キング・フセイン・ブリッジからエルサレムへ その2 | アーディで行こう

アーディで行こう

「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

入国審査
イスラエル側のチェック・ポイントを出発すると、ほどなく正念場の入国審査場です。
2度とも、「いったいこれまでどこにこんな人がいたの?」というくらいの入国者であふれていましたが、観察してみると、どうやらエリコあたりのパレスチナ人がエルサレムに入るときも、この入国審査場を通っているみたいです。

入国審査は、順を追って以下の通りの手順です。
1 バスを降り、向かい側の荷物預け場に荷物を預ける。その際クレームタグをもらうのを忘れずに。
2 建物入口にあるセキュリティ・チェックを通る
3 なにやらわからない気体を体に浴びる
3 審査ホールへ進み、ホール左手の審査ブースに並ぶ。この際、別紙押印希望の人は係官に伝える。
4 質問にパスし、入国許可が出た人は 7 へ。この紙を埋めろといわれた人は 5 へ
5 質問シートをもらった人は、ホール右手のベンチコーナーに座ってシートを埋め、名前が呼ばれるまでひたすら待つ
6 名前が呼ばれた人は、ホール右手ベンチコーナーの正面にあるブースへ行く。たいていはここで入国許可が出ている。質問シートは、提出せよといわれる人と、要求されない人がいる。
7 入国スタンプが出たら、審査ブースの間を抜けて裏へ。チェックポイントがあるので、そこで荷物のクレームタグを見せる。ここで前へといわれた人は10へ、右手を示された人は8へ
8 チェックポイント右手には、荷物検査コーナーがある。ここに行けと指示されたら、預け荷物になにか不審物が見つかったということなので、係員にその旨を告げ、自分の荷物がどれか告げる
9 係員が荷物を出して不審物検査をする。この際、入国者は手出しできないで、検査場の外で待機する。検査をパスすれば、中身を詰め直された荷物を渡される。
10 クレームタグ・チェックポイントの先には空港のようなベルトコンベヤがあり、荷物がまわりの床に散乱しているので、残りの荷物があればそこで引き取る。

以上で終了です。この荷物引き取りホールの隅には両替所もありますが、レートはとっても悪いです。ATMもありませんので、ある程度アンマンでシェケルを入手することをお薦めします。ホールを出ると、写真のようなブースでエルサレムまでのシェルート(乗合タクシー)のチケットを買い、指示に従って10人乗りのワゴンに乗車して、道路封鎖などがなければ1時間弱でエルサレム旧市街ダマスカス門前に到着です。シェルートは2009年6月現在、34シュケル+荷物代3.5シュケルと、いきなりイスラエルの物価の高さを教えてくれます。
このシェルートは7時から14時30分まではアーディで運行。その後も入国者が多い場合は16時半まで運行しているとのことです。実際、私の車が発車したのは17時近くでした。
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ブース上部の看板はアラビア語で書かれている。
運行会社名はタクスィー・ネジュメ(スター・タクシー)

ダマスカス門近くには銀行ATMはありません。門の真下のお店がATM扱いをしているようですが、閉店中は使えません。最もダマスカス門に近い両替所&ATMは、門前を城壁沿いに東へ戻り、ヘロデ門前にある郵便局を左折してサラーフィッディン通り(サラディーン通り)に入り、500mほど行った右手の写真のお店です。旧市街に入ってしまうとヤッフォ門やその前の通りまで行かないと両替所やATMはありません。
ちなみに、イスラエルのATMはかなり高額の手数料(5シェケルとか)を平気で取るので、クレジットカードを使った方が有利です。
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入国審査FAQ
審査の所要時間は?
その時の混雑状況と 5 の別審査になるかならないかで大きく異なります。
一般的に、朝が一番混んでおり、3年前のラマダン明け2日目朝に到着した時は、前日が閉鎖日だったためか、とんでもない混み具合で、審査ブースに並んでからたどりつくまでに30分といった感じでした。
2009年6月の時は、入国審査に着いたのが15時半頃でしたので、審査ブース自体はがらがらでした。

また、別審査になると、これはもう神のみぞ知るところです。3年前は9時前から昼過ぎくらいまで待ちました(もはや放置プレイです) 2009年6月の時は、先客の日本人グループは3~4時間待っているとのことでしたが、彼らが名前を呼ばれて入国し、つづいて私も呼ばれたので、30分も待たずに済みました。同じ日本人だから一緒に審査したということなのか、もう16時近くで閉店したかったのかわかりませんが、ラッキーな例といえるでしょう。
ちなみに、夕方からユダヤ教徒のシャパット(休息日)となる土曜日は審査が速いという、噂を聞いたことがあります。なお、金土はヨルダン側出国が13時までとなっています。
また、2009年6月には荷物審査で放置プレイを受けているアラブ人がいました。ここは座るところもないので、本当にお気の毒です。

別紙押印
現在、パスポート上にイスラエル入国履歴を残さないための別紙は、印刷された専用紙が用意されており、きちんとシステムとして認められているようです。ただし、前述したように、この措置が一時的に停止することもありますし、係員の判断でパスポート上に押されることもままあります。私が2009年6月に入国した時は、他の日本人組も希望者全員別紙で通ったようです。

入国拒否
また、親パレスチナ姿勢のジャーナリストとみなされると入国拒否をくらわされることがあります。私も、これまでに2人入国拒否された日本人と直接会っています。うち一人は、いったんアンマンに戻って、再度イスラエル入りしようとして拒否されていました。ラマッラーなどヨルダン側西岸のパレスチナ人自治区に何度も出入りしていたのを、どこかで知られたのではないかと、言っていました。

クレームタグははがしておこう
預け荷物と引き換えにもらえるクレームタグは、飛行機のタグとおなじようにシールになっており、パスポートに貼っとけと指示されます。この糊はかなり強力なので、待ち時間に剥がしたり貼ったりを繰り返して粘着力を弱めておき、入国後は即座に剥がしましょう。シリアやイエメンといった、イスラエル入国後に入れない国でこのクレームタグが見つかった場合も、入国を拒否されます。
スタンプ以外でもイスラエル入国を示す余計なものをパスポートに残さないことが重要です。

手荷物の範囲
どこまで荷物を預けるかですが、2009年6月には小型のディパックくらいなら手荷物にしている人がいました。前述のように預け荷物もベルトコンベヤのまわりに放置されますので、少なくともきちんとジッパー類を閉めておきましょう。検査の関係上、鍵をかけてしまうと強制的に 9 の荷物検査に回されてしまう可能性があります。 ちなみに2009年6月にはカメラバッグを預けましたが、カメラ類は無事でしたが、水の入った小型ペットボトルと、現地では大事な大事な日焼け止めがなくなっていました。資生堂の高いやつだったのに。