4月4日衆議院総務委員会でNTT法の改正案が可決されました。

 

 唯一反対した共産党は、審議においても重要な指摘をしていました,宮本岳志議員がここに至るまでの「NTTのあり方を巡る議論の経過」を辿っています。

 

 それによると、2023年6月8日に自民党政務調査会の「防衛費関係の財源検討に関する特命委員会」が、防衛財源確保のためにNTT株売却を検討し、同時にNTT法のあり方の検討も打ち出しています。

 

 8月22日には自民党PT(プロジェクトチーム)が立ち上がり、甘利座長が「NTT法の廃止も含めて検討する」と発言しました、8月31日には自民党PTが初会合がありました。


 その後「情報通信審議会 電気通信事業政策部会」のもとに置かれた特別委員会で議論が始まったのは9月7日でした、宮本議員は「つまりこの議論は、自民党政調の防衛財源の検討から始まったのではないか」と指摘しました。
 

 これに対して総務省は、「令和2年の改正法の施行後3年見直し規定というものがあり、それに基づいて2023年8月に諮問したものだ」と答えました。

 

 確かに松本剛明総務大臣が検討を諮問したのは8月28日で、2024年夏頃の答申を目途として2024年2月にかけて論点整理をし、4月に骨子案をまとめ、6月に答申を求めるスケジュール案を、2023年11月6日第9回特別委員会で示しています。
 

 ところがなぜか、2023年12月13日第10回特別委員会で突然「中間的な取りまとめ」が出てきました。

 

 宮本議員は「第9回と第10回の間に何かあったのか?」2023年12月5日付で自民党政務調査会が取りまとめた「NTT法のあり方に関する提言」の下線が引いてある箇所を紹介しました。

 

 そこには「政府に対し、NTTにおいて速やかに撤廃可能な項目については2024年通常国会で措置し、それ以外の項目についても2025年の通常国会を目途に、電気通信事業法の改正と関係法令に関する必要な措置を講じ次第、NTT法を廃止することを求める」とありました。

 

 自民党政調の提言によって当初のスケジュールを言わばねじ曲げて、取りまとめを急がせたのではないか。

 

 しかも第10回の特別委員会の会議録にはNTTの島田会長の「2025年に廃止するというのは私どもが言っているわけではなくて、自民党の政務調査会が出した報告書に書かれている。

私どもが言っているわけではない。」と記録されているそうです。

 

 つまり今回の改正案はNTTの要望ではなく、"自民党が言っているから、こうしなければ仕方がない"というやり取りが行われていたのでした。

 

 それを裏付けるように、2023年12月5日鈴木淳司総務大臣は閣議後記者会見で「自民党PTの提言案が了承され、今後党内手続きを経て取りまとめられる予定だ。

(中略)総務省としては審議会での検討を加速させ必要な対応を進める。」と述べていました。


 またNTT法改正案の論点の1つ「研究開発の推進・普及責務(研究成果の開示義務)は撤廃すべき」について、宮本議員は「NTTのIOWN(アイオン)」を取り上げました。

 

 「IOWNの研究開発をパートナーと連携して展開していく上で、共同研究が妨げられた事例があるか」と問いました。

 

 NTTのパートナーは民間企業だけでなく、防衛省や米軍も排除されていません。

 

 現に「NTTの新基盤技術IOWNは大いに活用を期待している」という防衛省のコメントを紹介し、「軍事研究であれば公開の責務は邪魔に違いない。」と推察しています。

 

 また「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発および公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」で挙げられた重要技術課題の5つ目には情報通信があり、IOWNが対象になる可能性を指摘しました。


 つまり宮本議員の質疑で分かったことは、NTT株売却で防衛財源にするだけでなく、防衛省との共同研究に乗り出すために「研究開発の成果をブラックボックスにする必要がある」、そのためNTT法廃止を急がせているのではないかという側面でした。

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 一部支配者が権力を使い公共を民間に売り渡す、これが国鉄 郵政 の民営化でソ連はこれで滅んだ、ロシアは国有化でよみがえっている。

 

 中国は権力者に賄賂をおくり中国に有利な条約を結ぶ、インドネシアの高速鉄道がそれで、中国に有利な契約になっていた。