アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 50 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。


テテュスがノックの音に扉を開けると、ファントレイユとレイファスが寝間着姿で枕を、抱えていた。
二人はテテュスを、伺うように見つめるから、テテュスは笑って扉を、開けた。
テテュスの部屋の寝台も大人用で、二人は枕を置いてその大きな寝台に飛び込むと、寝転がった。
テテュスも笑うと寝台に乗る。
レイファスが場所を開け、テテュスがまん中で三人で転がった。
ファントレイユがくすくす笑い、
「今日は、楽しかったね!」
と言うのでテテュスもレイファスも一緒にくすくす笑った。
レイファスが言った。
「ファントレイユ。随分ムキに、なってた!あんなチビ相手に!」
テテュスも頷いて彼を、見た。
ファントレイユはレイファスを見た。
「・・・チビに言われたりしたら余計腹が立たない?だって」レイファスは肩をすくめてテテュスにつぶやいた。
「ファントレイユは女の子とチビは、保護する相手だと、思ってるんだ。そういう相手には、男の子してる」ファントレイユはムキになった。
「僕はいつも男の子してる!」
「どう思う。テテュス。絶対僕が居なくても彼一人でも女の子に、見えるよね?」
テテュスはファントレイユを見たけど、彼が少し怒ってる風なので、言葉を控えた。
ファントレイユは途端、テテュスを見つめた。
「・・・テテュスはちゃんと人の心が解って優しい」
レイファスが途端に、むくれた。
「・・・僕が、解って無いみたいじゃないか!」
ファントレイユは素っ気なくつぶやいた。
「レイファスは容赦ない」
テテュスが、くすくす笑った。
「・・・レイファスは、解ってるけど言うべき事をちゃんと、言える」
ファントレイユはむくれたまま枕に顔を埋めると、ささやいた。
「僕が人形に似てるって、認めさせるんだ」
レイファスが反論した。
「でもテテュスもそう、思ってる。すごく綺麗で人形みたいって。君が言われたくなさそうだから、言わないだけで」
でもテテュスはレイファスに言った。
「言われたくなさそうでも君は、言うね?」
「家庭教師がいつも言ってる。事実を正確に認識していないと、判断間違いをして、時に現場でそれが、命取りになるって。安全だと思い込んでて、でも敵が隠れてる場合もあるから、敵が隠れられる場所が本当に無いか、しっかり確認しないと安全だと思っちゃいけないって」
ファントレイユがつぶやいた。
「僕が綺麗を認識しないとどうして駄目なの?」
テテュスもレイファスも、呆れて彼を見た。
「・・・だってフレディみたいに、女の子と間違えて襲う奴だって居るじゃないか」
ファントレイユは思い出したのか、もの凄くむすっと、した。
「僕、綺麗を認識するんじゃなくてもっと、男の子らしくなる」
レイファスが素っ気なく言った。
「じゃ、そうなる前迄は認識しとかないと」
テテュスに迄頷かれ、ファントレイユは凄く気分を害したみたいに眉間を寄せていた。
レイファスも、だが思い出すようにつぶやいた。
「・・・でも、ああいうのは僕も知らなかった。
テテュスの側には、時々居たの?夕べの・・・・・・・・・」
テテュスは一瞬、顔を揺らした。
ファントレイユが彼を労るように言った。
「アイリスと、ローフィスの剣、凄かったね。光るんだもの」
「護符と、神聖呪文だね」
レイファスも、頷いた。
テテュスもつぶやいた。
「あれは・・・・・・『影の民』の障気だったのかな・・・。
アリルサーシャが苦しみ出すと、寄って来るんだ」
レイファスが叫んだ。
「アリルサーシャには近寄れなかったから、君を狙ったんだ。きっと」
ファントレイユもつぶやいた。
「・・・ああいうのは、人の苦しみが大好物だから、苦しんでて弱ってる人を見つけると、寄って来るんだ」
そしてファントレイユが、テテュスが逝ってしまわなくて本当に、良かった。って思ってるのがテテュスに、解った。
でもテテュスは言った。
「でも僕、戦う場所が、欲しかった。
アリルサーシャが居なくなって、していた事全部が・・・取り上げられて、何かしていたかったんだ・・・」
レイファスが彼を辛そうに、見つめた。
「・・・実際アイリスは手がかからないしね。
でも、アイリスは世話はして欲しくないけど、甘えて欲しいと思ってる」
ファントレイユも思い切り、頷いた。
「僕なら、いっぱい我が儘言うよ!」
テテュスが顔を上げた。
ファントレイユは見つめられて、つい言った。
「ゼイブンは、すぐセフィリアの顔を伺うし、セフィリアとべったりしたいみたいだからあんまり、言えないけど」
レイファスも、頷いた。
「そうだよ!僕らは父親が居ないも同然だ。君みたいに凄く深刻じゃないけど。でも君の父親のアイリスは凄く、優しい」
ファントレイユも思い切り、頷いた。
「・・・あんな父さんで、凄く羨ましい」
テテュスはあんまり、解らないみたいだった。
「でもどうやって甘えていいのか、解らない」
レイファスが聞いた。
「甘えた事無いの?」
テテュスは思い返した。
「・・・帰って、アリルサーシャの側に居て・・・僕の事も構いたいみたいだったけど、でもいつも・・・出来るだけアリルサーシャの側に居てあげてって」
レイファスも、ファントレイユも途端に俯いた。
「・・・・・・・・・・・・うん」
ファントレイユが言うと、レイファスが言った。
「・・・アリルサーシャの方がアイリスが必要だと、君は思ったんだ。でもそのお陰でアイリスは君に近寄れなくて、うんと悲しんでる」
テテュスは俯いた。
「そうみたいだ」
テテュスがどうしていいか解らず落ち込んでるみたいで、ファントレイユはレイファスを、見た。
レイファスはささやいた。
「アイリスが居る時は、世界にアイリス一人しか居ないと思ったら?アイリスはそう思ってる。他に誰か居てもちゃんと気を配るけど、君だけは特別に思ってるもの」
テテュスはようやく、解った。
「僕はアイリスを特別だと思ってない・・・。
みんなと同じくらいに思ってるから、アイリスが泣くんだ」
レイファスは、頷いた。
ファントレイユがつぶやいた。
「君と同じくらい、アリルサーシャが好きだったから、同じくらい悲しいんだ。なのに仲間の君が、解ってくれないから落ち込むんだ」
テテュスは顔を、揺らした。
「・・・・・・・・・うん。アイリスは僕がもうとっくに仲間だって言ったけど・・・・・・。
そういう事だったんだ・・・・・・・・・・・・。
僕、アイリスに謝らないと」
ファントレイユもレイファスも、肩をすくめた。
「謝るより、抱きついて大好き!って言ったら、きっと喜ぶよ」
テテュスが見ると、二人はくすくす笑っていて、テテュスも思わず笑い、言った。
「そうだね」
二人はそうに決まってる、とまた笑うから、テテュスも一緒に、笑った。

アイリスはファントレイユとレイファスに先を超された。二人がテテュスの寝室に入っていくのを見、呆然としているのを、ディングレーに気の毒そうに見つめられた。
部屋に戻るとローフィスが、アイリスとディングレーの様子に首を傾げた。
「テテュスの寝室には先客が居た」
ディングレーが言うと、ローフィスはしょげたアイリスの様子を見て、タメ息を付いた。
「俺は君の添い寝をすると、夢に君の妹達が、“やっぱり!”と睨んで出そうで、出来そうに無い」
先手を打つローフィスにディングレーも怒鳴った。
「俺だってだ!」
アイリスがぼやいた。
「私だってごつくて可愛くない君達より、テテュスがいい・・・・・・・・・」
ディングレーが彼の背を思い切りこずき、ローフィスは床に座ると、瓶をどん!と置いた。
「これしか無い。これなら幾らでも、付き合ってやる」
ディングレーも、頷いた。
アイリスは心から嫌そうに、ため息を付いてローフィスの横に座り、ローフィスの置いた瓶を取り上げるとグラスに注がず、瓶の口からそのまま煽った。
ローフィスはこっそりディングレーにささやいた。
「全然足りない。調達してくれ」
ディングレーは頷き、酒を探しに、部屋を出て行った。
つづく。