アースルーリンドの騎士『二年目』29 合同授業の行方 10 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

今日は文は大丈夫ですが

絵が18Rですね。


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王冠2 アースルーリンドについて。国の紹介
王冠2 イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)



 ギュンターを見送り、ディングレーは寝室の、扉を開ける。

寝台の上にはマレーが裸でシーツを纏い、まだ、突っ伏していた。

ディングレーはそっ…と、果実酒の入ったグラスを取り、寝台の横からマレーを伺う。

寝台の端に腰降ろし、囁く。
「…済まない…。加減が出来無くて」

その声に、反射的に振り向くマレーの、ヘイゼル色の瞳にはいっぱい涙が溜まっていて、ディングレーは一瞬、思い切り怖気て引く。

が、自分のした事だ。
と、そっと華奢な肩にかかる美しい栗色の巻き毛を取り除け、優しく囁く。

「…ひどく…痛かったか?
すまない。今薬草を持って来るから」

が、マレーは涙を瞳にいっぱい溜めたまま、首を思い切り、横に振る。

そして、腰を上げようとするディングレーの、濃紺のガウンに縋り付く。

華奢な白い指が衣服に絡み、ディングレーは浮かしかけた腰を下ろすと、マレーが身を起こし、ディングレーの胸へ、その顔を埋めた。

「…違うんです………」

華奢な体が絡むように縋り付き、掠れた声でそう告げられた時、正直ディングレーは内心ビビリまくったがおくびにも出さす、うんと優しい声色を作り、訊ね返した。

「何が?」

マレーの小さな顔が、胸に擦りつけられる感触がする。
…細い腕を上げ首に回し、泣き濡れた瞳でマレーに見つめられ、震える赤い唇で、告げられる。

「…こんな…風に快感を感じたのが初めてで、それで…………」

そして、マレーはとうとう、ポロッと涙を頬に滴らせて、言った。

「ずっと吐き気と嫌悪感が…絶対抜けなかったのに……。
でも今ではもうすっかり、ありません………」

それが、凄く幸福な事のように、マレーに感謝を込めて首に抱きつかれ胸に顔を伏せられ、ディングレーはやっぱり、ビビリまくっていたが、マレーの華奢な細い体を、抱き返した。

だって…どう頑張っても、こんな幼気(いたいけ)に心からの感謝を体毎告げられては…彼を、愛しく思わない方が、どうかしている。

ディングレーは大切なものを抱くようにマレーを抱きしめたから、マレーはとうとうしゃくり上げて、ディングレーの胸に泣き伏した。

ディングレーは泣くマレーの背を、そっと…いつ迄も、彼が泣き止む迄、優しく擦(さす)り続けた。





つづく。
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