このブログを書けばおそらく多くの批判がくるかもしれない。だがそれを承知で書くことにする。




震災で発生した瓦礫処理が一向に進まない。その原因は瓦礫の広域処理が遅れていることだ。阪神淡路大震災の時も発生した瓦礫は広域処理されたが、今回は放射能汚染への懸念もありなかなか広域処理を引き受ける自治体が現れない。


今回の震災では宮城では19年分、岩手では11年分の瓦礫が発生した。瓦礫の集積場には私有地も多く瓦礫を処理しなければ復興が進まないのだ。


この瓦礫の広域処理には過剰ともいえるほどの反応があり、瓦礫受け入れを表明しようものならその自治体には「一部」の市民が押し掛けたり脅迫電話や手紙が送られてくると言う始末だ。


また、以前カンニング竹山がツイッターで広域処理を呼びかけたらツイッターが炎上し、たむけんも広域処理を呼びかけたところ、ネット上に「たむけんが経営する焼き肉屋は危険」などという誹謗中傷が殺到した。


自分はこれらの過剰反応を見てとても残念に思い、少し冷静に考えてほしいと思う。確かに放射能を心配する気持ちは理解できる。だが、広域処理される瓦礫は福島原発周辺の瓦礫ではない。宮城や岩手の瓦礫だ。


特に岩手に至っては福島原発から250キロも離れており、福島原発から横浜の距離と変わらないほど離れている。しかも検査によって放射線量も通常と変わらない線量であることが分かっている。


それに例えば神奈川県が受け入れる瓦礫に含まれる放射能は1キロ当たり100ベクレル以下となっているがこれはどれぐらいの放射能かというと、100ベクレル/kgのセシウムを含む食べ物を、1kg食べるとセシウムが、有効半減期約89日で減少しながら体内に留まる間の内部被曝の総量は0.0013ミリシーベルトになる。


これは東京からニューヨーク間を飛行機で往復する際に浴びる放射線量0.2ミリシーベルトよりもはるかに低い値だ。しかも1年間に一般人が浴びる被ばく量2.4ミリシーベルトには到底及ばない。これで健康に影響がでることは殆どないと考えられる。


なのに一部の過剰な反応のせいで瓦礫の処理が進まない。福島の瓦礫や、基準値を超える放射線量が検出されているなら瓦礫受け入れに反対するのは当然だろう。だが検査で基準値以下であることが証明されているのだ。受け入れを拒否する理由は見当たらないであろう。


しかもセシウムの沸点は671度であり、焼却施設の排ガスはバグフィルターでは200度以下になっておりセシウムは気体の状態ではなくバグフィルターでセシウムは除去されるのだ。しかも試験によってセシウムはバグフィルターで99パーセント除去できるという結果が明らかになっており、全く心配する必要などないのだ。


もし岩手の瓦礫焼却で放射能汚染が広がるというのなら、福島原発から岩手の260キロと同じ距離にある東京や横浜の廃棄物焼却でも放射能汚染が広がることになる。



瓦礫受け入れ反対派の中には、被災地で瓦礫を処理すれば現地にお金が落ちて雇用創出にもつながると主張する者もある。確かにそれは本当であろう。


だが今優先すべきことは瓦礫を1日も早く撤去して復興を進めることだ。被災地で焼却炉の建設は進んでいるがなにしろ10年分以上の瓦礫だからとても被災地だけで処理できるものではない。


しかも瓦礫があることによって、ハエ等の害虫の大量発生や悪臭、伝染病の発生、火災の発生が懸念される。実際被災地では窓も開けられないほどハエが大量発生したり衛生環境が悪化し、また火災も何件も発生している。


だから瓦礫処理により雇用を生み出すよりも瓦礫そのものを1日も早く撤去することを重視すべきだ。瓦礫処理で一時的な雇用を生むより、本格的に被災地を復興させて雇用を創出する方が大事ではないだろうか。瓦礫の広域処理は被災地の雇用を奪うという主張は優先順位をはき違えており妥当ではない。


先日、テレビで被災地の中学生の書いた手紙の内容が流れていた。その手紙には瓦礫を1日でも早く撤去するために協力して欲しいという内容が書いてあった。これが被災者の気持ちであろう。


だから被災地の要望に真っ先に応えた東京都の石原知事と静岡県島田市の櫻井市長の勇気ある決断を大いに評価したい。


櫻井市長の元には一部市民等から誹謗中傷のメールや手紙が殺到している。また中には「瓦礫受け入れを要請する岩手県民は人間の屑だ」とか「瓦礫受け入れをお願いするなら静岡県民1人1人に頭を下げろ」などというメールもあった。


テレビで櫻井市長に反発する市民の姿が映し出されていたが中には笑いながら「リコール!リコール!」と叫んでいる市民や理性を捨ててがむしゃらに反対を叫ぶ市民の姿もあった。一体どこまで真剣に考えているのだろうか。


また、瓦礫広域処理は全国を放射能汚染させて農業を壊滅させるのが目的だなどというくだらない「陰謀論」まで出回っている。いい加減にせよと言いたい。


自分は何も基準を超えた放射線量の瓦礫を受け入れろと言っているのではない。安全な瓦礫を受け入れるべきと言っているのだ。それに今回は史上まれにみる大地震で20年分近い途方もない量の瓦礫が発生しているのだ。被災地から遠く離れたところでヒステリックに反対を叫んでいる人達は被災地の方々の身にもなって考えてほしい。


被災地の瓦礫というだけでヒステリックに陥るのではなく冷静に判断し瓦礫受け入れを検討すべきであろう。