アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』三人の子供と騎士達編124 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

オーガスタスは二階の客間から、庭を見て、唸った。
「シェイルが・・・レイファスとテテュス相手に、鬼ごっこしてるのはいいが・・・」
鬼ごっこ。でついディングレーが体を椅子から、持ち上げてオーガスタスの横迄来る。
昼の陽光輝く広いバルコニーに続く、カーテンを風が巻き上げなぶる窓辺で、腕組んで立つオーガスタスの隣から彼を見上げた後、ディングレーもつい庭の様子に目を落とすと、黙り込む。
が、そっとささやいた。
「・・・あれがあんたの目にもやっぱり、ゼイブンに見えるか?良く似た髪の、他の誰かじゃなくて?」
ディングレーにとても慎重に尋ねられ、オーガスタスは彼を見つめ返した。
「あの髪の色はゼイブン以外はファントレイユしか、俺は知らない。
あの髪の色の他の知り合いが、居るか?」
逆に問い返されて、ディングレーはオーガスタスを腑に落ちない様子で見つめ、いや。と無言で首を横に、振った。
ローフィスはようやく椅子から立ち上がると、呆けて庭を見る二人の友人の横に、立った。
そして、視線の先をおもむろに探る。
緑が鮮やかな芝生と、白いテラスと花が色とりどりに咲き乱れる美しい庭。
その向こうの大木を挟んだ、土の見える剣の訓練をするいつもの場所で、ローランデの独特な髪の色では無く別の・・・。神聖神殿隊付き連隊で見慣れた色が、同色の髪をした子供と剣を振っているのを、ローフィスは目に、した。
ローフィスの反応が無く、ついオーガスタスもディングレーも、彼を注視する。
ローフィスは無表情だったが、ぼそりと二人に問う。
「俺は、酔っぱらってるのかな?」
オーガスタスとディングレーは顔を見合わせると、オーガスタスが言った。
「実は俺もそれを、お前に聞こうと、思ってた所だ」
ローフィスが二人に振り向くと、ディングレーも自分もそうだ。と頷いた。
ローフィスは俯くと、ささやく。
「・・・ローランデが居なくて・・・ゼイブンが居て、ギュンターの姿が、無いんだろう?」
ローフィスは顔を上げなかったが、ディングレーがぎくっとする気配を感じた。が、オーガスタスは肩をすくめた。
「だがアイリスも、居ない」
ローフィスはそっ・・・と顔を上げて、教練から馴染みの、素晴らしい体格で長身の、いつも頼もしい友を見上げる。笑ってない彼は端正に見えたが、その鳶色の瞳が輝き表情に笑顔が浮かぶと、彼は太陽に見えた。
が、いつも戦闘の時になると、ゆったりと構えた、ライオンを彷彿させる。
だが決して仲間に牙を剥かない、良く人に慣れた猛獣で、同学年で、顔を合わせる度いつの間にか友達に、成っていた。最も・・・オーガスタスの周囲には、彼の懐の広さに彼を慕う男達が集っていたから、自分だけが親友ではなかったが。身分重視の卑劣なグーデンを忌み嫌う男達は皆、オーガスタスの懐に集い、彼を筆頭に結束していた。
その仇と敵対していたグーデンの弟、ディングレーが横でつぶやいた。尊大な黒髪の、大貴族を名乗るにふさわしい威厳のある男だったが、彼が幼少の頃にちょっとしたいきさつがあったせいで、ディングレーの方はローフィスにいつも、一目置き、自分を祭り上げる身分の高い同学年の取り巻きがローフィスにつっかかるのを、いつでも止め、敬意を払え。と言わんばかりの態度で仲間を制してきた。
照れ屋で、意外に可愛い男だとローフィスにバレてから、ディングレーの方もほっとしたようにローフィスの前では素の自分を、出すようになった。
「そうだな。ギュンターが連れ込もうとしても、ローランデが大人しく従う筈も無い」
その言葉に、ローフィスは頷く。
「絶対シェイルが喧嘩売る筈だ」
オーガスタスがぶっきら棒に、言った。
「・・・仮に、連れ込んだとしても、屋敷の管理はアイリスの管轄だしな」
三人は顔を、見合わせた。
ディングレーが、そっとつぶやく。
「・・・確かに俺も目を、疑ったが・・・」
オーガスタスも長年馴染みの、軽そうに見えて芯の一本通った、彼でさえ一目置く長年の友、ローフィスを見つめ、後を続けた。
「長年奴と付き合ってると、あれを見てゼイブンが心を入れ替えて息子の面倒見る気に成ったと、素直に思えないものなのか?」
ローフィスは顔を上げ、二人の友が実直に訊ねてくる真顔を見、肩をすくめ、素っ気なく言った。
「無理だろう?だってゼイブンには、入れ替える心が、無い」
ディングレーが顔を下げ、オーガスタスの、大きなため息がその場を、包んだ。
つづく。
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