Yellow side


親しい友人のお父さんがやっているカフェに入ると、そこには予期せずあの子がいた。


黄「奇遇だね」


緊張しているのがバレないように、自然にその子の前に座った。


紫「あの……あなた、なんて名前だったかな?」


黄「え?あぁ、日高光啓」


目立つ5人組だから、名前くらい知られてると思ったらそれは思いすぎだったらしい。


紫「日高くんね……日高くん」


黄「……君は?」


俺もこの子のフルネームは忘れたなぁ、なんて思いながら聞いてみる。


紫「宇野実彩子」


黄「宇野実彩子?……実彩子って呼んでいい?」


紫「え、あっ、うんっ!!」


急な呼び捨てにビックリしたのか、オドオドとする実彩子。


黄「だからおあいこで、光啓って呼んでね。呼び捨てな」


紫「みつひろ?」


黄「そう」


やべ。ちょっと今、顔赤いかもしれない。


紫「うん、分かった。光啓」


それに追い打ちをかけるように、誰もが見惚れる笑顔で俺の名前を呼ぶ。


それに目を背け、別の話題を持ち出す。


黄「今何かしてた?格好もメイクも学校にいる時よりバッチリ気合い入ってるし」


だいたい予想は付いてるけど。


紫「あー、それは……何ていうか……」


黄「デート?」


紫「違う。デート……っていうかお出かけ?っていうか……」


予想通り、あの3人だな。


黄「本来はデートだったの?」


紫「そうなんだけど、予想してなかった人たちが来てたから……」


黄「ふーん、そう」


これはチャンスが訪れたってことだよな?でも、急にこんなこと言っても引かれるだけか?


けど、試さないより試す方がいい。


黄「じゃあ、その人達の代わりに俺とどっか行かない?」