地上の王となった大国主神に、天照大御神を始めとする高天の原の神々は、国を引き渡すよう迫る。大国主神の下した決断とは?日本を二分した戦いの謎とは?
大国主神となったこの神が出雲の海辺にいる時、海の彼方からやって来る小人神がスクナヒコナである。二神はともに国を作ったが、その後スクナヒコナは常世国に渡った。
酒造りの神としてスクナミカミが語られるが、これはスクナヒコナと同神とされている。オホナムチが国土を造った神とされた。
三浦「武力と天の詔琴(のりごと)=政治・祭祀を須佐から手に入れた大国主は、盤石な王の資格。祖先神から兄弟の征服、出雲を中心とした地上の支配を認められた。」
里中「出雲の勢力拡大によって多くの婚姻関係が結ばれた。」
出雲大社の巨大な金輪御造営、荒神谷遺跡の銅剣・加茂岩倉遺跡の銅鐸は夥(おびただ)しい数、西谷墳墓群。
里中「出雲を外して民族の記憶は語れない。」
三浦「大和の大きな勢力以前に、日本海側に中心が在ったらしい。中国・魏志倭人伝(三世紀末)の中に倭国大乱の記述と重なる。出雲とヤマトの王権争いが想定できる。」
高天原の神と地上の神の決戦
国譲り、二度目の神殿の意味とは何か。
三浦「青谷上寺地遺跡から多くの人骨(陥没した頭蓋骨)が出土、武力によってねじ伏せようとした。」
里中「コテンパンにやっつけたぞとするのでなく、譲ったんだとして敵を政権に組み入れる日本人の感性。互いに傷付かず恨みを残さない収め方を取ろうとした。しかも出雲の祟りを避けようとする。」
三浦「古事記では、造るという言葉は使わず、治める=修理すると表現している。神殿を修めて両者が和解し、関係が修復される形。でも何か裏がありそう。」
出雲からヤマトへの国譲りの地・稲佐の浜。
州羽(諏訪)大社と下社春宮・下社秋宮・上社前宮・上社本宮、御柱、力比べは相撲の起源であり香取・鹿島・諏訪大明神と発するのは国譲り交渉人たち。
出雲を中心として栄えた諏訪大社(長野)・三内丸山遺跡(青森)・寺地遺跡(糸魚川)・真脇遺跡(能登)など日本海文化圏に集中する巨木建築。
敗者を凝集した代表として、出雲が位置付けられた。
出雲が神の世界を担ったのか
里中「相手の宗教観を否定することが征服と思うと必ず恨みが来るので、地域の宗教観を尊重し平和に治める。」
三浦「ヤマトが人間の世界を、出雲が死者の世界を分業化していると強調することが都合が良かった。」
日本海文化(筑紫--出雲--高志・州羽--各地)の終わりとヤマト時代の到来
里中「陸路じゃなく水路(川&海路)で繋がっていた。青森はおろか渤海(ぼっかい)まで。」
三浦「古い文化が繋がった水路を弱め、ヤマト政権は中央集権的律令国家を目指して、陸路=街道を放射状に築いて行く。」
古事記とは何か
里中「日本書紀が正当な歴史書とすれば、古事記は自分たちのアイデンティティー書。二本立ての面白さ。強い女に弱い男の物語で楽しい。」
三浦「古事記は語りである。語り手が出来事や登場人物をどう見ているか。無念の側=敗者に向かって語っているからこそ、今の日本人が読む意味はある。」
ホラン「現代の我々の生き方に役立ち、勇気がもらえます。」
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