登場人物紹介「・・・・・・・・・・・・・・・。」
ギュンターはゼイブンがようやく人を頼るのを止め、暗闇の中をごそごそと動き回ってるのに、気づいていたが、床に両膝を交差させてだれて座り込み、手の上に顎を乗せてゼイブンの、こそ泥のような足音を黙って、聞いていた。
「・・・・・・・・・・・・っ!」
その声に顔を、上げる。
だが真の暗闇で、側に近寄る為には両手で障害物を探りながら進むしか、無い。
「・・・ちっ!」
指を切ったのか、舐める音が微かにし、ギュンターはとうとう腰を、上げた。
両手で前を探る姿は絶対無様だと思ったから、暗闇で良かったと思いつつ、結局ゼイブンの、後ろに引いた足に、つまずいてゼイブンの肩に、顔をぶつけた。
どさっ!
ゼイブンは肩にギュンターの顔が降って来、ぎょっとしたように振り向き、唸った。
「襲う気か?
だって俺は、不味そうなんだろう?!」
ギュンターはいきなり腹を立てて怒鳴った。
「間違えるな!そんな気は、全く、無いし第一其処まで悪趣味じゃ、ない!」
ゼイブンがほっとしたように、頷く気配がし、ささやき声が聞こえた。
「・・・それに殴ろうったってこの闇じゃ、顔がどこかも解らんだろうからな」
だがギュンターはつぶやき返した。
「暗闇だろうが、殴る気なら別に、拳を振り回しゃ当たるだろう?」
ゼイブンが、睨んだ気が、したが多分睨んでるんだろう。とギュンターは思った。
だが、ゼイブンがいきなり、何か鋭い物を振り、その先端の気配にギュンターはぎょっとして、顔を下げる。
ゼイブンははっと気づき、慌ててつぶやいた。
「・・・・・・ああ・・・・・・。悪い。
見えないんだよな。
その綺麗なツラを、掠ったか?」
「・・・ナイフを取り出すんなら、事前にそう言え!」
ギュンターが怒鳴ると、ゼイブンの心配げな声が、した。
「・・・顔を、掠ったのか?」
ギュンターは唸った。
「・・・大人しく刺されるか!
ちゃんと避けたさ!」
ゼイブンはほっ。と吐息を、吐いた。
「よっぽどの事が無いとあんたに傷が付けられなくて、良かったぜ」
ギュンターは唸った。
「それは、誉めてんのか?」
「まあ、一応な。あんまり、俺に顔を寄せるなよ。幾ら綺麗だって、野郎に顔を寄せられる事くらい、不気味な事は無い」
「・・・・・・・・・好きで寄せるか!
見えないだけだ!」
つづく。

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