女性刑務所も男性が入る刑務所も洗濯工場というものがあります。
しかし女子刑務所は、男性の刑務所とは違い下着や靴下など直接肌に身に付ける物は自己洗濯しなければいけません。
自己洗濯だったのは、性病や水虫など感染病対策だったと思います。
自己洗濯は、作業後の余暇の時間(土日祝日は午前)に行います。
洗い方は簡単で洗濯板を使って水で洗い汚れを落として各受刑者に与えられた専用のサークルに干します。
※部屋で干す事はできません。
面倒な作業だったからか私をよくイジメていた同室のYさんは、自己洗濯の時間になると「洗っといて」と言い、いつも自分の洗濯物を押し付けて来ました。
次第に、仲の良かった2人以外の女子受刑者は自己洗濯の時間になると私の洗濯する物の上にポンと置くだけになりました。
一度「これ、私のではないです」と勇気を出して言うと「喋らんと、ちゃっちゃとやれって言っとるやろが」とYさんにキレた目付きで言われてしまいました。
作業後に1人で6人分の洗濯は、大変で他の受刑者の下着を手で洗うのは抵抗がありました。
仲の良かった40代のHさんには「私も押し付けられとったから、よう気持ちが分かる」と言われました。
刑務所の中にいる下っ端は、よくされる嫌がらせのようです。
秋になるにつれ水は冷たくなっていくし冬は氷水で手があかぎれになってしまい大変でした。
そして、10月の話なのですが、腹が立ち一度Yさんや他の受刑者に押し付けられた掃除や洗濯をやらなかった日があります。
それに、その日は、時間がなかった為、自分の物しかできませんでした。
すると、Yさんはキレてしまい私の悪い噂を女子受刑者の間で流し始めました。
そして、他の40代・50代の受刑者も加わり私のシャンプーや借りた官本などを隠したり、歯ブラシをトイレの便器に突っ込んだり、体を踏んできたりといった嫌がらせをしてくるようになりました。
「オイコラ、少しでも気が緩んでいたら首を吊らせるからな」と脅された事もあります。
また、無視もされるようになったのですが、24時間ずっと一緒にいる人間に無視をされ続けるのは意外と堪えます。
一番嫌だった嫌がらせは、先生が見ていない隙にYさんが顔に唾を何度もかけてきた事です。
担当の先生に我慢できず一度申し出たのですが、改善される事はなかったです。
こんな地味な嫌がらせはYさんが出所(Yさんの刑期は私より短い)するまで続きました。
そんな状態でも仲良くしてくれた受刑者のAさんやHさんによると私が服役する前にもW刑務所ではイジメがありトイレで自殺をした受刑者の方がいたようです。
Hさんは、長く刑務所に入っているのでその時の状況を教えてくれました。
Hさんが言うには自殺した受刑者の方は、先生に何度もイジメについて訴えていたようですが何も改善されず無視されていたようです。
それどころか先生も自殺をした受刑者に対してキツク接していたと聞きました。
Hさんの話を聞き改善を期待すれば余計に辛くなると思い心を押し殺しました。
それに喧嘩をすれば懲罰房行きになってしまうのでひたすら我慢しました。
そのストレスもあって生理が半年間止まりました。
でも生理痛が酷い体質なので楽に思いました。
後、テレビや新聞で極悪人のように報道されている人ほど、凄く優しい場合もありました。
名前は言えないですが、後に冤罪だと分かり釈放された人もいます。
私のように酷い罪を犯してしまった人間は、酷い環境でも償いだと思えるのですが冤罪の人は気の毒に思いました。
今後、冤罪で服役する事になってしまう人が、いないようになって欲しいです。