エジプトは以外と鉄道網が発達しており、列車本数も多いです。外国人観光客が乗るのはカイロとアレキサンドリアの間や、カイロからルクソールやアスワンへ行く夜行列車といったところでしょうか。
今回は、そんなエジプト国鉄の中心、カイロのラムセス駅をご紹介します。
マハッタ・ラムスィースمحطة رمسيس
カイロには駅がたくさんありますが、アレキサンドリアや上エジプトのルクソール、アスワンといった場所への列車はラムスィース駅が始発です。駅名はかのラムセス2世から採られたもので、1955年に当時のナセル大統領が駅前にラムセス2世像を建立した際に改名されました。以前はエジプトを意味する「ミスル」駅と呼ばれていたそうです。駅前広場もその時からラムスィース広場となっています。なお、日本では「ラムセス」と発音しますが、現地エジプト人は100%「ラムスィース」の発音ですので、ご注意を。
さすがにナセルは常識人だけあって、自分の名前をつけることはしなかったのですが、現大統領のムバーラクはラムスィース広場に地下鉄駅を作った際、自分の名前をつけてしまいました。なので、国鉄はラムスィース駅、地下鉄はムバーラク駅と駅名が異なり、旅行者にとってはたいへん迷惑なことになっています。
写真はラムスィース広場の歩道橋から西側をみたところ。右奥のオラービ駅~タフリール広場への道路には上に都市高速の高架橋がかぶさっています。この区間は午後から夜まで大変混雑し、タフリール~ラムスィース広場が30分以上かかることもしばしば。車での移動は時間帯に気をつけて、余裕を持って行動しましょう。
ナイルデルタ方向と上エジプト方向の駅が背中合わせの構造
ラムスィース駅は南側のラムスィース広場に面して右の写真にあるナイルデルタ方面行きの駅舎があり、列車は東側(右側)から駅舎内にある行き止まりのホームに到着・発車します。
この駅舎には正面真ん中あたりに郵便局もあり、国際郵便もハガキや手紙なら出せるので便利です。12月15日頃に年賀状を出したら、「年賀」の赤文字を入れるのを忘れていて、年末に着いてしまいました。日本へのハガキは1.5LE(約30円)でしたから、年賀状の発送をすると大変おトクです(最新の2011-12年歩き方によると2.5LEになったらしいです) 運が良ければ、カイロ博物館に展示されているツタンカーメンが槍を構えた像をあしらったデザインの切符(1.5LE)を貼ってくれます。イランからならもっと安いですけど。
ナイルデルタ行きのチケット売り場は、駅舎の左奥にあるこじんまりしたホールにあり、1等と2等で窓口が分かれています。ここには自力でチケットを買う外国人も多いので、窓口も慣れたものです。わからなかったら、警戒の警官がいますので聞いてみましょう。英語が上手でない警官もいますが、切符を買うのに必要な言葉は行き先と、発車時間くらいなものです。
アレキサンドリア行きなどは30分から1時間に1本はエアコン付きエクスプレスやタービンと呼ばれるターボトレインが出ていますが、途中駅のベンハーやタンタでもけっこう乗降があるので、この窓口で座席指定のついたチケットを買っておくことをお勧めします。一部のガイドブックに、デルタのエアコン列車は車内で切符を買えないとありますが、実際は買えます。ただ、座席指定はできないので、指定のついたチケットを持った人が乗ってくると席を譲らなければなりません。
上エジプト方面の列車は、この駅舎の裏側にある貫通した線路のホームに発着します。切符売り場のある駅舎は南側のラムスィース広場ではなく、反対側、北側の広場を向いて建っています。ラムスィース広場側からは、前述のデルタ行き切符売り場の横を通っていったんホームに出て、左右の地下歩道をくぐって駅舎へ向かいます。チケットを見る駅員はいますが、外国人なら切符を買いにいくと言えば問題なく通してくれます。
旅行代理店の手配車やタクシーでラムセス駅に行く場合、混雑するラムスィース広場側を嫌って、多くがこちらの北側駅舎前に車を付けます。タクシーなら走っている途中にでも、どっちに行くかリクエストするといいでしょう。北側駅舎の前はアフマド・ヘルミと呼ばれるバスターミナルになっており、写真のミクロバスのほか、写真奥側の広場からは緑色の市内線大型バスも出ますが、旅行者が行くようなところへはあまり路線がありません。
上エジプト方面への切符売り場は1等と2等でホールが分かれている
ルクソールやアスワンといった上エジプトへの列車のチケットは、この北側駅舎内で購入できるのですが、1等と2等では隣り合った別のホールにチケット売り場があります。右の写真が1等窓口のホールのようす。ずらっと窓口が並んでいますが、右端からの数列(いくつ開いているかは運次第)が翌日以降のエアコン付き列車の売り場。もちろん座席指定です。写真では切れていますが、一番左端にはアベラ・エジプトの寝台列車の窓口(これはデルタ方面の駅舎にも専用ブースがあり、そっちの方がよく知られています)があり、その隣に当日発のエアコン付き列車の窓口が1つか2つあります。
上エジプトへの列車は、ハイシーズン、特にクリスマス休暇やイースター休暇のときは大変混み合いますので、できる限り早く購入することをお勧めします。切符が購入できない場合、エアコン付き列車でも車内で補充券を出してもらい清算することができます。ルクソールやアスワンで、近隣の駅まで移動する場合、窓口では外国人に売らないどんな列車でも、乗っていれば降りろとは言われませんので便利です。ただ、エアコン付きの発券手数料は6LEもします。デルタ幹線の途中駅どうし、例えばダマンフールあたりからタンタとかで乗ったりすると、運賃より手数料の方が高かったりして閉口します。なお、エアコン付き列車の車内補充券では座席指定券は出ないので、満席になることが多いカイロ発着の夜行など座りたい場合は窓口で購入することをお勧めします。
2等のホールも構造は変わりませんが、1等のホールに比べると人も多く騒然としています。窓口の配置は同じく、右側から翌日以降のエアコン付き2等のチケット売り場が並び、左端から当日のチケット売り場があります。当然ながらアベラ・エジプトの窓口はありません。1等だと、外国人に売らない列車があるのですが、2等だとたいていの窓口で売ってくれますので大変便利です。2等でも日本の在来線特急の座席程度のものですから、ムーンライトあたりに乗っていると思えばいい乗り心地です。
窓口では割り込みは当然なので、自分の体を使って横から手を入れられないようにブロックしましょう。かつての中国並みのパワーが必要です。待ち行列をほっかって、窓口係員が別の仕事にかかってしまうこともしばしばです。ま、人間的な交渉の余地はあるので、その分かつての中国駅よりはましですが。
なお、エジプトの列車にはエアコンなしの2等、あるいは2等と3等の列車がありますが、これらの列車は座席指定がないので、幹線の駅窓口では売りません。車内で補充券を出してもらい、空いている席に座ることになります。エアコンなしの列車の場合、車内発券手数虜は0.5LEです。
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