Was it all worth it ? | WAS IT ALL WORTH IT ?

先日、某分譲住宅会社の社長様がウチの会長にこんなことを聞いたそうな・・・。


「先生、息子さん(私のこと)、不動産やっとるで土日仕事だろお?

娘さんとほとんど、どこにも遊びに行けんし、一緒にいてあげられんのじゃないの?」


続けて、社長さんはこうおっしゃったらしい・・・・。


「ワシも今になって息子に言われるんだわ・・・。『俺は親父に父親らしいことしてもらった覚えがない!』

ってなあ・・・・。娘さんとできるだけ一緒にいたったほうがええよ。」


この話を聞いて、私は切なくなりました・・・・。

少し前、娘からもらった手紙にも・・・・ここには、とても書けませんが、実に実に心が痛む、

言葉があった。


「休みに、親が家にいない!どこにもつれてってもらえない!」


・・・・と、決して書かない・・・・親を責めない、その手紙の内容が、余計につらく感じてしまったのです。

じっと我慢をしながら明るく振舞っている娘の気遣いが、余計につらい・・・・のです。


不動産(特に建売分譲住宅)の仕事をしていると、土日は現地の売り出し・・・が当たり前。

そこで、去年あたりから、この現地での売り出しを減らすため、「建築条件付」に変更したのですが、

現地の売り出しこそ、回数は減りましたが、建築の打ち合わせが土日に集中し、

(土日しか打ち合わせが出来ないお客様がほとんどのため)

結局、今でも、土日出勤が続いています。


「休みが無いからせめて、平日に休んだら?」


と、いう人もいますが、


下職さんから「打ち合わせがしたい。」


不動産屋さんから「打ち合わせがしたい。」


銀行さんから「時間をつくってください。」


現場から「来て欲しい。」


こういう電話が入れば、開いている日にちに次々と予定を入れてしまい、結局、平日は休めない。

それに、平日休んだところで、体は楽になっても、子供達と休みがずれているので、

休む意味がありません・・・・。



それに加え、人材的な問題もあるのです。

「建築条件付」という分譲形態は、実は、なかなか難しく、普通の営業マンでは打ち合わせは

実際、不可能に近いのです。


「建売住宅」ならば、商品の実物がずばり、そこにあり、価格も決まっていますので、

営業マンでも販売できますが、「建築条件」の場合は、不動産と建築とその他の知識が必要で、

例えば、こんなお客様からの質問があった時、即答できなければなりません。


「契約の時、決済の時・・・・何が必要ですか?(不動産の知識)」


「年収500万円です。頭金は600万円。30年で返済すると、毎月いくらですか?(不動産の知識)」


「この窓・・・上下げ窓から引き違いに変更するといくら変わりますか?(積算の知識)」


「3帖くらいの小屋裏収納をつけたいんですが、いくら工事費増えますか?(積算の知識)」


「その小屋裏収納、実は、ここに位置を変更したいんですが、変更したら、屋根の形が

どう変わってしまいますか?(建築設計の知識)」


「木造から鉄筋コンクリートに変えた場合、地盤補強の方法は変わりますか?(建築設計の知識)」


「照明器具の取り付ける位置って・・・いつまで変更可能ですか?(施工管理の知識)」


「水道の引き込みとガスの引き込みはいつ頃ですか?(施工管理の経験)」


「ずばり!この○○って、サービスでつけてもらえません??(社長の決断?)」


・・・・こういった質問に、その場で、即答していける人間・・・当社の場合、私しかおらんのです。

結局、全てのお客様と打ち合わせをし、全てのお客様を担当するので、

休みなど取れるはずありません。

私の代わりをしてもらうスタッフには、「不動産」と「設計」と「施工」の知識を持ってもらわないと

いけないのですが・・・・「不動産専門」「設計専門」「施工専門」と、いう人がほとんどなのです・・・。



私が子供の頃・・・・父は基本的に日曜日は休み、土日も隔週で休みでありました。

家族で色々なところに遊びに行った記憶もあります。

なぜ、父は土日に休めたのか?

実は、父のお客様のほとんどが、法人のお客様であったから・・・ということが、後にわかりました。

法人のお客様との打ち合わせは、平日がほとんどです。

個人住宅の設計よりも、法人のお客様の建物の設計が多かったため、土日が休みだったのでした。


不動産だから・・・・という理由もあるかも知れませんが、住宅を建築する以上、

土日出勤は、お客様のお休みの関係で、これからも避けられそうにありません・・・・。



娘が大きくなった時に、


「親らしいことをしてもらった記憶がない。」


と言われてしまったら・・・・。


自分のしてきた仕事・・・自分の半生を振り返って、


Was it all worth it ?


と、自問自答しながら後悔することのないように・・・・と、悩みながら仕事をしている毎日です。