「二手に別れるなら、お前は下だろう?!」
だがゼイブンはその野獣に、喰ってかかった。
「・・・どうして下だ!俺のカンは上だ!」
ローランデは彼らの一階上から、振り向いて怒鳴った。
「その縁の扉は確認しそびれた。
言い争ってないで、開けてみてくれ!」
二人は言われて、階段の横に続く、壁に伝う通路の先の扉を見つけ、一緒に気の進まぬ様子で、進んで扉をそっ、と開けた。
「・・・真っ暗だな」
ギュンターが言うと、ゼイブンがこっそりささやく。
「ファントレイユ。
かくれんぼしてる場合じゃ、ないぞ?」
だが、暗闇に二人がそっと中を進むと、背後でバタン!と大きな、音が、した。
扉が閉まり辺りは真っ暗に成ったが、二人は気にする事無く壁を伝って、奥へと進む。
ギュンターが、後ろに続くゼイブンに、唸った。
「並んで進んで、どうする。お前は反対側から来い!
ローフィスの言った通り、一部屋しか無いなら、途中で俺とかち合う筈だ」
「思ったより、かしこいな」
ゼイブンに言われ、ギュンターは思い切り、目を剥いた。
つづく。

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