この日は朝から雨が降っていた。
どこからか“コンコンコンコン”という音が聞こ
え、母が3階にあるバルコニーから外を覗いて
みると
隣の建物の屋根に止まっているカラス達が
クチバシでコンコンと屋根を叩いていた。
そしてカラス達はそこから私達の家の庭の方を
見下ろしていたという。
母が急いで庭に行ってみると、野良猫対策の為
に設置していた猫よけの網に絡まっている
カラスを発見した。
実家の庭は野良猫達がよく通過し、糞尿の被害
が絶えなかったためネットを設置していた。
こんなようなやつ↓
それにカラスが絡まっていたのである。
この時私は実家にいたにもかかわらず、
この騒ぎを知らずに過ごしていた。
ふと母の慌てる声が聞こえ何があったのかと
聞き、カラスが網に絡まっている
ということを知ったのである。
で、今どんな状態かと聞くと
父が助けに行っているとのことだった。
ん?
私は一抹の不安を覚え、急いで現場へと
向かった。
そこにいたのは少し小さめな体格のカラス
だった。
そして見事に複雑に網に絡まりついていた。
逃げようとしているうちに更に絡まって
しまったのだろうか。
そして私の不安は的中した。
父は…
あぁー、これ以上言えないー
やっぱ言うか。
父はカラスから数メートル以上離れた所から、
長く伸ばした高枝切り鋏でネットを切ろうと
格闘していた。そんなんで切れるわけないやろー
カラスは余計嫌がってバタバタと暴れている。
冷たい雨に打たれているのに体力まで奪われ
たら死んでしまう。
このままでは命が危ない。
私は急いでカラスの元へ駆け寄った。
つづく