それからというもの。


毎日、毎日、楽しみにしていた純だったが、鈴木紀子と書かれた伝票シートの荷物はなかった。


“紀子さんに会いたいなぁ・・・”

“行ってみようなかぁ”

“でも荷物がないのに、なんて言えばいいんだろうか?・・・”




そんなことを考えながら日々を送っていた。

“会いたいなぁ~”

“会いに行こうかなぁ”

いつも純は独り言を言っていた。





その日の午後、配達から戻った淳は、アオクマの休憩室の長椅子に座って、缶コーヒーを飲んでいた。


そこへ先輩の雅史もその日の配達を終えて、この部屋に戻って来た。

『お疲れ! 純』


『ぁぁ雅史先輩 お疲れ様です』

ふたりは声を交わしながら、純の長椅子に雅史が座った。


『なんかお前、最近、全然元気がないけど、どうかしたのか?』

雅史が純に問いかけた。


『ぇ ん は はい』


純を気遣った雅史は、純にさらに話を続けた。

『身体の具合が悪いのなら、早めに言えよな』

『俺に出来る事なら、なんでもしてあげるから』



『雅史先輩・・・ ほんとに有難う御座います』


『実はですね・・・』