この時間でも横浜駅の西口はいつものように、多くの人で賑わっていた。
前から3台目に並んでいた吉田は、ダイヤロンド地下街の入口階段の辺りをぼ~っと見ていた。
先頭の車が3人の乗客を乗せて発車して、吉田は二台目となったとき。
大きなカバンを持った老夫婦が先頭車に乗り込もうとした。
吉田は車から降り、トランクに乗せる補助をした。
『ありがとうございます』
お爺さんは吉田に礼を述べた。
『いえいえ、どうぞお気をつけて』
東京の大手タクシー会社に勤めていた吉田だったが。
2年前から個人タクシーとして乗務していた。