死海へのバス徹底研究 その1 | アーディで行こう

アーディで行こう

「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

ヨルダンでもっとも有名な観光地、それはペトラではなく、死海です。日本人ならだれもが、水面に寝そべって新聞を読むあの姿を、写真かなにかで見たことがあるのではないでしょうか。
このブログでも、高級ホテルのプライベートビーチ庶民向けの公共ビーチを紹介してきました。

ところが、この死海、いざ行こうとすると実に行きにくい。というのはこれほど有名な観光地にも関わらず、公共交通機関がめちゃくちゃ不便なんですね。だから旅行者のほとんどがタクシーで行っています。タクシーならアンマンから1時間足らず。死海浮遊する待ち時間を2時間くらい見込んでも、半日コースで往復タクシー代30~40JDといったところです。

ヨルダン人は死海にどうやって行くか
死海はヨルダン人にも人気のピクニックスポット。3、4月はたくさんのヨルダン人で賑わいます。ではヨルダン人はどうやって死海に行くかというと、やはり自家用車が多いです。
また、彼らは大家族が多いので、親戚などで4~5家族集まれば子どもを含めて30人くらいになってしまいます。そういうときは、なんとマイクロバスをチャーターするんです。といっても貸切専用の高い会社のものではなく、このブログでもよく紹介している、路線バス用のもの。ですから、ピクニックスポットに行くと、ヨルダン各地のローカルな地名が書かれたマイクロバスが見られるんです。

死海行きのバス
アーディで行こう-死海バスサボ1アーディで行こう-死海バスサボ2アンマンから死海行きのバスもあることはあります。ムジャンマ・ムハジェリーンから出ていて、車体側面には誇らしげにDead Seaと英語でも書かれています。右の写真がその側面行き先表示です。死海は、アラビア語では
اليحر المين バハル・メイエット
といいます。意味はそのものズバリ、「死の海」です。

ところがこのバス、まず発車時刻がはっきりしないんです。ムハジェリーンで聞き込む限り、1日5本ほど運行しているようなんですが、聞くたびに変わっており、どうにも当てになりません。一度だけ実際に発車する現場に出くわしましたが、夕方16時くらいでした。
朝から夕方まで運行と考えて1日5本なら、単純計算で最大待ち時間2時間ですが、死海ごときに行くために2時間も待ってられないでしょう。帰りだって、あの容赦なく太陽が照りつける死海沿岸で、いつ来るとも知れないバスを待つなんて、全くクレイジーです。
また、このバスには2005年春に一度乗車できたんですが、死海手前のスウェイマ集落に着くと、そこから先は別料金だと言い張り、結局アンマンビーチまで別途5JDかかりました。これなら、次に述べる方法で行く方が安いです。
というわけで、結局死海へ行く観光客にも相手にされず、スウェイマ集落の地元民しか利用しないという、実にもったいない経営をしているわけです。ま、ヨルダン人らしいと言えば、そのとおり。

おススメ! ラーマからタクシー乗継ぎ
アーディで行こう-ムジャンマ・ムハジェリーンアーディで行こう-シューネバスサボ死海へバスで行くなら、使えない死海バスはほっといて、ムジャンマ・ムハジェリーンからシューネ・ジャヌービーヤ行きバスに乗りましょう。右上の写真がムジャンマ・ムハジェリーンのようす。中央のレーンがシューネ行きバスです。右下がシューネ行きバスの側面行き先表示。アラビア語では、
الشونة الجنوبية
と書きます。
死海が見えてくると、ラーマという小さな交差点に着きます。バスはここから北へ折れ、シューネ・ジャヌービーヤまで行くのですが、このラーマにはタクシー事務所があり、死海まで1台片道4JD以下で行くことができます。1人なら、交渉次第で2JDにすることも可能です。シューネ・ジャヌービーヤ行きのバスは閑散時でも30分に1本、客が多ければ15分に1本程度は発車しますから、この方法だと待ち時間のストレスはほとんどありません。ラーマのタクシー事務所は、右の写真の通り。のどかな風景です。
アーディで行こう-ラーマタクシー事務所帰りも、時間を指定しておくか、タクシー事務所に電話すれば迎えにきてもらえます。デッドシー・パノラマやハママート・マイン経由、あるいはネボ山経由でのマダバまでの周遊もやってくれますが、こっちはあんまり安くないので、周遊するならむしろアンマンでタクシーと交渉してしまった方がいいでしょう。タクシー会社の電話番号は歩き方の死海ページに掲載されています。かつては固定電話でしたが、今はボスの携帯に代わっていますので、もしかしたら番号が変わるかもしれません。

ラーマからはワゴン型セルビスも出ている
このラーマの交差点には、ワゴン型のセルビスもいます。こちらは死海のビーチを通り越えて、ゴール・マズラーという、カラクからの谷が死海に出合う砂州にある村まで行きます。運賃は2006年で1.5JDと、1~2人ならタクシーを使うよりやすいのですが、タクシー会社に遠慮して、死海までの客はあまり乗せたがりません。「ゴールへ行く」といって乗って、途中で気が変わったと下車するといいでしょう。
ワゴンといっても、後部座席は1列なので、運転手をのぞいて5人客が集まれば発車となります。ヨルダンでは、後部座席2列だと車種が変わってしまい税金なんかも面倒になるので、田舎で走るこういったワゴンの大半が、6人乗り+荷物スペースになっています。白ナンバーです。

死海からの帰りは、簡単にヒッチハイクできる
上記のワゴンは、満席になってからゴール・マズラーを発車するので、死海沿岸でこれに途中乗車することはできません(ヨルダンではマイクロバスやセルビスの定員はかなり厳格に守られています)
ではタクシーを呼ぶ以外、死海から帰る方法がないのかというと、実はここでは簡単にヒッチハイクができるのです。
死海道路には、このゴール・マズラー周辺の砂州で生産されるスイカを、消費地アンマンまで運ぶトラックが多数運行されており、彼らは昔ながらのヨルダン人気質で、困っている人に実に親切。彼らから見れば、気温40度以上、炎天下の死海道路をふらついている旅行者なんぞは、看過できない「手を差し伸べるべき存在」なのですね。
ヨルダン渓谷といえば、イエスが洗礼を受けた場所でもあります。彼の教えになかにも「善きサマリア人」という譬えがありますね。現在のこの辺りのヨルダン領内の住民はほぼ100%イスラム教徒ですが、弱者救済の教えはイスラームにも共通しています。
もちろん、なかには下心がある人もいますので、ヒッチするなら相手をよく選びましょう。
ちなみに、スイカトラックの行き先は、アンマン南郊外にあるハリバットスークという野菜卸売市場です。ダウンタウンに下りるクリエットハッテーン線のマイクロバスの始発点である立体交差点を通る運転手が多いので、そこで降ろしてもらうと便利ですよ。ザルカへのバイパスが分岐するところなので、「ジスル・ザルカ」などと呼ばれています


死海周辺のバス路線図
路線は直線状に簡略化して表示しましたが、各ポイントは実際の距離、方位にほぼ即して記載していますので、だいたいの位置関係はこのとおりです。
$アーディで行こう-死海北部周辺図