とあるBBSでエジプトの、カイロ~ルクソール~アスワン間の列車の座席指定の取り方について、質問されました。
エジプトは数回、せいぜい60日くらいの滞在経験しかありませんが...
アスワン駅窓口の外国人に対する発券制限について
私が鉄道を使う際に下調べ、あるいは情報収集でよく使うサイトがあります。
その名は
How to travel by train
たいへん有用なサイトで、私もちょくちょく参考にさせてもらっていますが、やはり読者からのフィードバックで成り立つのでどうしても情報は断片的になりがちです。2007年くらいまではかなりアップデートされていましたが、ここ最近はちょっとどうかな。みなさん、フィードバックは大切ですよ。
さて、質問者はこのサイトにアスワン駅窓口では2009年3月から外国人に対して発券する列車を制限し始めたと載っていると指摘されていましたが、実はこれ、かなり以前から、断続的に実施されてきており、行ってみないとやっているかどうかわからない。私が最後にアスワンに行ったのが2008年8月、その時点ですでに貼り紙で3つの列車に限定していました。
アスワン発18時の1903列車について
この列車、2008年8月時点では、その外国人が乗れる3つの列車に入っていました。当時は18:30発でしたが。列車番号4桁で乗れるのは珍しいので、よく憶えています。発車時刻の微調整があるにせよ、現在も窓口で売ってくれる可能性は高いのでは?
アスワン~ルクソール~カイロの夜行列車の混みぐあい
実は私はこのときこの1903列車に乗ったのですが、夏は一般的にはオフシーズン(といっても8月は暑い太陽大好きな北ヨーロッパの人がバカンスで来るのでそれなりに増える)なので、前日のアスワン駅で簡単にカイロ行き1等が買えました。ご存知の通り、ルクソールから乗る(ルクソール駅でしか発券しない)席がたくさんあるので、アスワン出発時点ではがらがらです。ルクソールを出てもまだ余裕がありましたが、0時発のソハーグ、1時半発のアスユートでも乗り込む人がいて、アスユートを出た時点で満席になりました。
他の経験でもアスワン~ルクソール間でしたら、指定席なしでも全く問題はありませんが、ルクソール~カイロで、特に夜行でしたら、子ども連れでなくとも指定をとっていないと厳しいと思います。
右上の写真は、2008年ではなく、2005年のアスワン発1等のようすです。下に掲げるネフェルティティ号でなければ、上エジプトの1等はどれもこの車両。横3列なので、日本の在来線グリーン車並みの幅があり、シートピッチもゆったりです。
年末年始の混みぐあい
ところで、質問者は年末年始に旅行されるとのこと。私も年末のエジプトに2度行ったことがありますが、クリスマスの頃はカイロでさえ全くチケットが取れませんでした。クリスマス休暇でエジプト入りするヨーロッパ人が多いんだそうです。年が明けても、そんなに変わらないでしょう。
餅は餅屋 ツアーを組む
2005年末に行った時はカイロ発でさえ取れなかったので、いいかげん上エジプトは諦めようかと思ったのですが、ふとタラアトハルブの旅行代理店に入ったら、50%だか100%だかのプレミア付きだけど、指定席がとれるというではありませんか。当時アスワンまで1等で65ポンド程度でしたので、1300円が最大2600円になる程度の話です。
「ところで」と店の主人は続けました。「宿のアテはあるのかい」
来た来たと思いつつも、私たちも5日後のフライトでアンマン戻りの予定でしたから、ツアーもいいかと内容・条件交渉に。
実は、ほんの3週間前にかのマアーンで結婚式を挙げまして、妻といっしょの「新婚旅行」。バックパッカー宿でなく、リーズナブルなホテルならそれの方がよいといった状況でしたので、
1 カイロ20時発1等で車中泊
2 アスワンで午後から半日アスワンツアー混乗 アスワン2つ星(Hはヌーバニール)
3 コンボイでアブシンベルツアー混乗 午後はフルーカ 夕方の列車でルクソールへ(Hはシャディ)
4 西岸東岸1日ツアー混乗 夜の1等でカイロへ
という、4泊5日(実質3日)のツアーというか手配を組んでもらって、2人で220米ドルと当時でも良心的な部類に入る値段となりましたので、それに乗ってしまいました。
値段もともかく、なにしろあれほどかけずり回ってダメだったチケットを、いとも簡単に出すというのが信じられず、その点を聞いたら
「安心しろ。それが俺たちの仕事だ」
と力強いお言葉。こんな場合、マスリー(エジプト人)なら「インシャアッラー(すべては神のお心のままに)」という信心深い、しかしどの程度信頼できるかケースバイケ-スでこっちが判断するしかない返答が来るものと相場が決まっています。
チケットは当日(翌日)、ここに夜8時に来たら渡すというので、こちらも支払いはそのときにしましたが、渡された切符は、昔ながらの硬券、しかも地紋様なし(右上1枚目)。スタッフがちゃんとホームまで送ってくれると言わなかったら、ニセ券だと疑ったに違いありません。だって、当時もう窓口で売っているエジプト国鉄の指定券はホログラム入りのペラ券でしたから。右2枚目が帰りのチケット。
右の写真が、このとき手配されたカイロ発の列車の車内。なぜかカイロ発だとネフェルティティと呼ばれるこの車両にあたることがおおいです。1等なのですが、リクライニングしない6人コンパートメントなので、満席だとちょっときついです。足もとはゆったりしていますが。ルクソールを出ればこのとおり、寝っ転がれるほど席が空きます。
カイロの旅行代理店はとかく評判が悪く、騙される人も続出していますが、このツアーは、現地で手配されている下請けと思われる案内人も、珍しく顧客満足度を気にする人で、私たちはルクソールツアーから西岸だけで離脱したのですが(ちょうどサトウキビの収穫どきで、そっちをもっと見たかったので)、あとからなぜ降りたのか、そしてカイロに報告する書類に理由(もちろん自分たちに非はないと)をかいてサインしてくれと言ってきました。このカイロの会社は、かなり下請けのガバナンスが効いているなと思ったしだいです。右の写真はアスワン駅のホーム。ちょうど私たちを出迎えにきたガイドが、名札を持って歩いています。
まあ、この場合は運良く、まとも?な業者にあたっただけかもしれません。タラアトアルブにもひどい業者はわんさかいるようなので。ツアー内容を記した契約書をくれるので、漏れがないかチェックしましょう。実は私たちの手配でも、アスワンのフルーカが契約書から漏れていて、気づかずにアスワン入りしてしまったのですが、強く抗議すると、なんと現地の案内人が入れてくれました。これも、カイロのその代理店の威力かもしれません。フルーカはこのあとも何度か乗りましたが、この時のが船長、乗員、他のメンバーとも一番楽しかったですね。
別の例 ダフ屋に裏ルートで頼む
2006年末にも行きまして、こんどはカイロ駅では1等を買えた(またもネフェルティティ)のですが、ルクソールに着いてそのまま窓口に行ってみると「カイロ行きなんか1週間後までマーフィ(無し)だ」
いやあ困った、仕方ないからバスで帰ろうかと思っていたのですが、たまたま冷やかしにいった、当時有名だった日本人宿(泊ってはいませんよ)の韓国料理店の料理人が、俺なら駅長から買えるという。駅長と友達だというのは眉唾だとして、じゃあ明日のカイロ行き1等買ってきてよというと、飯を出した後出かけて本当に買ってきた。いくら?と聞くと取り分を入れて85ポンドというから、ありがたく頂戴しました。右の写真がその時のチケット。補充券?のようですが、手数料は0.1LEですから、駅売りの券なんでしょう。
今はどうか知りませんが、当時のルクソール駅はほんとうに評判が悪かったです。