NHKの一週間で資本論の本が出版されたので、読んでいますが、面白いですにひひ

テレビで伝えきれなかった部分を、率直に的場教授は語ってくださいます。

非常にわかりやすく、難しい資本論をなんとか世の中に広めて、有益さを伝えようとしていらっしゃるのがひしひしと伝わってくる文面です。NHKでは全部で4回に分けて解説されていましたが、とっかかりとなる番組でした。NHKはなかなかこういうところは上手です。グッド!


以下はアマゾンより引用します。

一週間 de 資本論/的場 昭弘
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はじめに──なぜいま『資本論』なのか?
 リーマンショック以来、資本主義社会の未来に不安を抱く人々が増えています。もちろん、それは大恐慌以来といわれる大不況後の世界に対する懸念から来ているだけでなく、一人勝ちした社会システムに対する他の選択肢がないことへの不安からも来ています。
 資本主義社会がこの二〇〇年でもたらした豊かさを、否定する人はおそらくいないでしょう。
しかし、その資本主義のもたらした豊かさとは逆の、資本主義の破壊という点について、最近では多くの人が注目し始めています。経済成長を求める余りに破壊してきたものの大きさに、今は慄おののいているというべきなのでしょうか。一方で豊かさをもたらす資本主義は、他方で貧困もどんどん生み出しました。資本主義は、経済的貧困のみならず、限られた地球という資源の浪費、人間性の無視、長く続いた人間社会の伝統の破壊、つまり資本の増殖と関係のないものはすべて無視するという負の側面をもっています。資本主義自体でそれが解決できると思っている楽観的な人ですら、最近では不安になっているのではないかと思われます。

 そこで私たちは全四回をある視点に絞って読み込むことにしました

「第1回」は、ずばり資本主義社会の謎を読むということで、『資本論』第一巻の冒頭の第一編・第二編、すなわち「商品、貨幣、貨幣の資本への転化」を考えます。

「資本主義の謎は商品に現れる」ということで、商品の二重性という問題に焦点をあてます。その謎とは使用価値と交換価値という二重性ですが、商品にはいわゆる売り買いの対象たる物品のみならず、それを媒介する貨幣、そして人間の労働力もそこに含まれます。

「第2回」は、資本主義社会の悲惨な側面として、労働力商品の担い手である労働者の生活に迫ります。対象は『資本論』第一巻第三篇・第四篇「絶対的剰余価値の生産」「相対的剰余価値の生産」です。最近の派遣労働者の状態を一九世紀のプロレタリアに比較しながら、いかに労働者が搾さく取しゆされているかについて言及します。

「第3回」は、リーマンショックという言葉で表現される二〇〇八年の金融危機の実態を把握するべく、一九世紀の恐慌について見ていきます。『資本論』の該当箇所は全三巻すべてに及びます。これは循環型恐慌です。あえて該当箇所を言えば、『資本論』第二巻第二編・第三編、『資本論』第三巻第一篇・第三篇・第五編です。マルクスは恐慌の原因をはっきりと明示しているわけではないのですが、部門間不均衡、利子率の傾向的低落、擬制資本信用によって恐慌の原因を説明しています。主として一八四七年の鉄道投機、一八六七年の綿花投機がその例としてあげられています。

「第4回」は、資本主義後の未来についてです。資本主義の後にどんな未来が来るか、これについて明確に語ったところはありませんが、断片的なものはあります。とりわけ『資本論』第一巻第七編、『資本論』第三巻第五編・第七編が重要でしょう。特徴的なことは、資本主義社会の中にある必然的法則の中から社会主義という未来をのぞいている部分、さらにはもっと先にある資本主義を完全に越える未来社会である共産主義をのぞいている部分に分かれます。そのどちらがマルクスの真意かは不明ですが、マルクスにはつねに革命と改革という二つの選択がつねに交互にあったことは確かでしょう。

◉本書の企画
 さて本書は、放送原稿のたんなる再録ではありません。多くの文章はこうした企画をもとに書き下ろしたものです。それに当たるのは、対談を除く部分です。
 内容的には、放送原稿に近いのが表読みの部分で、それは各章の最初にあります。また、書物として出版するにあたって、放送で対象としたものをいわばひっくり返すような裏読みのテキストをつけることにしました。それが各章にある〈裏読み〉の部分です。

 実際の放送では『資本論』のいわば普通の理解の部分で話をしました。だから表読みはそうした普通の理解の部分となります。しかし、『資本論』には隠れた部分があります。正統派的な経済学批判の部分に対して、そうした解釈に揺さぶりをかける、ある種、秘教的な部分です。裏読み部分はそうした部分に触れています。

 たとえば第1章の商品論については、実は宗教的論争が、第2章に関していえば、労働力の問題とその担い手である人間の身体の問題が、第3章についていえば、恐慌のもっている破壊の再生機能が、第4章についていえば、資本主義の発展と革命の問題があります。
 さらに本書には、放送の際にお招きした各回のゲストと私との対談も収められていて、それぞれ表読みの後に入れてあります。対談は、全体を通して司会を行っていただいた堀尾正明氏、ゲストの森永卓郎氏、湯浅誠氏、浜矩子氏、田中直毅氏との対話によって構成されています。


(アマゾンの引用終わり)


最後にもう一冊、的場教授の著書を紹介します。
超訳で、資本論を出されていますので、この本の後にお薦めです。
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