人と馬との繋がり。馬を取り巻く人々の絆。
そして、危険なスポーツである中、怪我をしてもまた馬に乗るのだという熱意。
様々なストーリーがとても短くまとまっている
競馬未開拓者にもとてもオススメの1冊。
また、最近感動していないなあという方、これからもっと頑張ろうという方にも
心を奮わせてくれる物語がたくさん詰まっているのでオススメです。
ひとつこの本に書かれているエピソードを書きます。
【16 オルフェーヴルの引退レースで池添謙一が勝ちたかったもうひとつの理由】
【中略】
「オルフェーヴルの大ファンで、僕(池添謙一)に会いたいと言ってくれている男の子がいると言うのです」
「わずか5歳のその子が治療の難しい病気に侵されていると聞きました」
オーナー、牧場に連絡した上で、男の子をオルフェーヴルに会わせてあげる段取りをした。
「撫でようとすると噛みつこうとする面のあるオルフェーヴルが、この子の手は噛もうとしませんでした。いつまでも撫でさせてあげていたんです」
その光景を見るうち、「この子のためにもラストランを勝たなければ……」という想いが強くなっていった。
【中略】
「あの5歳の男の子がラストランを待つことなく亡くなってしまいました」
レース後、馬上から天を見上げて「勝ったよ」と報告をしたのだった。
競馬は言葉の通じない動物とくり広げるスポーツだと思います。
競馬場でひたむきに走る彼らを頑張れと応援した時、その言葉は自分に向けたものではないかとハッとする。
馬の周りにもあなたと同じように支えてくれる人がいる。
人が人を思う、人が馬を思う、馬が人を思う気持ちがたくさん詰まった本でした。