陸自の特殊作戦群初代群長だった荒谷卓氏が、現役の自衛官や予備自衛官に私的に訓練指導を行っていることに対し、防衛省が神経を尖らせているようだ。情報保全隊も調査をしているとか。陸自OBが私的に戦闘訓練「楯の会に酷似」三島信奉 - 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)

 

防衛省内には、職務遂行義務や守秘義務などを定めた自衛隊法に触れるとの指摘が出ているようだ。

 

荒谷氏が移住先である三重県の熊野に「熊野飛鳥むすびの里」という合宿施設をつくり、そこで自衛官を対象にした合宿を何度か行っていたのはずっと前から同施設のホームーページにも公然と掲載されていることであり、なぜ今更このタイミングで新聞の記事になるのか合点がいかない。

 

自衛隊のOBが訓練指導を行うことは荒谷氏に限ったことではない。海自特殊部隊「特警隊」のOBである伊藤祐靖氏も、自衛官や警察官を対象とした訓練指導を実施している。また自衛隊OBの所属する田村装備開発という会社もあり、そこでも自衛官を対象とした訓練が実施されている。いずれも私的な訓練指導だ。

 

それらが問題にされず、荒谷氏だけが問題視されているのは、記事中にもあるように荒谷氏が三島由紀夫を尊敬しており、保守的な思想が強いためではないだろうか。

 

かつて航空幕僚長だった田母神俊雄氏が自衛隊から追放されたのも、田母神氏の歴史認識が政府の村山談話と異なるというふざけた理由からだった。自衛隊を辞めてからも田母神氏の言動に防衛省はかなり敏感になっていたと聞く。

 

荒谷氏に防衛省が神経を尖らせているのも同じ理由だろう。昨年、ドイツ陸軍特殊部隊KSKでは、ナチスを信奉する隊員がいたことが問題となった。

 

私は荒谷氏の著書を何冊も読んでいるが、荒谷氏は八紘為宇の理念を具現化し、人類が皆共存共栄できる世界を創ることを理想としている。決してナチスのような優生思想や極右の排外主義的な思想の持主ではないし、むしろ、そうした思想とは正反対の方である。

 

自衛官でも個々で政治や歴史などの思想は違うし、荒谷氏の思想を危険視して排除する必要はないと思う。防衛省は思想統制したいのか。

 

私が心配するのは、防衛省内で変な通達が出て、自衛官や予備自衛官がOB等からプライベートで訓練指導を受けることを禁止するような動きに繋がることだ。

 

自衛官がスキルアップを図るために自衛隊OBをはじめ民間の講師からトレーニングを受けることはメリットが大きい。防衛省はそうした機会を奪うようなことをしてはいけない。

 

荒谷氏に防衛省から圧力や干渉が無いことを祈りたい。

 

 

<追記>

この後、荒谷氏が熊野飛鳥むすびの里のホームページで、この報道について見解を表明された。共同通信社から配信された記事について - 熊野飛鳥むすびの里 (musubinosato.jp)

そういうことだったのね。以前から自衛隊に批判的な執筆活動をしていた石井暁の仕業だったということで納得した。荒谷氏の自衛官への訓練指導を、氏の思想と絡めて危険なものであるかのように印象操作する記事を書いたということだった。

 

何度も言うが、荒谷氏は決して危険人物ではないので、こうした報道に騙されてはいけない。