物凄く悲しかった事が受刑者になってから起きました。

一緒の工場で刑務作業をしていた優しい受刑者のSさん(仮名)が病気になったのです。

医療刑務所に移送された時には、手遅れだと診断されたようです。

それでも刑務作業をやり続けて最期はご飯が食べられない状態が続きました。

そして、寒い日の深夜に救急車で運ばれたものの亡くなってしまいました。

Sさんは、同じ工場の中でも私にとって癒しの存在でした。

Sさんが亡くなってからは悲しくて思い出す度に泣いていました。

 

W刑務所では、月に1回説法があるのですがSさんが亡くなってからは行くようになり写経もしました。

効果は、分からないのですが少しでも供養になればと思ったからです。

 

また、Sさんが亡くなってから官本で仏教の本を借りて読みました。

その時に仏教も宗派によって考え方やご住職の呼び方などが違う事も分かりました。

※本当に無知ですみません。

同室の受刑者達には、官本で仏教の本を読んでいると気持ち悪がられましたが勉強になりました。

 

Sさんが亡くなってからは、ショックで暫くお腹を下すようになりました。

その影響で作業中にモゾモゾしていると先生に呼ばれて注意を受けました。

ある日は、先生も何かあったのか常に機嫌が悪くて刑務所に来て1番って良いほど怒鳴られてしまいました。

食堂でも、油断して隣の人とぶつかり「すみません」とつい言ってしまい再び激しく怒鳴られました。

※昼食中は私語厳禁です。

先生も1日で何度も私に怒鳴り続けたので疲れているように思いました。

私の中でSさんが亡くなった事が思った以上に堪えてしまったようです。

 

また、Sさんが亡くなってから1人で死んでいくのが怖くなってしまいました。

Sさんは、他の受刑者に見守られて死んでしまいましたが、私は出所した後にもし両親が亡くなると一人になります。

元受刑者であり多くの人を傷つけてしまう罪を犯した私には家族を作る資格はありません。

でも、不意に寂しくなり刑務所で死にたいと言っていた高齢受刑者の気持ちが少しだけ分かったような気がします。

刑務所を最期の場所と決めて万引きをして入った高齢受刑者もいました。

Sさんが亡くなり色々と考えさせられました。