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東野圭吾氏の「雪煙チェイス」(実業之日本社文庫)を読んだ。


「白銀ジャック」「疾風ロンド」などに続くゲレンデで繰り広げられる白銀ミステリーシリーズの一作である。


大学生の脇坂竜美は、一人スノーボードを楽しんでいた。そこで、巧みな技術で滑る女性スノーボーダーと出逢う。


その頃、東京三鷹市の一軒屋で強盗殺人が起こる。殺されたのは囲碁を趣味にする八十過ぎの福丸老人だった。すぐに所轄の杉本と白井が捜査に呼び出された。

指紋などから、容疑者として、福丸家に犬の散歩のアルバイトで出入りしていた脇坂竜美が浮かび上がる。脇坂は、愛犬を不注意で死なせて首になり、それを恨んで、押し入り犯行に及んだと見立てられた。


それを知らずに東京に戻ってきた脇坂は、拘束されたら警察に逮捕されるというサークル仲間・波川の忠告に従う。脇坂のアリバイを証明できるゲレンデで言葉を交わした女神を見つけ出すために波川と二人、黒沢温泉スキー場に向かうが、警察の杉本と白井も脇坂逮捕に向かう。


広いゲレンデで情報が乏しい女神を脇坂らが捜し出すのが先か、脇坂、波川を警察の杉本、白井たちが捜し、確保するのが先か、ゲレンデを舞台にした息詰まる追走劇が始まるというストーリーです。


事件は、被害者の人物関係を洗い出すことから、一挙に解決してしまいます。


スキー場に生きるむかし選手としてならした女将やスノーボーダーとして青春を過ごした美人姉妹など、興味深い人物たちも登場、ゲレンデ・ウェディングとか、派手なスキーパフォーマンスシーン、男女の恋愛模様なども同時進行してなかなか面白い話になっています。