会社に出勤してしばらくするとSさんから電話が入った。
「社長K棟梁が倒れました。救急車呼んでいいですか!?」
「今すぐそっち行くから呼んでくれ、すぐに。」
今日、朝から、K棟梁は、Sさんの家の床の修理に来ていました。
Sさん夫婦が、家具を運んでいた時、うっかり傷を・・・しかもかなり大きくて深い傷を床につけてしまい、
保険を使って修理することになり、K棟梁がフローリングの一部張り替え工事をしていたのです。
妻と二人でSさんの家へ。
すると、救急車が近づく音がしているのに、K棟梁がフラフラとトラックに乗ろうとしとる・・・。
しかも倒れた時に道路で顔を強打して、傷口から血がタラタラ状態・・・の顔ではないか・・・。
妻と私がK棟梁に近づくと、真っ白な顔色と意識朦朧の状態なのに、
「運転して帰ります・・・。」
なんて言っとる・・・・あ・・・阿呆な!我々は必死にそれをさえぎった。
救急車到着。
救急救命士の方がK棟梁に話しかける・・・しかし、K棟梁の普通じゃない受け答えを見て、
「これはやばい!」と思ったようで、即座にタンカに乗せようとすると、病院嫌いのK棟梁は、
フラフラしながら逃げようとする・・・・あかん!・・・・K棟梁は抵抗むなしく、
あっという間にタンカに縛り付けられた。
持病や今までの経緯を説明した後、私は、救急救命士さんに行った。
「○○病院は絶対やめてください!!!」
すると、
「大丈夫です、運びません。」
と、なぜか・・・即答された救急救命士さん・・・・ど・・・どゆこと??・・・やっぱ噂どうり???
K棟梁の症状から、○○病院は当然パスッってこと?やっぱ。
搬送先の病院が決まる・・・病院名を聞きあそこなら大丈夫・・・と、一安心。
しかし、Sさんの家の中は工事の途中だし、K棟梁のトラックはカギ空いてるし、財布も携帯も、
放置状態でお話にならん・・・。
「私が救急車に乗って先行くから!」
と言って妻はK棟梁と一緒に救急車に乗り、病院へ行く途中、息子さんや奥様に連絡をした。
奥様には途中でつながったようですが・・・この一大事にまた息子さんは、電話にでん・・・ったく。
私とSさんは、K棟梁のトラックにカギをかけ、部屋の中を一通り片付け、K棟梁の持ち物を整理し、
少し遅れて、搬送先の病院に向かう。
病院で妻と合流・・・K棟梁は胃から出血があるらしく、内視鏡の検査に入っていた。
検査中のK棟梁を待つ我々3人。
その時、Sさんが言った。
「私、救急車呼ぼうと思って電話したら、電話の相手の人が、『事件ですか?事故ですか?』って、
何度も聞くんです。
だから、人が倒れたんですって話したら、『状況を説明してください。』って聞くので、詳しく話したら、
また、『事件ですか?事故ですか?』って、やたらと何度も聞くから、おかしいなぁ・・・と思ってたら、
向こうの人が、『それは救急車を呼んだほうがいいんじゃないですか?』って言うんです。
私、この時、初めて、自分が110番にかけてたことに気付いたんですぅ・・・・。」
「あ・・・あのな。」(←私)
「○ちゃんらしいわ。」(←妻)
「やっぱ・・・私・・・・かなり慌ててたんでしょうか?」(←Sさん)
そうこうしているうちに、K棟梁の奥様が病院到着。
奥様と一緒に、検査が終わって病室に運ばれているK棟梁に面会できました。
少し意識が戻ったK棟梁が、
「入院ですか?」
と聞くので、
「入院です!(ときっぱり)」
もう、ここらで、病院に入ってしっかり治さんと・・・本当に寿命を縮めますよ。
ベットに縛り付けておかないと・・・この方・・・すぐ仕事に行こうとするので、
面会時間も厳しい、完全24時間体制の病室に入れてもらえて、むしろ良かったと思いました。
胃潰瘍による出血・・・・のようでしたが、この際、しっかり他も検査して完全に治さないと・・・。
仕事が気になるのは私だってわかります。
でも、ここは辛抱ですよ、K棟梁。
病院を出た後、
少し遅れて、ようやく息子さんとも連絡が取れました。
「お父さんの分も頑張らなあかん」
私も、今回は、はっきり言わせてもらいました。
工事が途中で中断してしまったSさんの家のリビングは・・・・悲惨な状態でした。
かわりにH大工さん親子に助けを求めましたが、来週にしか動けないそうな・・・。
それまで、お子さんが剥がしかけのフローリングで怪我しないように、段ボールと養生テープで、
保護しておきました。
Sさんの家で倒れてよかったです。
足場の上で、今回のように意識失ったら転落して大変なことになります。
ある意味、幸運だったと思わないと・・・。