私にとって手術より怖い抗がん剤治療が始まった。
内科的治療薬、ドクターXで言う”ケミカルサージャリー”が信じられない。
最大の理由は時間がかかるから。
待てない性分。
また、内科的治療はどのように効き目があるか、
どんな副作用、
副反応がでるのか、
個人差があり、予測できない。
出産の時もなかなか生まれてこなかったので、
「陣痛促進剤を打ちますか?帝王切開にしますか?」という主治医の提案に、
迷うことなくカイザーセクション、C-sectionを選んだ。
- 陣痛の痛みと激しい尿感から解放させた時、
- 地獄から天国に行った感じ、
- 麻薬で飛んだ感じ、
話が逸れたが、抗がん剤治療1日目、ドキタキセル、
ドキタキセルはイチイの木から作られる。
イチイはアララギとかオンコ、アカギ、キャラボク、シャクシノキ、シャクギ、スオウ、
など異名の多い木としても知られている。
タキシンをふくむということは
英語の毒素(toxin)の語源といっしょで、
つまりは『イチイ=毒』だということだ。
この抗がん剤、タキソール(ドキタキセル)の歴史は古い
古くはジュリアスシーザーの時代から使われている毒、
イチイから取れるこの化合物は,紀元前に書かれたシーザーの『ガリア戦記』に毒薬として登場する。
ローマの政治家にして軍略家、
文筆家として有名な、
カエサルは短剣に突かれ絶命した。
その短剣に塗ってあった毒が、
イチイの実の毒だった。
また,米国の北西部では,先住民が消毒薬や皮膚ガンの治療薬として利用してきたという。
毒は薬にもなると言うが、
薬用としてのイチイ
イチイの葉は、民間で生薬名を一位葉の名で、薬として使われてきた。
夏に採取して日干しして煎じて飲むと、血圧を下げ、心臓の鼓動を緩和する働きがある。
薬効成分はタキシン、タキシニンというアルカロイドである。
アコニチンやツボクラリン
といった毒性アルカロイドを
含む植物の抽出物は
有史以前から毒矢に使用されていた
多くのアルカロイドは
他の生物に対して有毒である。
しばしば薬理作用を示し、
医薬や娯楽のための麻薬としてや、
幻覚儀式において使用される。
ガンを治すイチイ
イチイで特筆すべきことはガンの治療薬として役立っていることだ。
40年ほど前に、米国西部に生育する太平洋イチイの樹皮の抽出物に、ガンを抑える成分が含まれていることが見出された。
その後、抗ガン成分のタキソールが採り出され、構造が決定されて、動物実験、ヒトによる臨床実験を経て30年かけて抗ガン剤として利用されるようになった。
同じイチイ属で欧州に生育するヨーロッパイチイにもタキソールが含まれていることが分かり、さらにヨーロッパイチイにはタキソールの前駆体が多く含まれていることも分かり、それからのタキソールへの合成も可能になるなどして、タキソールの抗ガン剤としての利用が可能になった。
イチイは成長が極端に遅いので、成木の樹皮を採取するには限りがある。
北海道生まれのわたしにはオンコは馴染みがある。家にも植えていた。
ほんのり甘いこの実をよく食べていた。
ただ中の実には毒があると言われていたので、
もちろん固い種は食べなかった。小粒で朱が混じる綺麗な赤色の種です。
種を噛みつぶさない鳥は中毒せず、便という肥料をまとった種を遠方に広げて植物を繁栄させてくれるそうだ。
私はこのヨーロッパのイチイを中世の魔女達が毒薬として使っていたと思った。
調べてみると、シェークスピアに出てきた。
ハムレットではデンマーク王の耳に
注ぎ込んで彼を殺した
“ヘボナの毒汁”というものは
イチイの毒だといわれている。
マクベスの中では
魔女が地獄の悪霊たちに
飲ませる鍋の中に、
ヒキガエル、コウモリ、
ヘビ、イモリの目玉、犬の舌、
トカゲの足などとともに
墓地に生えていた
イチイの小枝を投げ入れた。
リア王より
Third Witch Scale of dragon, tooth of wolf, | 第三の魔女 竜のうろこに狼の牙、 |
このドキタキセルを21日サイクルで4回、
今日から始まる