小さなハウスメーカー(その2) | WAS IT ALL WORTH IT ?

某様はホームページをご覧になって、ご来社くださった方ですので、

もしかすると、この業務日記(ブログ)もご覧になっているかもしれませんので、

昼間のご説明の補足を兼ねて・・・・。


当社は「設計事務所」「建設業」「宅地建物取引業」の登録をしていますが、

この3つは、本来、仕事は、それぞれ全く異なっていて・・・、


●設計事務所●

お客様からご要望をお聞きして、建物の設計図を作成するのを業務としています。

工事が始まると、設計図通り、工事がおこなわれているかをチェックします。

設計図を作成する仕事を「設計業務」と呼び、現場をチェックする仕事を「監理業務」と

呼んでいます。

設計の仕事を本業としていますので、住宅のような小規模の建物から、ビルや工場、店舗、

マンションなど・・・・「設計」に関しては、規模に関係なく、技術さえあれば、

どんな建物の設計も行うことができます。

各設計事務所の技術によって、扱う建物の規模は、様々で、住宅しか設計しない

設計事務所もあれば、大きな建物の設計まで行う設計事務所もあります。

設計事務所のお客様からいただく報酬は、『設計監理料』で、通常、建物金額の、

5%~10%といわていますが、決まりはなく、15%以上必要というところもあるようです。

設計事務所は、瑕疵担保責任を負いません。

つまり、建てた建物が雨漏りしても、設計事務所は法律上、責任を負わなくても

よいことになっています。

この結果、設計事務所は、瑕疵担保責任に対する認識が甘くなりがちで、

建物の耐久性等を考慮しない、デザイン重視の設計をする傾向があり、

それが、設計事務所の一番の弱点になっているのですが・・・・あまり、設計事務所さんは

こういった事実を認めようとしません・・・・私が、堂々と、こうやって公言できるのは、

他に、建設業や不動産業の仕事をしているからです。

ま・・・・設計だけで生活している人々は、なかなか自分の首を絞めるような発言が

できないのも、仕方がないことなのですが・・・・。


●建設業●

設計図を元に、実際に各職人、下請け業者を動かし、工事をする業者のことです。

下請け業者さんには、杭屋さん、基礎屋さん、大工さん、水道工事業者、電機屋さん、

クロス屋さん、建具屋さん、畳屋さん、左官さん・・・・など、

たくさんの業種の専門屋さんがいます。

それらの専門屋さんを束ねて、現場を取り仕切るのが、建設業者さんで、

「○○建設」とか「○○工務店」などと、一般には呼ばれています。

上記の設計事務所と違い、工事に対して瑕疵担保責任を負います。

雨漏り、不動沈下等の瑕疵が発生した場合、補修をしなければならない義務を、

法律上、課せられている建設業者は、当然、耐久性重視の建物をつくろうとする

傾向があります。

(業界内部の裏話ですが・・・・。)

建設業者さんは、設計事務所さんから工事を依頼された時、毎回、悩みます。

「この設計士さん、デザイン重視じゃないだろうな?

ちゃんと、耐久性を考慮した設計をしてくれてるだろうな?」

デザイン以外のことを考慮していない設計士さんの設計した建物の工事を、

請け負うほど怖いことはありません。

なにせ・・・・瑕疵担保責任は、自分たち建設会社が負うのですから・・・・。

その結果、そんな危険を避けるため、自社で責任を持って設計して自社で施工する

という、『設計施工』が生まれました。

『設計施工』の場合は、通常、設計料は別途必要ないケースが多いようです。


●宅地建物取引業●

略すと「宅建業」ですが、宅建業には大きく分けると、3つの仕事があり、

『分譲』、『仲介』、『賃貸物件管理』が大きな3本柱です。

不動産会社さんによっては、この3つの全てを行っているところもあれば、

この中の1つしか行わないところもあったり・・・・会社によってまちまちです。

『賃貸物件管理』は、最もなじみ深い業務で・・・・アパートなど、賃貸物件を

お客様にご紹介したり、その賃貸物件をアパートのオーナーさんに代わり、

維持管理するのが仕事です。

『仲介』は、売り主さんから依頼され、土地や建物を売る仕事です。

仲介手数料という報酬をお客様からいただくことになります。

『分譲業務』は、「建売住宅販売」と「建築条件付き販売」に分けられます。

同じ土地、建物の売買でも、仲介と分譲の一番大きな違いは、売り物件の

所有者が誰か?というところです。

仲介は、人のものを売る・・・・一方、分譲は、不動産会社さん自身が所有している

不動産を売る・・・・人の不動産を間に入って仲介するため、「仲介手数料」が、

かかるというわけです。



で・・・・・・・当社の場合の話なのですが・・・・・。


上記の業務の中で、まず、設計業務は、もともと設計事務所として始まったので、

今でもこの業務は行っています。

設計する建物は、ホームページにあるように、住宅から店舗、事務所ビル、工場など、

一通り行っています。

ただ、最近は、住宅をはじめとする小規模建築物は、ほとんど設計施工で

建築していますので、設計のみを行う建物は、特殊な大規模建築物のみです。

こういった大規模建築物は、今でも、設計は設計事務所、工事は建設会社と、

分担するケースが多く、当社もこの規模の建物の場合は、設計業務に専念しています。


建設業務としては、注文住宅の建築から、工場の改修工事、リフォーム工事までを

設計施工で行っています。

自社で工事を行う最大のメリットは、上記の設計事務所の弱点(デザイン偏向傾向)を、

補うことができることです。

自社で設計し施工する場合は、設計段階から、瑕疵が発生しないように、

注意深く設計し、そして施工ができます。


不動産業務としては、賃貸物件管理、仲介業務は一切行わず、「分譲業務」のみ、

行っています。

理由は単純で・・・・・もともとが、建築関係の会社ですので、建築的な自社の技術を

最も活かせるのが分譲業務だからです。


ですから、「建築条件付き分譲住宅」の場合でも、建築する住宅は、

木造(在来工法・2×4工法)だけでなく、重量鉄骨造もRC(鉄筋コンクリート)造も、

可能ですし、専用住宅だけでなく、店舗併用住宅、事務所併用住宅の建築も可能です。



実は、当社と同じような事業形態の会社が、まさしく「ハウスメーカー」であって、

ですから、当社は、自称『小さなハウスメーカー』なのです。


ハウスメーカーさんは、設計事務所登録、建設業登録、宅地建物取引業登録の

3つを必ず行っています。

土地探しから建築まで・・・・というのが、ハウスメーカーさんの仕事です。

当社は、これの「ミニ版」・・・・ですね。