アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』晩餐での冒険28 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

ローランデはゼイブンにもう、三度目配せした。
だが、三人の豊満な美女を周囲に侍らせ、ソファに身を沈めるゼイブンは、その場を去ろうとしない。
とうとう、ローランデは意を決して美女の肩を抱くゼイブンの前につかつかと歩み寄ると、身を屈めその肩を掴んで引き、とてもよく響く、低い声で言った。
「・・・悪いが、今晩彼は、私と約束が、ある」
さっ!といきなり、美女達が、抱きつくゼイブンからその手を離す。
ゼイブンはとても美男に見える引き締まった表情のブルー・グレーのきつい瞳で、そう告げる、静かに挑みかかるように迫力あるローランデの青の瞳を見据えると、つぶやく。
「・・・そうだったかな?」
ローランデは静かにつぶやき返した。
「忘れて貰っちゃ、困る。
私に優先権が、ある筈だ」
顔を寄せてくるローランデのその真剣な瞳に、ゼイブンはだが一瞬怒りを忘れた。
が、周囲の美女達は彼女達のお気に入りの美男に、その貴公子が口付けるように見えて、ぎょっとした。
「・・・私の用は、君にとって、とても大切な事の筈だ」
ローランデが、顔の間近でつぶやくと、ゼイブンはようやくそれが、ファントレイユについてだと思い当たって、身をソファから、起こした。
ローランデは下がらなかったから、二人は抱き合う位に近く体を寄せていて、彼女達は卒倒しそうだった。
が、ローランデはゼイブンの耳に顔を向けてささやく。
ゼイブンはそっと頷くとようやく、ローランデは彼から離れた。
ゼイブンはさっと視線を泳がせ、息子が消えたという問題の潜り戸を探し、そこにディングレーとオーガスタスの姿を見つけて駆け寄ろうとした。が、ギュンターにぎんぎんと睨まれ、つい後ろに居るローランデに振り向き、ぼやいた。
「俺に妬くなんて、どう頑張っても見当違いだと、ギュンターに言ってやってくれないか?」
ローランデは、現場を見ていたギュンターのきつい射るような睨み顔につい視線を送ると、吐息を吐いて下を、向いた。
「・・・だってギュンターとは、こういう時言葉が通じない」
ゼイブンは軽く、頷いた。
「野獣だものな。でも、調教手段くらい、あるんだろう?長い付き合らしいし」
ローランデが顔半分背の高いゼイブンを見上げて怒鳴った。
「そんな方法があったら、オーガスタスやディングレーを煩わせるか?!」
ゼイブンは暫く、我を忘れて狼狽える、珍しいローランデをたっぷり見つめ、かける言葉もなくて、ただ頷いた。

つづく。

宝石赤宝石緑 この連載を、始めから読む星


ひらめき電球ひらめき電球ひらめき電球ぽち。してね音譜

恋の矢恋の矢恋の矢こっちもねキラキラ