ある意味ディアヴォロスでも出来ない事を
ギュンターはした訳だから
ギュンターってエラい………。



アースルーリンドについて。国の紹介
イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)
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「…どうして止めなかった?
騎士に…剣士に、成りたかったんじゃ無いのか?」
その時、セシャルの肩がびくっ!と震えた。
彼は俯いたまま唇を固く噛んだ。
「…そうです!私は………私はここに来る為に、手の平を血だらけにし、全部のマメが潰れる迄剣を振って来ました!
…………父が雇い入れた剣の講師は高名で、その講師にもお墨付きを貰い父は…目を細め、誇らしげに私を見つめた!
家に…逃げ帰ろうとする度、どうしても…そんな父を思い出す…。
だからどうしても………………帰る…事が……………」
ギュンターは彼が、泣くのでは無いかと思った。
が彼はきつく拳で膝を握り、渾身の力で泣く事を拒絶していた。
セシャルはそしてすっかり顔を髪に埋め、俯き囁く。
「…ディアヴォロス様はご存知でした。
そんな私に…自分が良い様にするから…と。
でも同時に…千里眼のあのお方は解っていらした…」
そしてセシャルはようやく…ギュンターに振り向いた。
「最初酷い体験をした私に…コルスティン様は同情し、グーデン様に直訴し…出来うる限り…他の男達との情事は止めるようにと………。
グーデン様ですら…意見を聞かなくてはならないお方に話を通し、大変なご苦労をされて………彼だけのものに…。
あのお方は………私を抱く時、それは大切に…して下さった!
大勢の男に汚された身なのに…丸で…………」
「…恋人のように?」
ギュンターが尋ねると、セシャルは頷く。
「それで私は………あの頃、ひどい精神状態でしたから…その、すっかりコルスティン様に……………」
「惚れていたのか?」
セシャルは俯き、こっくりと頷いた。
「…彼に、夢中でした。
剣士としての道を絶たれたも同然で…だ…から…あの方が世界の全てに成って行った。
…それでもディアヴォロス様はおっしゃって下さった。
『いつでも…いつでも辛ければ私を頼ってくれ』
そう………。
そして悲しそうな…とても悲しそうな顔をされて…………」
自分の苦境を語る時は泣かなかった彼が…その時、初めて涙を見せた。
背を向け、去って行く背の高い貴人。
悲しげな表情の残像をその瞳に残し。
セシャルはその姿を思い浮かべると、胸が潰れそうな表情をした。
「…卒業される、その時迄気にかけて下さった。
最後に、寂しげに微笑っておっしゃった。
『君を私が…強姦してでも奪い取りたかった』
…けれどあの方は多分、そんな事をされなくても私を奪い取れた。
でもそうしなかったのは…私の心が引き裂かれる事を、ご存知だったから………」
「…コルスティンを、想って?」
セシャルが、頷く。
つづく。
今日も読んでくれてありがとう
