登場人物紹介「・・・・・・本当に、ここに上がるの?」
古い石レンガの積まれた焦げ茶色の、そびえ立つ壁はそれでも夜空のもと、黒っぽく見えたし、そこにぽっかり開いた真っ暗な入り口は、上がアーチ状に成ってる縦穴で、古くて、かび臭い匂いがした。
中に伺い見える、すり減り、年季の入った石階段は、上に続いていた。
ファントレイユは思い切り、そんな狭い洞窟のような暗く湿った階段を進むのは気が引けて、戸惑うようにテテュスを見た。
が、テテュスはその『光の国』の少年に言った。
「・・・ここを上がれば本当に、頼りになる大人に、会えるんだね?」
少年が頷き、テテュスはファントレイユを見つめ、頷いた。
ファントレイユはその時、思った。
テテュスの濃紺の瞳は、魔法みたいだ。
だって見つめられただけで凄く安心で、あの洞窟の階段がもう、怖くないもの・・・。
テテュスの手に引かれて、ファントレイユは一緒にその、小さな大人が精一杯の、縦穴のような古びた階段を、登り始めた。
つづく。

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「アースルーリンドの騎士」番外編『ファントレイユとの出会い』http://hoshi-suna.jp/book/cover/?boid=761
大幅加筆しました

空き時間にお楽しみ下さい。