図書館で一年以上前に予約して、
やっと順番が回って来ました
山本文緒さんの遺作です
年末に胃痛を感じて
3月に膵臓がん末期と告知され
治療はしないと決めた5月から10月に亡くなられるまでの間、物書きの性として書かずにはいられない日々の思いを綴った日記です
山本文緒作品は
根底に流れるドロドロした屈折とシニカルなユーモアが絡むのが持ち味だと思っています
そのネガティブさに当てられて
ある時期から遠ざかってしまっていたのですが
久しぶりに読んでみたら面白かった![]()
私が死んだあとも夫はこの家で暮らし続けるつもりでいることに驚いた
自分なら辛すぎて夫との思い出が何もないところでないと生きていけないだろう
とか、
動くのもしんどくて夫の膝枕でネトフリ見てる図は、さながら年老いたトドと飼育員である
とかね![]()
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村上春樹が書いたスコット・フィッツジェラルドについてのエッセイに、未完の作品を残して逝くことが作家にとっていかに無念であるか切々と綴られていましたが
この日記にも著者が今後書きたかったことについて触れられていて、淡々とした語り口ながら悔しさは伝わってきました
一方で、そんな心残りはありつつも
心から信頼できる人が傍らにいてくれて
金銭的な心配は皆無で
望んだ通りのケアを受けられている状況は実に理想的
とご本人も書かれています
だからと言って悟りの境地に至る訳ではなく、
やりたいことはまだたくさんあった
英語をちゃんと勉強しておけば良かった
と書いてあり、
そこ⁉️とちょっと面白く感じました
家の件と言い、それぞれの感じ方があるな![]()
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亡くなる数日前の記述に
(昔とても仲良くて濃密な時間を共に過ごしていたが、近年は疎遠になってしまっていた)唯川恵さんと自分の病を機にまた仲良く出来たことが本当に嬉しい
とありました
疎遠になった具体的なきっかけなどは書いてありませんでしたが
恐らく心の中に寂しい気持ちがずっと残っていたのでしょう
お見舞いに来てくれて数年ぶりに会って
思い出話などしながら大笑いしたそう
満たされた気持ちで最後のときを迎えられたのかな
それってとても幸せだろうな
当時大切にしていた縁でも
切れてしまえばそれで終わり
懐かしく思い出しつつも
実際は寂しいまま終わってしまうことが多いだろうから
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これは「闘病記」ではなく「逃病記」である
と書かれています
闘うのではなく、病や痛みからいかに逃げるか であると
もし自分が同じ状況になったら
完全に同じ思いだろうな![]()
そう考えると
やり残したことはたくさんあるだろうし
50代は亡くなるにはまだ早いけど
私から見たらとても理想的な
最後のときの過ごし方のように思えるな
お金の心配なく
信頼できる人がそばにいてくれて
出来る限り痛みから逃れて
会いたかった人に会えて
過去の蟠りを払拭できて
できるなら私も
そんなふうに人生を終わらせたいな、と
いつか迎える最後のときについて
いろいろ思いを馳せた一冊でした
遅ればせながらご冥福をお祈りします
