40代で取得した免許証で、豪華ロング・ドライブ出発 | it' my america

40代で取得した免許証で、豪華ロング・ドライブ出発

 免許証を手に入れたからには、運転しなければ宝の持ち腐れである。そこで苦しい時の神頼み、鰯の頭も信心からの例えに習って星に願いをかけてみた。
「1日も早くアメリカへ行き、思う存分車を運転できますように・・」と。
 そうしたら、神様に代わって雑誌社が願いを叶えてくれたのである。

  というのも、何年もご無沙汰している編集部に立ち寄って、知り合いの編集者に近況報告がてらアメリカの話しをしたところ、

「ちょうど旅の特集を予定しているので、その体験を簡単な企画書にしてくれる?」と誘われた。
 願ってもないチャンス、古い歌の文句ではないがグッド・タイミングである。

 そこで、知ってるようであまり知られてない、感激もののアメリカをいろいろ書いて提出したところ、そのうちの1本が採用されたのだ。
 思いつくままに書き出した企画をいくつか挙げると、こうなる。

「絶景街道PCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)を旅する」

「アメリカは田舎が面白い」「映画の名シーンに立ちを、グッズを購入する」
「土地っ子として楽しむL.A.」

「地球が生まれたままの姿・原生自然と温泉の旅」

「インディアン・カウンティーで、ネイティブ・アメリカンに出会う」・・等々。
 フリーランスの雑文業を生業にして早15年以上たつが、海外取材は初めてのこと。これを「ラッキー、チャ
チャチャ」と喜ばずにおれようか。
 初の海外取材は、日本航空のタイアップを取りつけたため、座席はビジネス・クラス。機内ではウェルカム
・シャンパンで迎えられ、松花堂弁当をパクつきながら渡る太平洋の心地好さといったら、文句のあろうはず
がない。
 さらになにを勘違いしたのか、カメラマンと2人6泊7日の旅なのに、大枚4000ドルというとても使い切れそうもないほどの取材費を渡された。ほとんど手にしたことがない、わくわくするような大金が懐にある。
 サンフランシスコに到着後、レンタカー会社のカウンターで早速俄か成金に変身した。まずは日本で予約した車をキャンセルして、2ランク上の高級車種に変更。これが自腹なら、最も安い1300ccクラスのコンパクト・カーで決まりだが、ここはどかんと奮発して、3000ccクラスのサンダーバードを借りるという、大盤振舞の挙にでてしまった。
 心に残るアメリカ車といえば、まずは'60 年代の連続テレビ映画『ルート66』に登場した、憧れのシボレー・コルベット・スティングレーが、押しも押されもせぬ不動のナンバーワン・カーである。次が、'70 年代にデビューしたての頃のムスタングで、3位がこのサンダーバードである。1位と2位は、「いつの日にか乗りたい夢の車」としてとって置くとして、念願の3番目の車に乗れるわけである。
 しかし、ハンドルを握るのは実に12年ぶりのこと。自分でも「これでいいのだろうか」と思わぬでもないが、
ここまできた以上もう後には引けないし、そのつもりもない。ほとんど初対面同然のカメラマンK氏にも、そんな事情を説明してあるが、それほど心配してないようだ。K氏と相談して決まった旅の間のルールは、次の3ヶ条だった。
「走りながら写真を撮る必要があるので、基本的に車の運転はこちらがするが、疲れて眠くなったり、万一の場合は交替する」
「取材費はたんまりあることだし、出発の準備を手際よくするために、バスもトイレもふたつあった方が便利
だから、1人1部屋にして別々の部屋に泊まろう」
「コレといって音楽に趣味がないなら、カーラジオはカントリー&ウエスタンのチャンネルにして欲しい」
 最後はK氏のリクエストだが、こんな取り決めをする必要がないくらい、都市部を離れて田舎へ行けば行く
ほど、FMステーションはカントリーが多くなる。たった1局しか入らない場合は、ほとんど9割以上の確立
でC&W専門局になるほどである。そしてまた、大空と大地が広がる田舎のハイウェイには、C&Wのメロディーが不思議とよく似合うのである。
 聞けばK氏、カントリーでもグリーン(ブルー?)・グラスの愛好者で、仲間とバンドを作り自分も演奏するし、本場アメリカ南部での演奏ツァーを追いかけた経験もあるという。なかなかどうして、面白そうな人なのである。