ピロンッ
朝、
家の玄関でローファーに足を入れている時、聞き慣れたLINEの通知音がして携帯を開く
朝からにっしー
珍しくこんな時間から起きてるんだ笑
にっしーは寝坊で遅刻の常習犯だから。
慣れた手つきで操作して返事を返していく
と、にっしーから来た3回目のメッセージに手を止める
…………。
こないだからにっしーの様子がおかしい
あの日初めて「実彩子」って呼ばれてから、にっしーは2人の時は名前で呼ぶ
LINEもたまにそうだし。。
別にイヤなわけじゃないんだけどね、
なんかわかんないけど呼ばれるたびにドキッとする自分がいて微妙な気持ちになる
とにかく今日はにっしーと2人でカラオケに行くらしい
わけのわからない胸の高鳴りに首を傾げて画面に表示された時間にギョッとする
わたし何分ここにいたの!
「ヤバ、遅刻する!」
…………………
ガラガラッ!
宇「セーフ?!」
教室のドアを勢いよく開けてハァハァと荒い息を整える
直「宇野ちゃんアウトー!」
直也くんが親指を立てた腕を突き出してくる
宇「う、っそー!こ、こんなに走ったのに!」
直「こんなにって、わかんねーよ笑」
ウチのクラスはあまりにも遅刻する人がいるから(特ににっしーと日高くん)遅刻に対して厳しくて、
週に2回遅刻すると反省文を書かされる。
あの2人はどれだけ書いたことか笑
日「宇野が遅刻とか珍しいじゃん笑」
西「宇野ちゃん足遅いし、間に合わなかったんじゃん?笑」
今日に限って2人ともいるし。
千「どうしたのー?宇野ちゃんが遅刻なんてホント珍しいじゃんっ」
宇「千晃ー(泣
それがさー玄関でボーッとしちゃって」
秀「でた笑
宇野ちゃんのわけわからん発言」
與「玄関でボーッとってどういうことやねん笑」
こないだまでギスギスしてたあの3人も仲直りしたのか今では元通り
というか前以上?
にっしーと日高くんと秀太は元々仲良い感じだったけど最近は真司郎も混ざってじゃれ合ったりしてる笑
真司郎ってベタベタしないアッサリした感じだったのにね
「やっぱりみんなカッコイイよねー!」
「宇野ちゃんと千晃ちゃん本当羨ましいよねー」
「ドリカム状態ね笑」
「なんであの2人なんだろーね、何がいいんだろ」
「顔がいいだけじゃん?男遊び激しそー笑」
ホントにみんなモテるからクラスの女子たちの僻み?も聞こえてくることは少なくない
でもそんな時は
秀「お前ら宇野ちゃんの悪口はいいけど千晃のは言うなよ!笑」
與「なんで千晃だけやねん!宇野ちゃんも守ってやってや笑」
西「オレがオンナになればいい?
西子とかどうよ?笑」
日「俺たちの見た目が良すぎるのがイケナイんだろ
イヤー、罪な男」
こうやってふざけながら注意してくれる
最初はわたしも千晃も気にしてたけど
こんなの聞いてたら僻みとかいちいち気にしてんのバカバカしく思えて全然気にならなくなった
事実無根だし
わたしなんか初恋もまだ知らない子供なんだから笑
…………………
千「宇野ちゃん帰ろー!」
宇「あ!ごめん千晃。わたしこの後にっしーとカラオケ行くんだよね」
千「え、マジ?!2人で?密室?」
宇「う、え?千晃、そんなこと言わないでー(汗」
千「宇野ちゃん!ドSヘンタイ野郎に食われないように!ファイト!」
宇「ちょ!千晃ー!(泣」
他人事だからって!
「秀ちゃーん!一緒に帰ろー」
変な事を言った張本人は秀太を引き連れて帰ってしまった
でもそうだよね、よく考えたら密室だよ
みんなでなら行った事あるけど2人っきりは初めてだ、
西「宇野ちゃん、見つからないうちに早く行こうぜ」
頭の中でぐるぐる考えていたらいつの間にか鞄を持ったにっしーが目の前に
宇「見つからないうちにって、誰に…?」
言いながら教室を出ようとドアを開ける
與「待てや」
日「おい西島、宇野と2人でどこ行くつもりだよ」
西「げっ!」
ドアのすぐ向こうに真司郎と日高くんがいて、目の前に立ちはだかる
その瞬間にっしーが苦い顔をした
西「ホラ見つかっちゃったじゃん」
そのぷるぷるな唇から深いため息が吐き出される
にっしーの顔が近付いて2人に聞こえないようにわたしの耳元でささやく
「逃げるよ、実彩子」
色っぽい声色にドキドキする暇もなく手を引かれて走り出す
絶対わたし今、耳まで真っ赤だ
そして今わたしの手を引いて前を走る彼は絶対、してやったりな顔をしてる
ズルイ
まさか、1日の中で2回もこんな全力疾走することになるなんて、、
「てか、、逃げる 必要あった?、」
カウンターで受付を済ませて部屋に入ってもまだ肩で息をするわたしとは反対ににっしーは涼しい顔でこっちを見てる
「なんで?」
「なんでって、みんなで行けばよかったじゃない」
「ダメ、実彩子と2人がいい」
そんな真剣な顔して言わないで、
宇「う、歌って!にっしー!」
西(話そらした…?笑)
西「何がイイの?」
宇「ミスチルがいいなー」
西「りょーかい。」
ピッピッとデンモクを操作して画面から流れたきた曲は、
「オレあんま詳しくないから、定番のバラードで」
誰もが知ってる定番の、だけど究極のバラード
この曲大好き…
「最初からこうなることが 決まってたみたいに…」
最初から聴き惚れた
元々の甘い声にさらに甘さが加わって、鼓膜を刺激する
真剣に、切なげに歌う表情が色っぽくて
こんなの、独り占めしていいの?
歌う横顔を見つめているとふと、にっしーがこっちを向いて目が合う
そらす事もしないでただ見つめ合う
究極の告白がメロディーに乗って入ってくる
見つめられながらこんな甘い言葉言われたら、わたしじゃない女の子だったらカン違いしてたよ…?
にっしー得意のビブラートで曲が終わって、感想を待つみたいに彼が不安そうに顔を覗き込んでくる
西「実彩子…?」
宇「…この曲ってベタベタなラブソングにもきこえるし、悲しい失恋ソングにもきこえるんだよね」
西「へぇ…、そんな考えした事もなかった
オレにはまだ好きな人の事を想って歌う甘々なラブソングにしか聴こえないな、」
宇「凄く深いよね。にっしーの声で聴いて、もっと大好きになった」
単純に、思った事を伝える
だけどにっしーは俯いてしまう
ボソッ
西「そんな事言うのはズルい…」
宇「にっしー?」
西「ねぇ、
名前で呼んでよ、実彩子。」
そんな時だけ顔を上げてガッチリ目を見つめてくる
宇「どうして?」
西「どうしても。2人の時だけでいい。
だから、お願い」
宇「ダメ。」
西「………。」
あからさまにシュンとしないで、
宇「は、恥ずかしいから…
だから、自分のタイミングで いけそうだと思ったら言うよ」
西「じゃあオレは、実彩子が名前で呼んでくれるのをドキドキしながら待つワケ?」
意地悪そうな顔して首をかしげるにっしー
宇「イヤなら別にやめるケド?」
西「うわー、待ちますとも」
(宇野ちゃんって実は結構カケヒキとかするタイプ…?)
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