今回はアンマンからペトラへ向かうバスをご紹介します。
ジェット・バスJETT Bus
ヨルダン随一のバス会社、ジェット・バスが1往復だけペトラ行き路線バスを運行しています。出発地はアブダリ・オフィスで、毎朝6:30発。だいたい3時間でペトラ遺跡入口にある観光バス駐車場まで直行し、基本的にワディ・ムーサ村では降りられませんので安宿に向かう際はご注意を。
帰りのバスは同じ遺跡駐車場を16:00か17:00、18:00のいずれかに発車します(季節によって変わります)
ジェット・バスについては、メインのアカバ線を紹介したこちらの記事もご覧ください
運賃は2009年6月時点でアンマンから6.75JD、ペトラからの帰路はたしかちょっと安かったはずです。このバスの乗客は100%外国人観光客で、日帰り客がほとんど。彼らはアンマン発の時点で往復予約してしまいますし、バスも22人乗りくらいの、トルコやイスラエルでドルムシュとして使っている中型車を使っているので、予約なしに帰路だけ乗るのは幸運にも席が空いている場合に限られます。ペトラの駐車場にはジェットの事務所はありませんが、観光貸切のジェット・バスはたくさん停まっています。2006年夏に乗れたら乗ろうかという感じで捕まえましたが、発車間際まで空席が確認できず、運転手に「たぶんだめだろう」といわれながらもなんとかぎりぎり3人乗れました(それで満席になりました) 後述するワディ・ムーサからのアーディ・バスは午後3時頃終車しますので、夕方帰りたい場合にはこのジェットが便利なんですが、どうしても乗りたい場合は、アンマンのアブダリで予約しておくことをお薦めします。また、アンマン発も朝が早いので、前日に電話で予約をしておきましょう。
下にFAXも記載しておきますが、国際FAXで予約できるかどうかは、やったことがないのでわかりません。少なくとも、返事のFAXが返ってくることはないでしょう(電話代が高いから)
アブダリ・オフィス(国内線) TEL (06)566-4146 FAX(06)560-5005
アーディのワディ・ムーサوادي موسى行きミニバス
ペトラヘ行く観光客の足となっているのが、ペトラ最寄りのワディ・ムーサ行きミニバスです。アンマン南郊のワヒダットالوحدادという地区にあるムジャンマ・ジャヌーブمجمع الجنوب(南バスターミナル)から発車します。
バスが待機して、席が埋まりしだい発車するヨルダンのアーディバスシステムなので、曜日や経験によっておよその発車時刻を割り出す必要がありますが、平日(日~木曜)ですとおおむねアンマン発10時くらいから5~6便、最終が17時くらいです(冬だとやや早くなります)。木曜夕方は、週末を田舎で過ごす学生や労働者で非常に混み合い、乗り切れないこともあります。
ムジャンマ・ジャヌーブにやってきたワディ・ムーサ行きバス。
PETRAと英語表示されている(右写真)
ワディ・ムーサ発は朝6時30分発はきっちり出て行きますが(これの返しがアンマン発第一便になっているはずです)、それ以後はこちらも席の埋まり具合で、7時30頃、9時頃といったあたりです。最終は14~15時程度と言われていますが、夏などは18時頃にハイウェイですれ違ったりしますので、16時くらいまであるようです。このように、最終は季節変動がありますので気をつけましょう。基本的に午後遅くにムーサを脱出したいなら、あるかどうかわからないアンマン行きより、マアーンまでミニバスで出て、マアーン発アンマン行きを捕まえましょう。マアーン発アンマン行きは、最終が冬期17時、夏期は18時は確実にあり、たいてい19時頃発があります。
なお、ここで冬期、夏期とありますが、おおむねサマータイムとなっている期間が夏期です。ヨルダンでは、3月最終の金曜日にサマータイムが始まり、10月下旬のこれも金曜日から冬時間に戻ります。3月の始まりはたいてい近隣諸国と同時ですが、終了はシリア、レバノンとはばらばらになっていることがありますのでご注意を。2009年10月末には、レバノンはまだサマータイムでしたが、シリアはすでに冬時間に変わっていて面食らいました。サマータイムは、アラビア語でタウキート・セイフィالتوقيت الصيفيといいますが、たいていのヨルダン人にはサマータイムで通じます。
デザートハイウェイ~ショーバック経由
ムーサ行きバスは、ムジャンマ・ジャヌーブを出ると、アンマンのダウンタウンや新市街には入らず、マダバ街道を通ってジスル・マダバでデザートハイウェイに出ます。約1時間後、スルタンという集落のドライブインで給油&休憩し、その後また1時間デザートハイウェイをひたすら南下、アル・フセイニーヤالحسينية、アル・ハーシェミーヤالهاشميةを過ぎたところの立体交差点で西に折れ、ショーバックالشوبكの手前でキングス・ハイウェイに合流します。ショーバックからはぽつぽつ降りる人が出てきて、標高1200~1700mの高原を進んでワディ・ムーサに到着します。この高原地帯は、冬には雪が降ることがあり、積もってしまうとスタッドレスタイヤもチェーンも存在しないヨルダンの道路は完全にストップしますのでご注意を。
ムーサの手前、マアーンからの道路との合流地点を過ぎると、ワディ(谷)に向かって道路は一気に下りはじめます。沢の入口には警察のチェックポイントがあり、そこがモーゼが杖で突いて泉を出したとされるアイン・ムーサعين موسىです(この故事はマダバの近くにもあります) アーディ・バスにはここで、「ムーサ・スプリング・ホテル」のオヤジが乗り込んできて勧誘しますが、はっきりいってここからだとペトラ遺跡はもとより、ムーサ村自体にも歩いて行くのが困難なくらい(2~3kmの店もない道)離れていますので、よほどこのホテルが気に入っているという人以外にはお勧めできません。また、向かいには世界的ホテルチェーン、ゴールデンチューリップもあります。このホテルもネット予約でよく出てきますが、実際はこんな不便なところにあります。
アンマンを夕方出てくると、ワディ・ムーサにつく頃はとっぷりと暮れていることでしょう。ムーサは標高1100mの西向き斜面にある集落なので、たいていのホテルからは、上の写真のような夕焼け&夜景が楽しめます。この夕焼けの下に、ペトラ遺跡が眠っているのです。
(右下の明るい部分がムーヴェンピックホテル、その上奥の光っているのがクラウンプラザホテルです)
ムーサ行きバスはぼったくりの極み
困ったことに、このワディ・ムーサ行きバスは外国人が正規運賃で乗ることが非常に難しい。ワディ・ムーサでボランティアをしていて、運転手と知り合いになっている(つまりコネが効くムーサの部族社会の一員になっている)人でなんとか正規で乗れるといった感じです。私も何度ケンカをしたことか。2005年3月、当時の正規運賃は1.5JDだったのですが、アンマンから乗った最終バスの助手は頑として3JDと言い張り、なんとヨルダン人乗客全員から3JDを集めていました。そしてどうしたか? ムーサについてドワール(サークル)で私たちを含め外国人観光客が降りた後、ヨルダン人に対して1.5JDの払い戻しをしていたのです。そこまでするか!
2006年、正規運賃1.75JDの時は2人で黙って3.5JD出すと、「ああ、こいつは知っているな」という感じでそのまま受け取ってもらえましたが、2007年あたりになって原油価格の高騰とともに2JD、2.25JDと運賃があがっていくと、地元の人でさえはっきりと運賃がわからなくなり、ちょっと多めに言われてもしかたないか、という感じになっていました。だいたい、ガソリン価格が1ヶ月単位で値上がりしているんじゃ、ぼったくる方にも一理あるってものです。それでもなかには5JDとか言ってくるヤツがいたりして、この路線に乗るときだけは、外国人観光客と同乗したくなかったです。私一人や連れくらいなら、吹っかけられることも少ないですし、交渉で値切る(というか正規運賃に戻す)こともしやすかったので... 2009年6月時点で2.75JDと一時より安くなりましたが、その後また石油価格とともにヨルダンの物価が上昇したそうなので、2010年年初だと3JDは超えているものと思われます。
みなさんも吹っかけられていると思ったら、どんどんクレームをつけましょう。日本と違って、主張しなければ同意したと見なされます。あとでどんなに文句をいったって無駄ですよ。クレームはその場で解決、そしてひきずらない。それが中東を楽しく旅するコツです。
では楽しい旅を!