
日本映画界の怪優・三國連太郎さんが四月十四日、朝九時十八分、急性呼吸不全で亡くなったことを過去幾多の確執のあった息子で俳優の佐藤浩市さんが発表しましたね。
「戒名もいらない。散骨して誰にも知らせるな。三國連太郎のままでいく」と言い残したということで一貫した役者魂を感じます。
三國連太郎さんの役作りは相手の女優さんの年齢差を合わせるために歯を抜いてしまったとか、僧侶の役をもらったら何ヵ月も前から頭を剃り、地膚を焼くとか、徹底的に役のリアリズムを追求したものでした。
映画という虚構の世界、役という虚構の世界だからこそ、ありのままの姿、自然体を求めることが、そのまま役者としての生き方に直結していたでしょう。
印象深い映画は多数あり、「神々の深き欲望」、「飢餓海峡」、「復讐するは我にあり」、「戒厳令」、「釣りバカ日誌」のスーさん役まで役柄を自分のものにして演じきった姿にただ脱帽するのみです。
自分の納得できないシーンでは監督とも対峙するなど逸話だけでも、映画人としてのプライド、三國連太郎という役にこだわり続けた人生に頭が下がります。
日本映画界を支えた映画人がまた一人消えてしまったことに涙、合掌。