『実はね、私はハンドルを握ると、お客さんの現在・過去・未来の映像が見えて来るんですよ』



『もう、何百人ものお客さんにアドバイスをさせて貰っているんです』



『あ!』

『勿論、代金は、タクシーメータ分しか頂いていませんよ』





彼女の表情が見る見る明るくなって来た。

『運転手さん それって信じて良いの?』



『えぇ、勿論ですよ』

『私は何百もの実績を持っていますので』



『嬉しい!』

『運転手さん じゃ横浜駅西口までお願い致します』



『はい分かりました!』


吉田は何も言わず、乗車した位置へ戻る為、次の交差点でUターンをした。


『運転手さん!』

『どうもありがとう!』

そう言って、彼女は、元気にタクシーを降りて行った。