40歳にして、初上陸 | it' my america

40歳にして、初上陸

 1492年、新大陸に到達したクリストファー・コロンブスに遅れること500年。東洋の島国に暮らす無名の中年男は、40歳になって初めてアメリカ大陸の土を踏みしめた。しかし初上陸であるにもかかわらず、とりたてて何の期待もしてなかったはずなのに、いっぺんでその魅力に取り憑かれてしまった訳を、これからゆっくりお聞かせしたい。
 子供の頃に、テレビにしがみつくように観ていた『パパは何でも知っている』『家のママは世界一』などりホームドラマに登場する、特大の牛乳瓶やジュース、それが何本も並んでいる冷蔵庫の巨大さ、生活の豊かさにただただ圧倒され、憧れいたアメリカ。
 かろうじて、進駐軍のジープを追いかけながら、「ギブ・ミー・チョコレート」と叫ぶ世代ではなかったが、目が眩むほど豊かなアメリカの生活は、夢のまた夢というような気分で育った団塊の世代である。
 少年期から青年期にかけては、雑誌『平凡パンチ』や『ポパイ』をはじめ、VANヂャケットなどに影響されたものの、映画やテレビや雑誌の情報を鵜呑みにしていた人間は、現実のアメリカの大いなるギャップに驚き、幻影ではなく実像のアメリカをもっと知りたいという思いが募り、ブレーキの壊れた車のようにアメリカのハイウェイを地平線の彼方へ走り続ける自分がいたのである。
 その後も機会がある度に、はたまた無理矢理機会を作っては、太平洋の向こう側まで出かけているのに、その思いは一向に薄まることもなく、「いつでも、チャンスがあればアメリカへ行きたい」と思い続けて10数年がたってしまった。