『あっ この前はお野菜を貰って頂いて 有難う御座いました』
『ほんとうに助かりました』
『ぃいえ 僕の方こそ、たくさん頂いて・・・』
『帰って直ぐに煮物と天婦羅にして、ほんとに美味しく戴きました』
『どうも有難う御座います』
『え?』
『お兄さん、ご自分で料理なさったの?』
『ぁ はい 僕、ひとり住まいなもんで、いつも料理は自分でやっています』
『まぁ すごい!』
綺麗な紀子の笑顔が水晶のように輝いていた。
『じゃ ここにサインでしたよね』
『はい、ごくろうさまでした』
そう言って紀子は荷物を受け取り、部屋に入って行った。
ガチャっ
中から玄関の施錠の音がした。
紀子の部屋の玄関前に純は突っ立ったまま。
石の地蔵さんになっていた。