朝一番に現場で監督さん、電機屋さんと集合。
脚立と懐中電灯を使い、改め口から天井をのぞく。
現場監督さんが顔を天井裏に突っ込んだとたん!
「わ!(と、監督さんが叫び)・・・・・・・眼鏡が曇った・・・・・。」
眼鏡が過激に曇ってしまう、この異常な湿気というか水蒸気が、絶対におかしい。
いろいろと調べましたが、水蒸気の発生源はエアコンではありませんでした。
ならば、この水蒸気はどこから来た?
まさか、こんな大量な水蒸気・・・・つまり、湿気のある日に、器用に、室内の水蒸気を逃がさないように、
天井裏に囲い込むような、天井張りをしたんか??んな、あほな??
何ヵ所かの改め口を開いて調べているうちに、あることに気付きました。
どうも、一番最初に開けた改め口まわりの結露が激しい・・・・。
他の改め口周りは、そてほど結露していない・・・天井裏全体の空気の水蒸気量は一定なのに・・・。
最初に開けていた改め口まわりに何か水蒸気の出るものがある??・・・しかし、調べても、
何もありませんでした。
もう一度、症状を思い出し、検討する・・・・・んで、結露をしていない別の改め口を見ていたら、
原因がわかりました。
結露の原因は・・・・・気付いてしまえば、実に単純なことで、単に長時間開けていた「改め口」から
天井内に冷気が入りこんで、改め口付近の空気が冷えて、結露しただけでした。
だから本来、結露するはずのない、
「天井裏内部の鉄骨」「グラスウールの上部」が結露して、
結露するはずの、
「天井材の上部」が結露していなかったのでした。
昨晩、メーカーさんは、改め口を長時間開け、天井裏の配線工事をしていた。
そのメーカーさんが、
「天井裏がずぶ濡れ!鉄骨もびしょびしょ!グラスウールもびしょぬれ!」
と、今にも天井材が、水分を吸っておっこってきそうなけんまくで言うもんだから、
私も天井裏で水漏れでもあるんだろうか?と、心配になりましたが、結露していた部分は、
あくまで冷気が入った改め口付近だけだったのです。
そして、最後の最後まで謎だった、天井裏の異常な湿気の原因は!
監督さんがつぶやきました。
「屋根版のALCの乾燥が不十分だったかもしれないです。」
私も、こちらの現場に屋根のALCが施工され、屋上のモルタル塗の作業が終わって数日後、
来たのですが、記憶があります。
この日は、大雨で、ALCを雨が突き抜けて、1Fの土間スラブは、プールのようでした。
監督さんは、
「雨が止んで、数日乾かしてから、防水工事に入ります。」
と、この時言っていましたが、監督さんによれば、5日間、乾燥のため、天井材を張るのを、
控えたのですが、それでも、まだ、ALCの内部の水分は、完全に抜けなかったようです。
それが、現在、防水を終わったALC上部には、水分は逃げられないため、すべて、天井裏に
水分が放出されて、あの、異常な水蒸気量・・・・・となったのでした。
私は、監督さんの、ALCの乾燥期間の判断を責める気にはなれん。
住宅のように内装工事に時間がかかる建物ならば、ALCが吸った水分は、天井を張る前に
完全に乾燥してしまいますが、なにせ、こちらの建物は事務所ビル。
壁はGL工法ですし、間仕切り壁も天井下地もLGS。
木造に比べたら・・・・・あっと言う間にできてしまう工法ですから、乾燥時間が短くなってしまう。
とにかく、天井裏の湿気を取るために、換気口をたくさん取り付けるということにして、
社長様に対応をご説明し、現場を後にしました。
ALCを使った重量鉄骨の建物は、今まで、数限りなく設計してきましたが、初めての経験でした。