アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 131 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

ギュンターがつぶやいた。
「あんたの愛の力で、変えられないのか?」
ゼイブンが並外れて美男の金髪のギュンターを、たっぷり見た。
「俺がアイリスよりいい男なら、セフィリアも考えを、変えたかもしれない」
ファントレイユが顔を上げた。
「ゼイブンはちゃんと、凄くいい男なのに?」
オーガスタスもディングレーも、そのファントレイユの賞賛に微笑んだ。
だがゼイブンは肩をすくめた。
「アイリスに勝てるか?彼にタメ張ろうとする男は、ギュンターくらいだろう。身分が無い分、押し出しの強さと、態度と顔の良さで、隣に並べる」
ギュンターが、アイリスを見た。
アイリスはげんなりしてつぶやく。
「ゼイブン。そんなに私を買ってくれて嬉しいけど、全然尊敬してないだろう?」
ゼイブンは目を見開き、異論を唱えた。
「尊敬してるさ!女だけで無く公平に男も相手にする。色男の見本のような男だ!」
ローフィスが、頬に手を当てて思い切り、ため息を付き、シェイルがローフィスの内心を代弁するかのようにつぶやく。
「どう聞いても、尊敬してる風に聞こえない」
ゼイブンはローフィスを見て眉を思い切り顰め、腕組んだ。
「・・・今更、俺の口のきき方にケチ付ける気か?
俺の事は良く、知ってるだろう?」
ローフィスは投げやりに手を振り上げた。
「・・・そりゃ、そうだが男相手だと尊敬してるといいながらそれはいい態度で、女相手だところっと猫なで声に変わるだろう?」
レイファスとファントレイユは目前でしっかり現場を見てるので、二人揃って頷いた。
ゼイブンが何か言いかけ、だがそれより先にアイリスが、口を挟んだ。
「君、本気で自分より私の方がいい男だと、思ってたのか?今迄?」
「思ってるさ」
ゼイブンがなぜ聞くのか解らないように目を見開き、アイリスはすごくびっくりして思わず、訊ねた。
「・・・どの辺が?」
「俺より、品がいい。仕草も上品だし、高貴に見える。肝も座ってるだろう?いつも、冷静だしな。くだらん事で喧嘩をしない」
ギュンターがつい、俯いてぼやいた。
「それは俺への、嫌味か?」
ゼイブンは手を振り上げた。
「あんたのやり方は男としては、一つの方法だろう!確かに、あれだけ喧嘩を買っていたら一通り相手した後かかってくる奴は殆ど、居ないからな!」
ファントレイユは二人を、見た。二人がお互い顔を見合わせ、ため息混じりに、俯き、ゼイブンよりいい男だと思われていても全然嬉しそうじゃ無い。
「ギュンターもアイリスも、自分の事ゼイブンより、いい男だと思って無い?」
とても綺麗なファントレイユにそう訊ねられ、二人はファントレイユを見つめた。
アイリスが、そっとつぶやいた。
「だって全然タイプが違うから、比べようが無いと思うんだけど。そりゃ、私は上品に扱うが、ゼイブンは相手を楽しませるのがとても上手だし、扱いだってとても上手い。セフィリアが彼と付き合っていた頃、彼女それは毎日、楽しそうにしていたからね。
それでどうして、私より男ぶりが劣ると思ってるのか、不思議だ」
ギュンターも、頷いた。
「俺はぶっきら棒だと思われてる。面倒見がいいから差し引かれてるが。言葉も素っ気ないしな」
ローランデがそう言うギュンターをつい、見つめ、ギュンターはローランデを真っ直ぐ、見返した。
ゼイブンが異論を唱えた。
「だがそれが、顔に似合わず男らしくて、魅力的だと女達に思われてる。俺と違って媚びなくても、受けてるだろう?」
ギュンターが訊ねた。
「媚びてるのか?」
ゼイブンは問われて俯いた。
「・・・媚びるつもりが無くても、気づくと女性相手だとこっちも楽しいからつい、やってる。だが他人には媚びてると思われてるようだ」
ギュンターもアイリスもほぼ、同時にため息を付いた。
つづく。