アロハ
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婚活サイト番外編～風のうわさ③～の続きです。
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いよいよハワイへ出発の日。
私はスーツケースを1つ持ち、
空港でお化粧を落とさなくていいように、
すっぴんで家を出ることにしました。
お化粧を全くしなくて外に出るなんて
恥ずかしくてほとんどしたことがありませんが、
誰にも会わないし、
空港で手荷物を持ちながらバタバタしなくていいように、
楽な方法を選びました。
まだ日差しがある時間なので、
少しでもすっぴんが隠れるようにマスクをして。
これで、よしっ。
準備万端で、空港へ行くために駅に向かいました。
エスカレーターに乗ってホームに到着すると、
なんとそこにはエビ天さんがいました。
驚くと同時に、
”やっぱり…”と思いました。
なぜかというと、
2度目に会ったときに、
出発日と、電車の時刻を聞かれたからです。
だから、もしかしたら…と思っていましたが予感的中です。
ホームに佇むエビ天さんは、
付き合っていたときに私がプレゼントした服を着ていました。
それを見て、
当時の記憶がよみがえってきました。
お店で、どれにしようと選んでいるときのことや、
プレゼントを渡したときの反応、
そして、その頃の二人の関係を思い出しました。
さらに、
エビ天さんの今の思いが、
その服を今日着ていることに、すべて込められているような気がして、
すごくせつなくなりました。
私に気づくと、エビ天さんは近づいて来ました。
「あなたをみおくりたかったよ」
「来てくれて、ありがとう」
私は服のことには触れませんでした。
エビ天さんの引っ越しは、1週間後に迫っていました。
そんな忙しいときに、わざわざ見送りに来てくれたエビ天さんは、
私がハワイから戻ったときには、すでに県外にいるので、
ここで会うのは最後になります。
発車の時間まで少し話した後、
エビ天さんは、私をぎゅ～っとハグして額にキスをしました。
マスクをしているから、頬じゃなくて額なのかな？
お別れの挨拶をしている大事なときに、
そんなどうでもいいことを、一瞬考えてしまいましたが、
ハグされた腕からも、エビ天さんの強い思いが伝わってきました。
電車に乗り込み、私はすぐには座席に向かわず、
入り口に立ちました。
ドアが閉まり、窓越しにエビ天さんを見ていたら、
”エビ天さんと会うのはこれで最後かもしれないな…”
ふっとそんな予感がした瞬間、
お付き合いしていたときの思い出が走馬灯のように蘇ってきて、
一気に感謝の気持ちが溢れてきました。
いろいろあったけど、エビ天さん、今までありがとう…。
そう思いながら、エビ天さんを見つめていると、
目に涙がこみ上げてきました。
本当にありがとう…。
電車が動き出し、エビ天さんの姿が見えなくなると、
本当に最後かもしれないという実感が湧いてきて、
寂しさなのかなんなのかよくわからない
喪失感のようなものを感じていました。
座席に座った後も、
別れ際のエビ天さんの表情が頭から離れず、
窓から見える景色を眺めながら、
しばらくエビ天さんのことを考えていました。
自分以外の彼氏候補に会うためにハワイへ行く私を、
どんな気持ちで見送ったのか…。
それは、エビ天さんにしかわかりませんが、
ホームで見送るエビ天さんの表情は、とても寂しそうでした。
そうして、しばらく余韻に浸っていた私ですが、
だんだんこれから始まる婚活旅への思いが強くなり、
ハワイに到着するころには、
もうすぐ書道さんに会える喜びで、胸がいっぱいになっていました。
※婚活サイトシリーズは、次回から、ハワイ編になります
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