2019年10月21日、タイのワチラロンコン国王(ラーマ10世)が下した勅命により、側室のシニーナート・ウォンワチラーパック(Sineenat Wongvajirapakdi)さんがあらゆる称号を剥奪されました。
シニーナートさんは今年7月28日、約100年間誰にも与えられなかった「高貴な配偶者」を意味する「チャオクンプラ」という称号を与えられたばかりでした。
2019年7月チャオクンプラの称号を与えられた際に王室から公開された写真
称号剥奪の理由は、国王への不忠、自らの野心のためにスティダ王妃の即位に反発したこと、自らの地位をスティダ王妃と同じ地位に引き上げようとしていたこと等が報じられています。
シニーナートさんは国王の警護部隊に所属していた元陸軍看護師で軍の少将の階級も持っていましたが、チャオクンプラの剥奪と同時に軍や王室の称号や階級を剥奪されました。
※2016年の父ラーマ9世崩御により、即位していましたが、服喪期間や国民感情に配慮して2019年に戴冠式や即位パレード等が行われました。
シニーナートさんは、スティダ王妃の即位後も執拗に王室の称号を求め、国王は混乱を避けるためにスティダ王妃との結婚式から約3カ月後にチャオクンプラの称号を与えましたが、シニーナートさんが王妃のように振る舞う、国王の命令であると偽って臣下に指示するなど態度が改められなかった為、称号剥奪に至ったようです。王室は「国王と王室に対する破壊行為」と厳しく非難する声明を発表しました。
国王の3番目の妻は親族の汚職により離婚され、平民に戻り、剃髪させられたそうです。シニーナートさんの場合は親族ではなく自身に原因があるため、剃髪と称号剥奪だけでは済まないのではと思いますが、タイは最も厳しい不敬罪が存在する国の一つです。国王や王室に対して批判的な言動は厳しく罰せられます。シニーナートさんの詳細や今後はほとんど報道されないでしょう。
また、シニーナートさんの称号剥奪から2日後の10月23日には高官6名を国王が解雇したと発表がありました。理由は「自分または他人の利益のために公人の地位を乱用する悪行に及び、行動規範に著しく違反した」こと。
日本の皇室と繋がりが深いと言われるタイ王室ですが、10月22日の即位礼正殿の儀には各国の王族が出席されるなか、タイからは王族ではなくプラユット・ジャンオーチャー首相兼国防大臣が夫人と共に出席されました。
シニーナートさんと高官6名の処分等で王室内がゴタゴタしていたからでしょうか。処分とは関係なく首相夫妻の出席が決まっていたのかもしれませんが、タイミング的に少し思ってしまいました。
ちなみに1990年の秋篠宮さまと紀子さまの結婚式にはタイ王室からラーマ10世の妹シリントーン王女が参列されています。
また、2011年の東日本大震災では前国王夫妻から2600万円の寄付がありました。これは前国王夫妻の孫の一人が2004年のスマトラ沖地震で亡くなっており、日本が復興支援に尽力した事への恩返しの意味があるそうです。
以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。