燃えよドラゴン 後編 | どうしよう 俺

どうしよう 俺

20年間服用した 向精神薬 ソラナックス&デパス

完全断薬して 7ヶ月が過ぎ日々の 徒然を語ります

ドアを開けた

「おーーーーーーーーす」という声に出迎えられる

20畳ほどの大きさの道場に子供達10名くらいが形の稽古をしている

館長らしき人がきた

で、でかい

身長は高く 胸板が分厚い 腕は俺の太ももくらいあり 電柱が歩いていると思ったら足だった
髪の毛は黒々とし眼光は鋭く 全体から動物の気が迸っている

一言でいうならば野生の熊であった
(こんな人間みたことはない)


「オッス 自分 ここの館長をやってます 熊切と申します オッス」

あ、、は、はじめまして リッチーと申します じ、自分 ここに入門したいいと
お、思いまして 

「オッス リッチーさん まずこの道場で話をするときは 話をする前に 胸の前で十字を切ってオッス 話が終わって十字を切ってオッスと言って下さい それがドラゴンズ会の最初のルールです 道場は礼に始まり礼に終わります いいですか? オッス 」

あ、あ、じゃなく

お、おっす 失礼しました ええと (胸の前で十字切って)もう一度言いますと自分はここに入門したいと思います おっす

「オッス わかりました ではこの書類にサインして下さい オッス」

おっす これはどこまで書けばいいのでしょうか おっす

「オッス 住所 電話番号 入門動機 道着のサイズ サポーターのサイズ 誓約書までです オッス」

おっす 住所は郵便番号も書きますか? おっす

「オッス 郵便番号もです オッス」

おっす わかりました おっす

「オッス あ、それと電話番号の他にメールアドレスの記入もお願いします オッス」

おっす わかりました おっす

あ、そうだ、、、、

じゃなく

おっす 会費はいくらですか? おっす

「オッス 入会金が8000円 月謝8000円です オッス」

おっす わかりましたです おっす

(なんといいうぎこちない会話だ! その度に胸の前で十字を切ってオッス、
十字を切ってオッス 十字を切ってオッス

(;゜0゜)

最期に誓約書に目を通す そこには

練習中に不測の事故があっても
私は一切の文句を言いません

そこにサインするのがいささか躊躇っている

外はどしゃ降りの雨のようだ 屋根に落ちる雨の叩きつける音が聞こえる

よくみると道場の中の壁という壁は穴だらけであり、内側から電気の配線が見えていた

後方の壁上段には館長の座右の銘だろうか

全力を尽くせという文字が額縁に飾られていた

えええっい 何を躊躇っている俺?

これで毎日の女子社員からの攻撃に耐えられるならばいくしかねーだろ!

俺は誓約書にサインした

雨音は更に激しくなっている)


おっす 書きました おっす

「オッス 入門おめでとうございます 今日はこれから10分間の休憩後大人も来ますので、そのままの格好でいいですから練習していってください オッス」

おっす ありがとうございます よろしくお願いします おっす

おっす 一つ質問してよろしいでしょうか? おっす

「オッス はい 何でしょうか? オッス」

おっす あのー フルコンタクト空手というのは自分みたいに眼鏡やコンタクトレンズをしててもできるという意味で、よ、よかったですかね? おっす

「オッス (  -_・)? 違いますよ~ フルコンタクト空手というのは顔面と金的以外は自由に殴り蹴り合う空手ですよ オッス」

へっ

へっ~ーーーーーーーーーーーー!

(;゜0゜)

ってことは、、、じゃなく

おっし ってことは お互いにぼっこぼっこにするってことですか
おっし 

「オッス まーそうですよ 一応サポーターを手と足につけますがね オッス」

おっし そうでしたか おっし 💧

おっし そうすると この壁の穴全部が蹴りやパンチの跡ってこですか?

「オッス そうです タイミングがずれて相手に当たらなくって壁にいっちゃたんです オッス」


(よく見ると熊切館長の道着は至るところ赤くなっている、、、血だろう、、、
壁の穴を優しい眼差しで見ていた

俺は急に緊張してきた 緊張してきたら胸苦しくなって ソラナックスをかじった

休憩時間だろうか 子供達が正座をしてる

上座であろう館長席に熊切館長は戻りCD デッキを操作している
後10分後に練習が開始される

俺はこの道場から再び外に出れるだろうか?

恐怖だった

その時 音楽が聴こえてきた

館長がかけたCD だった

ん?この曲なんか知っている

こ、これは

(;゜0゜)

ウインクの淋しい熱帯魚だった

俺はどちらかというと翔子ちゃんのファンだった