ブルース・リーの正体とは、
総合格闘技の先駆者、香港映画の世界への紹介者、
中国人のイメージを一変させた国民的英雄というだけでなく、
(実際のリーは純粋な中国人なんかじゃないよ!)
それは宿命的に武芸と映画芸術という表現様式を借りて現れた、
「怒れる鬼神」であり、「美の化身」であり、「昇華の極致」であった。
リー本人が武者震いするような人生のピークにおいて、
その真摯に完全燃焼する天才芸術家の姿は、
観る者の肉体と魂を脳幹から揺さぶり、
他の誰からも得られない種類のカタルシスとエクスタシー、
そしてモチベーションとインスピレーションを与えてくれた。
こうした魂の浄化と感動と触発と啓示こそがリーの真価だったのである。