アースルーリンドの騎士
追加特記その9
ファントレイユとの出会い編
数日、彼を続けて召して城内を歩いたが、この素晴らしい美貌の護衛は、行く先々で女性の熱烈な歓迎を受け続け、ソルジェニーはすっかりその様子に、慣れた。
ある時、大公爵夫人が、めったに顔を出さない城の大広間に顔を出した。
その、煌びやかで豪華な衣装と、尊厳を示そうとする少しいかつい顔のご婦人はソルジェニーにとっても記憶のある姿だったが、以前会った時はそれは丁重に挨拶され、しかしソルジェニーが口を開こうとすると途端、きびすを返して彼の目前を、去った。
・・・しかし、ファントレイユと一緒だと、彼女の態度は違っていた。
ソルジェニーに、やはり丁重にご機嫌伺いの言葉を述べ、しかし視線は、後ろに控えるファントレイユに、釘付けだったからだ。
「護衛の方も、大変な勤務ですわね。
お相手が、王子ともなると。
・・・ところで護衛の仕事の、空き時間は何をしていらっしゃるの?」
ファントレイユはいかにも臣下と言う態度で、それは静かにソルジェニーの後ろで目を伏せていたが、婦人に話しかけられてその面を、上げた。
ソルジェニーもつい、彼を見つめたが、彼が面を上げると、聡明そうで隙の無い、文句のつけ所の無い美貌の、そのブルー・グレーの瞳が一瞬、煌めくような輝きを放って見え、あんまり綺麗でソルジェニーですら、呆けた程だったが、ご婦人にとっては尚更だった。
つづく。
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