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10/10(金)からNHK-Eテレでケンブリッジ大学フランス学部のサルトル実存主義哲学研究者、アンディ・マーティン氏による、「ケンブリッジ白熱教室」が始まったり、
10/7(火)からNHK放送大学で中東政治研究者、高橋和夫氏による、「現代の国際政治」(2013年度講座の再放送)が始まったりで、
学習意欲に燃えて来た折に、
妻が上野駅ナカのアトレ(atre)ポイントが貯まったと言うので、「明正堂」へ行くと、
探している本は取り寄せなので、折角だからと妻の目に飛び込んだのが-----
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伊坂幸太郎氏の最新単行本、「アイネクライネナハトジーク」。
幻冬舎(285ページ)2014/9/26刊。
■ 短編連作集
「アイネクライネ」・・・『papyrus』 2007年11月号に掲載。
「ライトヘビー」・・・斉藤和義のシングルCD『君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング~アイネクライネ~』 初回盤特典として収録。
「ドクメンタ」・・・『GINGER L。』 2011年SPRING号に掲載。
「ルックスライク」・・・『papyrus』 2013年2月号に掲載。
「メイクアップ」・・・『papyrus』2014年2月号に掲載。
「ナハトムジーク」・・・今回書き下ろし。
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★ 装画のコラボ
ミュージシャンのTOMOVSKY (トモフスキー、本名・大木知之)氏が描いた、宵になりつつある情景(小夜)。洒落た一枚だ。
仙台駅前のビル群、スーパーヴィジョンにボクシング・タイトルマッチLIVEが映し出され、空には飛行船、女学生の自転車姿、多くのペンギン群衆、など。
★ 楽曲とのコラボ
■ 「出会いにあたる曲の歌詞を書いて欲しい」と依頼され小説ならということで書いた。
・・・コラボ楽曲の斉藤和義の「君は僕のなにを好きになったんだろう」に収録されたc/o コラボ楽曲「ベリーベリーストロング~アイネクライネ」。
初回限定版の特典として伊坂幸太郎の短編「アイネクライネ」が収録された。
伊坂氏は、会社勤めをしながら小説を書いていた際、通勤中に「幸福な朝食 退屈な夕食」を聴いて退職を決意、執筆活動に専念することにした。
今回、本作と斉藤和義氏の新曲とのコラボが実現した。「アイネクライネ」は、「ベリー ベリー ストロング ~アイネクライネ~」を収録したシングル「君は僕のなにを好きになったんだろう」に初回盤特典として封入された。
失礼して歌詞の中抜き。
ベリー ベリー ストロング ああ つながってる誰かと
ベリー ベリー ストロング いつ どこで 会う?
ベリー ベリー ストロング ああ つながってる誰かは
ベリー ベリー ストロング いま どこに いる?
ベリー ベリー ストロング 会いたい あなたを見つけたい
ベリー ベリー ストロング まだ 気付いてないだけかな・・・
ベリー ベリー ストロング ああ つながってるあなたは
ベリー ベリー ストロング もう そばに いる?
■ 伊坂氏と斎藤氏と監督・脚本家の中村義洋氏、
最強トリオのコラボ関係:
「フィッシュストーリー」の映画化(2008年3月)で、劇中パンクバンド「逆鱗」の曲として「FISH STORY」を、エンディング・テーマ曲として「Summer Days」を提供。
「ゴールデンスランバー」の映画化(2010年1月)で、ビートルズの「Golden Slumbers」をカヴァー、オープニングテーマ・劇中歌として、また、エンディングテーマとして「幸福な朝食 退屈な夕食」を提供。
「ポテチ」の映画化(2012年5月)でも楽曲を提供。
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【短編に共通したテーマ】
『 ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。
奥さんに愛想を尽かされたサラリーマン、
他力本願で恋をしようとする青年、
元いじめっこへの復讐を企てるOL……。
情けないけど、愛おしい。
そんな登場人物たちが紡ぎ出す、数々のサプライズ!!
*
明日が待ち遠しくなること間違いなし!
ごく普通の人たちが巻き起こす、小さな奇跡の物語。 』
■ 平凡な普通の人生
「さあ、君の出番だ」。
極一般的な人々が主役となり得る物語。
伊坂ワールドらしからぬ平穏なヒーローがいない世界。
珍しく、誰も殺されない、強盗も起こらない、凶悪犯が登場しない。
殺し屋も超能力者も出て来ない、特殊・キテレツな設定も施されていない。
■ 出会い
何気なく過ぎて行く日常の「出会い」。
日常の中に奇跡や運命が紛れ込んでいて、何れも出会って良かったと感じる。
絡まって織り成して行く小さな奇跡。
ゆったりと流れて来る小夜曲のように、軽妙でテンポの良い音楽を聴いているような作風。
■ 恋愛
フツーの人々の恋愛物語、
それらの人間関係が少しずつ織り成し紡ぎ出す、サプライズ(エピソード)の数々。
ささやかで何だか情けないけど愛おしい。
悲観的な状況で、TOMOVSKYさんの世界のような可愛さ・苦笑いが漂う楽観的な小話。
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【伊坂氏お得意の用語術(Terminology)、キーフレーズ】
■ 「アイネクライネ」
独語eine kleine = 英語a little ・・・僅かな・ちょっぴり。
その時は何だか分からなくて、ただの風かなあ、と思ってたんだけど、後になって、分かるもの。ああ、思えば、あれがそもそもの『出会い』だったんだなあ、って。
それは、小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいに? 。
マーケットリサーチ会社で勤務していている"僕"。ネット全盛の時代に、ミスした罰として街頭アンケートを取ることになり、拒絶ばかりされて沈んで行く中、応じてくれた女性。
出会いがないって理由が一番嫌い。
後になって、あの時あそこにいたのが彼女で本当に良かったって、幸運に感謝できるようなのが一番、幸せなんだ。
■ 「ライトヘビー」
英語heavy ・・・重い、濃厚な(セックス)、素敵な(音楽)。
それを和らげるlight ・・・かなりな。
劇的でロマンティックと勘違いしてる。重いだけ。
行きつけの美容師から、恋人候補として弟を紹介され、その弟と電話だけでの関係が始まる。
変な旦那も、今となってはスイカにつける塩みたいに思えるようになった。
日本人初のボクシングヘビー級チャンピオン挑戦のテレビ中継を、一緒に見ようと誘われる。
他力本願で恋をしようとする青年。
■ 「ドクメンタ」
独語dokumenta、英語document(-ary)・・・絵画展、免許証などの証明書、記録、絵画展名。
5年に1度の「再会」。
愛想を尽かされ、或る日突然に妻と娘に家を出て行かれるサラリーマン。
5年ごとの自動車運転免許の更新毎に、同じ女性と再会する。
夫婦の関係は外交と同じだ、人の傷みは当の本人以外の人間が憶測で語ってはいけない、
意地を張るのは百害あって一利なし、全ては積み重ねなのだ、の教訓の数々。
■ 「ルックスライク」
英語like ・・・類似、好み。
look like 嫌いな父親と「外見が似ている」。
just like 「そっくり」は「大好き」の誤訳。
ファミレスでのクレームを仲裁した縁で付き合うことになった2人。
何時か自分がサプライズをする側になってみたい。
自分が正しいと思い始めたら自分を心配しろ、相手の間違いを正す時こそ言葉を選べ、の教訓。
■ 「メイクアップ」
英語make-up ・・・化粧する・扮装する、仲直りする。
或る化粧品会社の広告レディー。
高校時代の苛めっ子に「遭遇」。
企てる復讐。
そのまま同じようにしてしまったら、昔の自分までも否定することに繋がる、との自戒。
■ 「ナハトムジーク」
独語nachatmusik = serenade ・・・恋人や女性を称えて演奏される楽曲・情景、小夜曲。
モーツァルトの『Eine kleine Nachtmusik ト長調 K.525』。
1.アレグロ(ソナタ)、2.ロマンツェ(アンダンテ、三部)、3.メヌエットとトリオ(アレグレット)、4.ロンド(アレグロ)。
最終章のロンドは、異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される。輪舞曲=大団円。
「夜の音楽のよう」に各エヒソードの続きが描かれる。
危ない場面を見て「君子危うきに近寄らず」と思い掛けて、自分は君子だろうか? いや違う、その場から離れてはいけない。根性はねえけど野次馬根性はある。昔のものが全部悪いってわけじゃないし、現代の流行や常識にだっていいものと悪いものがある。親になるのに資格試験がないというのが恐ろしい、そんなことになったら親になれる人が全然いなくて人類滅びちゃう。など伊坂流の数々の名フレーズ。
現在~10年前~19年前と、時代を跨って登場人物が少しずつリンクする。
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【付録】 伊坂氏に関する私のブログ(2010年以降)
▽ 小説
・オー! ファーザー(2010年3月 新潮社) http://blog.goo.ne.jp/tsn_take/e/c6de805e2d8f4fa6581ea60eea4070b2
・バイバイ、ブラックバード(2010年6月 双葉社 / 2013年3月 双葉文庫) http://blogs.yahoo.co.jp/tsn_take/3378362.html
・マリアビートル(2010年9月 角川書店)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11352577688.html
・PK(2012年3月 講談社)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11710425958.html
PK(『群像』2011年5月号)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11710425958.html
超人(『群像』2011年7月号)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11716769977.html
密使(『NOVA 5』2011年8月5日、河出文庫)
・夜の国のクーパー(2012年5月 東京創元社)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11691394810.html
・残り全部バケーション(2012年12月 集英社)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11863450740.html
残り全部バケーション(Re-born はじまりの一歩、2008年3月、実業之日本社)
タキオン作戦(『紡』vol.1)
検問(『小説新潮』2008年7月号 ザ・ベストミステリーズ2009に収録)
小さな兵隊(『小説すばる』2012年10月号)
飛べても8分(単行本書き下ろし)
・ガソリン生活(2013年3月 朝日新聞出版)
http://ameblo.jp/aauasks/entry-12030874351.html
・死神の浮力(2013年7月 文藝春秋 書き下ろし(冒頭のみ『別冊文藝春秋』2012年1月号) http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11584187215.html
・首折り男のための協奏曲(2014年1月 新潮社)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11787831522.html
首折り男の周辺(『Story Seller』2008年SPRING)
濡れ衣の話(『小説新潮』2010年7月号)
僕の舟(『小説新潮』2011年12月号)http://blog.goo.ne.jp/tsn_take/e/81b918f78473a03f9f216848dfcc02eb および http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11399326067.html
人間らしく(『新潮』2013年1月号)
月曜日から逃げろ(『yomyom』2013年冬vol.27)
相談役の話(みちのく怪談専門誌『幽』荒蝦夷2011年2月号)
合コンの話(『Story Seller vol.2』2009年SPRING)
・アイネクライネナハトムジーク(2014年9月 幻冬舎)
http://ameblo.jp/aauasks/entry-11942447274.html
アイネクライネ(『papyrus』 2007年11月号)
ライトヘビー(斉藤和義のシングルCD『君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリー ストロング~アイネクライネ~』 初回盤特典として収録)
ドクメンタ(『GINGER L。』 2011年SPRING)
ルックスライク(『papyrus』 2013年2月号)
メイクアップ(『papyrus』2014年2月号)
ナハトムジーク(単行本書き下ろし)
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▽ エッセイ
・3652 伊坂幸太郎エッセイ集(2010年12月 新潮社)http://blogs.yahoo.co.jp/tsn_take/428728.html
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▽ アンソロジー(競作短篇小説)
・蝦蟇倉市事件1(2010年1月 東京創元社)「浜田青年ホントスカ」
・NOVA 5(2011年8月 河出文庫)「密使」
・Happy Box(2012年3月 PHP研究所)「weather」
・しあわせなミステリー(2012年4月 宝島社)「Bee」 兜シリーズ第2作http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11352577688.html
・あの日、君と Boys(2012年5月 集英社文庫)「逆ソクラテス」
・最後の恋 MEN'S: つまり、自分史上最高の恋。(2012年5月 新潮文庫)「僕の舟」
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▽ 単行本未収録作品
・ついてないから笑う(『ダ・ヴィンチ』2010年3月号)
・クリスマスを探偵と(『文藝別冊 伊坂幸太郎』)
・小説新潮の話(『小説新潮』2011年1月号)
・AX(『野性時代』2012年1月号)兜シリーズ第1作
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11352577688.html
・月曜日から逃げろ(『yomyom』2013年冬)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11730654770.html
・Crayon(『小説野性時代』2014年2月号)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11919840483.html
・二月下旬から三月上旬(『新潮』2014年6月号)
http://ameblo.jp/ashhrr/entry-11920422346.html
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