経済発展とともにテレビや出版物、インターネット、さらには携帯電話と情報を気軽に入手できるようになってきたインターネットは調べたい事があるときにすぐにいつでも調べることができるし、通販をしたりすることも出来てとても便利である。しかしインターネットには有害な情報も多々含まれ、中には人の殺し方や毒劇物、爆弾の製造方法までもある。それにインターネットを利用した悪質な犯罪が目立つ。


ワンクリック詐欺といって特定のサイトに1度でもアクセスしたら高額な金を取られたりする犯罪や、出会い系サイトによって殺人事件にまで発展する例も多い。これらのサイトはほとんどが大人によって運営されている。


それに拍車をかけるのが携帯電話の普及である。2000年代前半までは大人や高校生が所持していた程度だったのがここ数年で中学生や小学生までもが所持するようになってきている。わざわざパソコンをかまわなくて、携帯電話があればいつでもどこでもインターネットを使うことが出来るようになった。最近では個人でブログを持つようになったり、掲示板に書き込みをするようになってきた。しかしここにインターネットの盲点が隠されている。


ブログや掲示板への書き込みはインターネットを介しての会話のようなものだから公の場での会話でもないし相手と向き合っての会話でもなくブログにアクセスしている特定の者だけの会話である。そのため平気で他人の誹謗中傷を書き込むことが出来るようになる。公の場ではない→平気で誹謗中傷をできる場→書き込みをしやすい精神状態が作られる。だから学校裏サイトというものも存在するし、そこからいじめに発展することもある。


小中学生の携帯電話の所有率が上がることによって家にいても、自分の部屋にこもって携帯電話をかまっている時間が増えて、食事の時間以外で家族との会話も減る→子供部屋のホテル化が進んでいる。これは家族とのコミュニケーションが減り、親が子供の動向を把握する情報を得る機会が減っていることを意味する。教育現場においても小中学生が学校で携帯電話を授業中にかまってメールやゲームをするようになってきた。これは5、6年前まではあまり見ることがなかった光景であり、授業の進行を妨げる要因にもなっている。


ここで考えてもらいたいのは、小中学生に携帯電話が必要なのか?ということである。よく子供に携帯電話を持たせている理由に防犯のためという理由が多い。しかし誘拐されても犯人はまず子供の持っている携帯電話を真っ先に捨てるだろう。それに子供が携帯電話で掲示板や有料サイトにアクセスして犯罪に巻き込まれるケースの方が圧倒的に多い。


防犯のために所持させたのに逆に子供が犯罪に巻き込まれるという皮肉な結果を生んでいる。それに小中学生がメールをして友達と連絡を取る必要があるのだろうか。小中学生が四六時中連絡を取るような必要は全くなく、話したいのなら学校で話せばいい。


小中学生にアンケートをとると「友達と連絡を取るのに必要だから」という回答がある。しかし少なくとも自分が小学生のときに携帯電話を使って連絡を取り合わなくても学校生活を送ることができた。携帯電話を使用する時間が増えるせいで携帯依存症になる児童も増えているし、学力低下も心配される。最近では授業中に電話がかかってきて、そのまま電話に出て教室から出て行ったりすることもあるという。


新潟県妙高市では教育委員会やPTAが小中学生の携帯電話所持を原則認めないという方針を決めて、保護者にたいする勧告を行った。拘束力はないため効果は限定的らしいが、地域、社会ぐるみで携帯電話を小中学生に持たせないという姿勢を示すことができたのはよいことだと思うし、これからもそのような地域が増えてほしい。


保護者も是非、子供に携帯電話を持たせないという決意を持ってほしい。そして最も考えを改めるべきなのは、電話会社である。


営業利益のために子供を食い物にして携帯電話を販売するのをやめるべきだ。防犯などの宣伝文句をちらつかせながら販売を拡大してきたが、それがもたらしたのは情報の氾濫とネットマナーの悪化であった。子供のネットマナー低下をもたらしたのは子供自身ではなく、携帯電話を販売する電話会社と子供が携帯電話を持つことを許している大人のせいである。もはや経済至上主義であってはならない!


小中学生は別に携帯などもたなくても十分生活できる。10年前までそうしてきたではないか!10年前の生活に戻すだけで済む話だ。携帯を持たせる保護者の皆さん!それと子供に携帯を売り込もうとするハイエナにも劣る電話会社の諸君!子供に悪影響を与える携帯所持はやめさせましょう!それがあなたたちの良心と義務である!