「めんどくさっ」
「そう言わないの! 手伝ってあげるから」
ほらほら。と西島君の背中を押して歩く実彩ちゃんは、数歩進んだところで立ち止まり振り返った。
「茜、またね」
「うん」
「じゃあね、三崎」
「バイバイ、西島君」
お互いに手を振り合い、別れの挨拶を交わすと。
実彩ちゃんは、西島君を連れて行ってしまった。
小さくなっていく二人の背中を見送りながら、思った。
こうして連れ去られてしまった後の敗北感を味わうことも、あと少しだ。
もうすぐ、この光景ともサヨナラできる。
それまでの辛抱。
卒業してしまえば、二人を視界に入れることも無くなるはずだから。
二人を見ているだけで、苦しくなることなんてなくなるから。
三崎茜(みさきあかね)、
高校三年生にして、望みの無い片想いをしています。