アースルーリンドの騎士『二年目』43 学年無差別剣の練習試合、表彰式 28 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

暑いので、イラスト仕上げたら

更新忘れてました。

「幼い頃」の方のイラストですが

いちおう奥がローランデなんで…。

今日が晴れ舞台なのに、後ろでごめん。ローランデ。

ギュンター、ダメージ大きいみたいですね…。

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王冠2 アースルーリンドについて。国の紹介
王冠2 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)

恋の矢「二年目」を最初から読む恋の矢
宝石ブルー『幼い頃』を最初から読む


一気に静まり返る場内で…皆、固唾飲んで見守る。

そして…その名が、呼ばれた。

「黄金のグリフォン!
二年、ローランデ!」

…ぅ…おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

始め静かだった声がどんどん、大きくなって、校長の前に歩運ぶ、歴代黄金の獅子手にする、誰よりも小柄なローランデの姿に、誰も異論無く褒め称える。

「ローランデ!」
「ローランデ!」

二年から、感極まったその名を叫ぶ声が飛ぶ。

ローランデが校長から、頂点である黄金のグリフォン像を手渡されるともう…沸き出していた。

その名を呼ぶ、声の揃った津波のように轟き渡る声援。
「ローランデ!」
「ローランデ!」
「ローランデ!!!」

声援の中、ローランデは像を手にし、一瞬、躊躇うように俯き、そして…振り向く。

ぅおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

ギュンターは講堂が、揺れていると感じた。
その声の凄まじさに。

ローランデは像をゆっくり掲げると、雄叫びが再び轟き渡る。

おおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

その、あまりの凄さに、ギュンターはつい中央、誉れ高い地位に居る二年、貴公子を見た。

色白の肌。どこ迄も澄んだ青い湖畔のような瞳。
濃い栗毛と明るい栗毛が交互に混ざる、独特の長い髪を品良く背に流した、たおやかなる姿。

戦っていた時見せた、凛とした気構え無く、どこか戸惑うような…それでいて誇らしげに頬染める、美しい横顔。

ローランデがゆっくりその像を掲げたまま、向き変えながら一年、二年、三年、四年達へとその像を示す。

そして像を下げると…彼はすっ…と片膝曲げて床に付けると、左手を真横水平に残したまま頭、優雅に下げ、そして横に伸ばした左手をゆっくり…胸の前へと、拳握り折り収めた。

咆吼は拍手に次第に代わり行き、皆静かに…が、津波が轟くように、その名を唱えだした。

「ローランデ!」
「ローランデ!」
「ローランデ!!!」

二年達はもう、半数以上が泣いていて、自分達の代表の素晴らしさに、感涙していた。

三年からも四年からも、暖かい拍手が下級である筈の、ローランデに注がれ続ける。

オーガスタス相手に、最後の最後まで諦めず果敢に攻めたローランデの姿が、去年、最高峰ディアヴォロスに向かっていった勇姿とダブり、よくぞ一年間、奢らず精進した。
そう労るように……………。

ギュンターは拍手に、加わろうとし…肩に腕に、鋭い痛み走るのに顔、歪める。
せめて、拍手くらい…。
そうは思ったが、身を支え続けた右腿迄が僅かに動く度、息が止まりそうな筋肉痛が一瞬、駆け抜けて行く。

ギュンターは結果、震えながら、痛む右腕を、左手できつく握り続けていた。




つづく。




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