『ぁぁっ 飯田芳蔵といいます・・・』

 

『突然お邪魔してすみません、芳雄の父親の芳蔵です』

 

 

 

 

『えっ!だって、芳雄さんが幼い頃、山の事故で・・・』

 

 

 

 

『はい、私もそのように伝わっていると聞いていました』

 

『あの頃は生活も楽ではなく、芳雄が産まれてしばらくして・・・』

 

『山の仕事をしていたのですが・・』

 

『少しでも稼いで生活を楽にしようと思い、家を出て・・・』

 

『もう30年以上の時が経ってしまい・・』

 

『家に戻ろう戻ろうと考えていたのですが、日が経つにつれ・・・』

 

『芳雄がこの近くに住んでいると聞いたのは2年程前でした・・』

 

『一度だけでも会いたいと思い・・』

 

『今日、来てしまいました・・』

 

『・・・』

 

 

 

 

玄関の内側でじっと話を聞いていた優子は、扉の鍵をそっと開けた。

 

 

 

『芳雄さんには連絡を?』

 

 

 

『いえ、なにも伝えておりません・・・』